ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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曜変天目2

2012-09-16 11:52:44 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「曜変天目2」です。昨日に続きます。

中国・宋時代の「曜変天目」は世界に三碗しか現存しません。その三碗とも日本にあり、しかも、すべて国宝です。私は東京・静嘉堂文庫美術館の「稲葉天目」と大阪・藤田美術館の曜変天目茶碗の二つを見た事があるのですが、京都・大徳寺龍光院の曜変天目は非公開の為、見れておりません。

現代の曜変天目は何人かが作っており、それらは比較的容易に見る事、入手する事ができます。「炎芸術 NO.81 ミステリアス天目」(阿部出版 2005)という雑誌は現代日本の陶芸家の特集になっており、彼らの作品が載っております。

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木村盛康 作 油滴天目酒盃

これは「炎芸術」にもトップで登場している木村盛康さんの油滴天目です。安宅コレクション(現・大阪市立東洋陶磁美術館)の国宝「油滴天目」を見て、天目を志したらしく、木村盛康さんらしい作品だと思います。

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鎌田幸二 作 窯変翠青天目酒盃

これは油滴と禾目の要素を兼ね備えた鎌田幸二さん独自の作品です。美しさに品格を感じる作品だと思います。

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松山 誠 作 ぐい飲み

これは私の名古屋時代に知り合った瀬戸市の松山 誠さんの結晶釉のぐい飲みです。松山 誠さんも曜変天目等、エネルギッシュに作陶活動を展開されております。

これらは私の名古屋時代に入手したものです。現代の陶芸家の作品ならば比較的安易に入手可能です。それも酒盃ならば茶碗よりも小さく値段も安いというメリットがあります。ただし本格的な「曜変天目」には、なかなかお目にかかれませんでした。

そういう意味では、昨日の長江惣吉さんの曜変は貴重なものだと思います。

昨日、「曜変」というキーワードでWeb検索していて、面白いサイトに出会いました。それは特許情報のサイトです。「曜変の光彩の生成法」という公開特許のページでした。それを読んでいると建窯の周辺地域には蛍石の鉱床の分布があり、陶磁器の焼成中に蛍石を投入し、蛍石のフッ化水素ガスが曜変に作用する、という内容です。非常に興味深い内容です。発明者は長江秀利さんとなっていました。もしかすると、長江惣吉さんご本人?と思ってしまいました。

曜変は鉱物趣味に通じていると昨日書きましたが、蛍石が関与しているとすると、まさしく鉱物との関連性があった事になります。陶磁器は人間が作るものです。ただしそれらは石からできているのです。






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曜変天目

2012-09-15 12:42:15 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は高価なレインボー水晶が売れました。それはそこそこのサイズのシングル・ポイントで、透明度の高い水晶です。その中に絶妙な角度でクラックが入っており、そのせいで鮮やかなレインボーが大きな錐面に映りこみ、見る角度によって銀色や金色や虹色に変化する魅力的な水晶でした。

水晶のレインボーもオパールの遊色に負けない色を出すものがあります。その発色の原理は違うものの構造色という仕組みでは同じです。

今日の話題は「曜変天目」です。「曜変天目」は七色の光彩を放つ茶碗ですが、その発色も構造色です。水晶のレインボーはクラックの薄膜に因る干渉で、オパールの遊色は粒の揃った微粒子に因る干渉です。どうも「曜変天目」はミクロの波状構造に因る干渉のようですが、まだ謎の部分があるようです。一説には磁鉄鉱が関与しているという話もありますが、詳しい事は分かりません。その色は構造色に因る事は分かっていても、まだ未知の部分が残されているところが神秘的で良いのかも知れません。

一昨日、NHKプレミアムアーカイブスで「幻の名碗 曜変天目に挑む」(2003年)の再放送がありました。(9月21日に再々放送があります。)その番組は曜変天目の再現を目指す現代の陶芸家たちのドキュメンタリーです。私は2003年の本放送は地上波で見た記憶があります。名古屋で見たからかも知れません。

その番組で登場する長江惣吉さん、所々で講演をされています。私も何度か出席した事があります。同じ陶芸家で石の研究家でもある古橋尚さんと共同で講演される事が多いようですが、私は古橋尚さんとノリタケギャラリーで知り合い、少し交流があります。古橋尚さんは雑誌「ミネラ」でヒスイの連載記事を書かれていた方です。(雑誌「ミネラ」が復刊し、19号は9月25日発売のようです。)その古橋尚さんの紹介で長江惣吉さんとお話した事があります。

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長江惣吉さん作 曜変

この写真は昨年の3月に撮らせてもらった曜変です。何となく国宝である稲葉天目に似ているような気がします。ご本人は完全再現を目指し、まだまだ創作を続けられておられますが、このレベルでもかなりの完成度だと思います。長江惣吉さんの作品はYouTubuでも見る事ができます。それらの中にはオーロラレインボーとも言えるものもあります。何か天川村のレインボーガーネットのようでもあります。

曜変天目茶碗、鉱物趣味にも通じる、魅力的な存在だと思います。

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天然水晶洞

2012-09-14 11:20:37 | 日記・エッセイ・コラム

一昨日の休店日に続き、昨日もブログ更新を休みました。ブログ二連休は正月休み以来だと思いますが、なぜかアクセス件数は維持しております。

火曜日の夜、NHK-BSプレミアムのとよた真帆さんの石の番組をしっかり見ました。番組を見ていて「天然水晶洞」が出てきて少しビックリしました。その番組は自宅のレコーダーの登録キワード「洞窟」で引っ掛かった番組だったので、私はてっきりどこかの天然の洞窟が出てくるのかと思っていました。まさか「天然水晶洞」だったとは少し驚きました。

長野県南佐久郡川上村の湯沼鉱泉「天然水晶洞」には、私も行った事があります。「天然水晶洞」は水晶コレクターと紹介されていた湯沼鉱泉旅館の社長である山中忠夫さんが、旧鉱山を買い取り坑道の中に自力で作った私設鉱物博物館です。これはすごい!博物館です。天然の水晶洞窟ではありませんが、恐らく、世界一の天然水晶の洞窟博物館です。水晶だけではありません。その中に置いてある膨大な数の鉱物標本には圧倒されました。ある意味、鉱物コレクターの理想とする博物館であるとも言えます。それが坑道の中にあるのですから、石にとっては最適な場所です。また、そこが個人の手作り博物館であるという事も驚きです。ジャンルが違いますが、フランスにあるシュヴァルの理想宮を想起してしまいます。シュヴァルの理想宮は郵便配達夫であったシュヴァルが個人で造った奇怪な建築物ですが、シュヴァル没後はフランス政府により国の重要建造物に指定され維持管理されています。この先、「天然水晶洞」もそうなる事を望みたいところです。

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尾小屋鉱山産 紫水晶(Amethyst)

この写真は湯沼鉱泉旅館ロビーのガラスショーケースに置いてあった尾小屋鉱山産の紫水晶の写真です。それは尾小屋鉱山らしい風格の紫水晶でした。横に玉虫の標本と並んでおり、微笑ましく思いました。石川県以外の場所で尾小屋の紫水晶を見掛けると、なぜかうれしくなってしまいます。この写真は3年前の写真です。先日、古いSDカードを整理していて偶然この写真を見つけました。実はその頃3Dカメラを買ったばかりでしたので、この写真はもう1枚あり、3D表示が可能です。私は「天然水晶洞」の3D写真もたくさん撮りました。山中社長にそれらの写真を見せて喜ばれた事を思い出します。

「天然水晶洞」、鉱物趣味にとっては「聖地」のひとつだと思います。

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水晶の華2

2012-09-11 11:28:53 | 日記・エッセイ・コラム

今日は水晶の華2です。実はこのブログの立ち上げの最初のテーマは水晶の華にしていました。

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ブラジル ミナスジェライス州 産 紫水晶(Amethyst)

この写真はフラワーアメジストです。小さな両錐の紫水晶が規則正しく円形状に並んで、花の芯を中心に花開いたように集合しています。見た目も水晶の華というイメージです。

昨日いらっしゃったIさんがこれを見て「お花みたいねー」とおっしゃいました。そのお言葉から今日のブログの写真はこれにしようと思いました。

昨日の朝、自宅のベランダに置いてあるアサガオの花も花開いていました。ブログのテーマはだいたいその日の朝に決めます。「花開く」というタイトルを考えましたが、石のブログらしくないのでやっぱり止めました。

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中国 雲南省 巧家県 産 水晶・ブドウ石(Quartz・Prehnite)

これもフラワー状の水晶にブドウ石が共生してます。ブドウの実が付いている水晶の華です。水晶の群晶の形態にはフラワー状になるものがあります。恐らく、花が効率良く花開く原理と結晶が効率良く拡がる原理との類似性が、それらの形態を形造っているのだろうと思います。

もうひとつ身近な所で水晶の華を見つけました。

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石川県 小松市 遊泉寺銅山 産 水晶(Quartz)

これはまだ商品としてまだ出していない河合コレクションの箱の中で見つけた水晶の華です。遊泉寺の水晶の中にもフラワー水晶があるのです。中にはインド産の天然レーンボー水晶によくあるフラワー状水晶そっくりのものもありました。思うに、遊泉寺は水晶ヴァリエーションの宝庫だと思います。

水晶の華、何とも魅力的な存在です。

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石も人間も地球の子

2012-09-10 11:29:11 | 日記・エッセイ・コラム

今日のタイトルは「石も人間も地球の子」です。

この言葉は女優のとよた真帆さんの言葉です。2001年4月12日にNHK-BS2で放送された「BSスペシャル ハワイトレッキング紀行 宇宙にいちばん近い島~ハワイ島~」の中で出て来ました。

とよた真帆さんは石好きで有名ですが、私がとよた真帆さんを意識し始めたのはこの番組を見てからでした。実は今朝、その番組を録画してあった古いVHSのテープを取り出して見直してきました。とよた真帆さんは色々な旅先で石をテーマにした写真を撮る事をライフワークにされているそうですが、この番組で訪れたハワイには大きな水晶を持参で行かれました。番組の最後にマウナ・ケア山頂にある女神ポリアフを祭った祭壇に水晶のお供えものがあり、それを見たとよた真帆さんのシーンは感動的でした。

私がなぜそんな古いビデオを見直したかと言うと、明日、NHK-BSプレミアムで放送予定の「ココロとカラダ満つる時間(とき) おふっ、とよた真帆 石は地球のプレゼント」の存在を知ったからです。自宅のレコーダーにキーワード登録してあった「洞窟」というキーワードでその番組は引っ掛かりました。私はその番組を予約録画しました。そして何となく11年前のハワイ島の番組も見直したくなったのでした。

「洞窟」というとBS日テレで今年の5月19日・26日に放送された「絶景・世界自然 7ワンダーズ 韓国・済州島」も思い出します。その番組の旅人も、とよた真帆さんでした。私も済州島の洞窟に行った事があるのですが、そこの溶岩洞窟から鍾乳洞に変化する途中の白と黒とが混ざった洞窟には感動しました。

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石好きは基本的に地質好きだと思います。とよた真帆さんは元祖石ガール的な存在で、石好きが高じて地質ガール、地球ガールへと発展進化して行かれているようです。

明日の番組は何度か放送されるようです。登録キーワードで複数の放送が引っ掛かりました。NHKの良い所は再放送がある事です。見逃しても何度もチャンスがあります。さらにNHKオンデマンドもあり、ありがたい存在だと思います。

そうそう今日のタイトル「石も人間も地球の子」です。その言葉は、とよた真帆さんの自然観を表している名言だと思います。かつて天文学者のカール・セーガンは「私たちは、きわめて深い意味において”星の子”なのである」と言いました。その言葉はカール・セーガンの宇宙観を表している名言なのですが、その言葉に通じる、思いが凝縮した言葉だと思います。

明日の「石は地球のプレゼント」、楽しみです。

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