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鉱物の部屋へのいざない

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恋路の霰石

2013-09-06 11:29:58 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「恋路の霰石」です。「霰石」というタイトルは何度も書きましたが、「恋路の霰石」というタイトルは初めてです。

「恋路の霰石」は全国的にも有名です。それは「県の鉱物」として石川県を代表する鉱物とされる事もあるくらいで、実際、かつては本当に見事な標本が産出しました。私はこれまでにいくつかのすばらしい「恋路の霰石」を見た事があります。それらはどれもが個性的な標本でした。

先日、月一で連載中の北陸中日新聞「鉱物のすすめ」に掲載する為に、金沢大学所蔵の「恋路の霰石」を取材し、写真を撮ってきました。その写真は掲載前なので出せませんが、それはピンク色をした2本の柱状結晶です。恋路というロマンチックな産地名にふさわしく、大小の結晶が恋人のように寄り添っていました。その標本の噂は金沢大学の卒業生の方から聞いていました。今回、その現物をまじかに手に取って見る事ができました。ご興味のある方は9月14日(土)の朝刊、石川総合面に掲載予定なのでご覧になってみて下さい。

「恋路の霰石」は「鉱物採集フィールド・ガイド」(草思社 1982年 草下英明著)にも詳しく書かれています。現在ではなかなか採集し難い鉱物でもありますが、かつては、特に道路工事が行われていた頃は名品が多産したようです。石川県人としてはどうしても良品をひとつは持っておきたい鉱物だと思います。

ひとつ写真を出します。このところ、写真登場が少ないせいか、このブログへのアクセスがやや減少ぎみです。久しぶりの写真登場となります。

Dscf4633
石川県恋路海岸 産 霰石(Aragonite)

この標本の面白いところは玄武岩の晶洞内で結晶成長する霰石の成長過程が分かるところだと思います。それは完全に成長すると球状結晶になったであろうものが、途中で成長が止まってしまったらしく中心部が空いています。晶洞の内壁部分から針状結晶が内側に成長していったらしいという事が読み取れます。

これまで球状の結晶はよく見かけましたが、それらを見ていると、その成長は中心部の核となる部分から外側に成長していくというようなイメージを抱いていましたが、どうもそれは逆で、晶洞の内壁から内側へ成長しながら最終的に詰まってしまって、その結果、見た目が球状結晶になって見えているようなのです。

「恋路の霰石」の不思議さは、普通、球状の結晶が多い中、少数だとは思いますが、見事な柱状結晶もある事です。その違いは何なのでしょうか?恐らく、それらの成分や温度、圧力等が影響しているのだろうとは思いますが、その成因の詳しい違いが何なのか?はよく分かりません。

他の鉱物にもいえる事なのですが、鉱物結晶の世界は未だに分からない事だらけだと思います。逆にいうと分からないことだらけだから面白いのかも知れません。

コメント (7)
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