今日は「対称性多面体」です。
先ほど、「正12面体」というワードでWeb検索していて、ちょっと古いニュースになりますが、400年ぶりに新種の「対称性多面体」構造が発見される、というニュースを見付けました。
http://gigazine.net/news/20140222-new-polyhedron-shape/
その内容は見出しほどの衝撃は感じなかったものの、多面体マニアとしては気になるニュースでした。因みに400年前とはヨハネス・ケプラーの時代の事で、そういう意味ではかなりの衝撃的なニュースになるのだろうと思います。
「対称性多面体」とは聞きなれない言葉だと思いますが、正多面体(プラトン立体:すべての面が同一の正多角形で構成され、かつすべての頂点において接する面の数が等しい凸多面体)の亜種として、要件を緩和することで対称性を持つ多面体の事で、アルキメデス立体と呼ばれる半正多面体やケプラー・ポアンソの立体と呼ばれる星形正多面体が該当します。今回のニュースはそのような「対称性多面体」の新種の発見というニュースです。
ただし、今回の新種には多面体構造の前提条件とされる「面が平面である」という要件が緩和されており、完全な平面ではない「ねじれた面構造」が許されており、ねじれ具合を調整し、面の数を増やすことで、対称性を持った立体は無数に作り出せる可能性があるらしく、その事自体があまり面白くありません。
正多面体は五つしかない事が良いのであって、しかもそれが数学的に証明されている事が良いのです。無数にあるとしたら、それらにはあまり有難味を感じません。少数で貴重である事が重要なのです。
思うに、数学と言う最も基本的な分野でも新発見がある事自体は面白い事かも知れません。そう言えば、数学の世界にも未解決問題がたくさんあります。そう言う意味では人類はまだ進化途上の存在なのかも知れません。
結晶学の世界も同じです。例えば、準結晶の発見は1984年の事でした。わずか30年前の事なのです。結晶には存在しない5回回転対称性の物質の存在が示され、結晶学は進化しました。
余談ですが、ウィキペディアの「準結晶」に出ているホルミウム・マグネシウム・亜鉛(Ho-Mg-Zn)合金の準結晶により生成された正12面体は非常に美しいと思います。天然の黄鉄鉱の結晶にはありえない完全な正12面体になっており、美しい正5角形が魅力的です。黄鉄鉱の5角12面体は立方体に屋根をつけたような対称性によって12面体になっており、屋根の傾きが完全な正12面体になる事を阻害しております。
正多面体にイデア論を唱えたプラトンの名前が付いている事に納得します。自然界はイデアの世界ではないのですから。