かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

青年よ、政治を目指せ

2009-04-15 21:34:21 | 国際・政治

若者が政治活動を始めた!

昨日のNHKクローズアップ現代は、若者の政治への関与を高めていこうという動きを紹介するもので、大変興味深く視聴した。私が意識して取り上げてきたテーマの一つでもあり、このテーマをもう少しふくらませて議論してみる。

最近の政治が年金や医療保険、介護保険など老人世代に目が向けられ勝ちで、結果として将来若者に負担を強いる政策が次々と策定される現状に、若者の間に危機感が広まった事に背景があると言う。具体的には大学生が運営して投票を勧める携帯サイトや、議員の政治活動に体験参加するインターンシップの広まり等を報じた。

正面から政治に向き合う若者を取り上げた番組は非常に珍しい。私は今まで見たことがない。政策決定プロセスに世代別の影響力がどう行使されるか、国や地方選挙での世代別投票率と政策、海外諸国との比較等などもっと詳細で具体的なデータで視点を変えて議論をして欲しかったと思うが、それでもよく取り上げてくれたという思いがある。

過去に若者が決めた選挙もある

若者が決定的な役割を果たした直近の政治イベントは、米国のオバマ大統領の誕生だ。インターネットが大きな役割を果したことは以前に紹介した。そんな米国でも、個々の政策決定の局面では老人世代の影響力のほうが強い、若者世代は纏まりを欠き劣勢だろう、と米国内の見方を紹介したこともある。

米国でさえ若者の政治的影響力は限られている。ましてや若者の政治意識が低く纏まりの無いことでは定評のある日本では、というところだが、実は我国でも若者の政治的影響力を端的に示した例がある。

一つは、小泉首相が郵政民営化の可否を問うた4年前の衆院選だ。この時は都市と若者の投票が決定的な役割を果たした。都市部を代表する関東・関西圏の投票率が前回比10%増、全国の20-40歳の投票率7%増が、自民圧勝の決定的な役割を果たしたと、このブログでも紹介した。

もう一つ私が注目した例が長野県知事選だった。ネットの調査で田中前知事が圧倒的に支持されたが、電話調査では村井現知事の支持率が高かった。蓋を開けると電話調査に極めて近い選挙結果となった。それは世代別の投票率を反映したものだった。即ち、老人世代(電話世代)の高い投票率に比べ、若者世代(ネット世代)の投票率は低く、彼らの意思は反映されなかった。

メディアと政治の「お客」の高齢化

日本は急速に高齢化社会に向っている。それは自動的に、メディアの視聴者や選挙民の高齢化を意味する。老人世代の比率が高いだけではない、彼等は若者世代より圧倒的に裕福である。若者世代の方が優勢な領域もあるが、現状ではそれが政治的影響力になっていない。

上記の番組では経済評論家の勝間氏が、若者の政治参画を促すには選挙にインターネット利用を認めるべきだと提案していた。私も賛成だ。しかし、現実のネット世界を覗くと政治的な議論や主張は極端に走り勝ちで個人攻撃が多く、多数の共感を得ていないと感じる。どうやったら前向きで建設的な政策の議論の場の出来るか、それ程容易でない。

日本の場合、既存メディアの役割が依然重い。経営評論家の桐原涼氏によると、調査によれば2005年の新聞の接触率が44%に減った、活字離れが進んだ若者だけなら40%も切っているらしい。新聞は主として50代以上にニュースを届ける媒体になってしまった。記事は多数の購読者を意識した視点で書かれ、編成上そういう記事が増えるのはビジネスとして自然なことだ。

一方、テレビの接触率は90%程度あり最大の影響力を持つが、視聴者の高齢化が進み構造変化が起こっている。若者の視聴時間は2時間程度で趨勢的に減少している一方、老人世代の長時間視聴が補っている。番組はこの視聴者の構造変化を反映し、年金等の老人世代を代弁する発信が増加した。それは単純な善悪判断に導く内容に劣化し、新聞を代替する「質」を提供する領域に達していない。

青年よ、政治を目指せ

番組の報じた若者の活動は、老人世代や地方などのマージナルな領域にのみ光が当たり、政策が決定されていくという危機感から生まれた。若者達自らが立ち上り政治的影響力を持たない限り、我国の将来を背負ういわば背骨の部分(若者世代)を、どう建て直し強くしていくかという政策は生まれて来ない、それどころか借金ばかり押し付けられるという危機感の表れだ。

今盛んに議論されている第2次補正予算は、まさに若者世代に現在も将来も負担を強いることになるものだ。だが、野党の対案も含め予算案はどちらとも「周辺領域へのばら撒き競争」との批判がある。だが、若者世代は纏まらない限り政治的影響力を持てない。少なくとも、如何に背骨を強くするかという視点での政策かどうか、徹底的に吟味して意思表示すべきであろう。

最後に、いつもタイムリーに問題提起をする「クローズアップ現代」には敬意を表したい。この番組は隠された問題を見出し、色々な角度から分析し国民に考える材料を提供してきた。本件については、更に突っ込んで分析し議論して視聴者に考える材料を提供することを期待したい。若者には自分の未来を決める権利があるが、その権利の行使には助けがいる。■ 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする