カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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季節はずれの大雨 三重県尾鷲で24時間に315・5㎜

2009-12-11 23:57:56 | インポート

①12月11日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月11日12時の日本全国のウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③12月11日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④12月11日12時現在のレーダーアメダス解析雨量図(全国) 気象庁HPより引用

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12月11日は、本州の南海上を、前線を伴なった低気圧が東進しました。

この低気圧や前線に向かって、南から暖湿流が大量に流れ込んだため、関東以西の南岸沿いの地域では、所々で、12月としては季節はずれの大雨となりました。

三重県の尾鷲では、11日19時30分までの24時間で315・5㎜を観測しましたし、鹿児島県の屋久島でも、24時間降水量が213㎜を観測しました。

冬季は気温が低下するため、大気中に含まれる水蒸気の量が夏季よりも多くなく、台風時や梅雨時のような大雨は降りにくいというのが一般論ですけど、この季節はずれの大雨、どうも、日本の東海上に勢力を広げている高気圧の縁を廻るようにして流れ込んだ暖湿流が大きな要因の一つに挙げられます。

引用図②の一番下側図より、上空1000m付近では、関東南岸では東より風、八丈島では南東風となっていて風速が10m以上と強まっており、名古屋では南東風で風速20m以上と特に強まっています。

これは、引用図①で紀伊半島のすぐ南にある低気圧の進行方向前側にあたる、伊豆諸島近海から東海道沖にかけて、暖湿流がそれぞれ東より風と南東風とになって大量に流れ込んで、伊勢湾周辺から紀伊半島の東側付近で前記東より風と南東風となった暖湿流が収束していることを示しています。

このことは、引用図③より、水蒸気画像で、伊豆諸島近海から東海道沖にかけて、南から白く輝く画像が分布し、特に紀伊半島周辺で一層白く輝く画像が見られること(水蒸気画像では、白く輝く程、上昇する水蒸気が多い状態を表現します。)でもうなずけられますね。

実は、こういう、紀伊半島周辺で暖湿流が収束している状態は、低気圧が紀伊半島へ接近する前から先行して、11日未明から発生し、その後、低気圧通過まで持続していました。

さらに、三重県の尾鷲周辺では、紀伊半島の南東に開いた斜面沿いに位置しますが、局地的には、更に、東西方向から南東~北西方向に地形的な鞍部になっており、前記した、紀伊半島の東側付近で収束した暖湿流を、比較的長時間、局地的に一層強制上昇させしめて雨雲を特に発達させたため、今回の大雨に繫がったと見られますね。

Ⅰ:暖湿流の収束箇所かかる+Ⅱ:暖湿流が地形的に強制上昇が長時間にわたる 地域では=とりわけ降水量が多くなる。これは鉄則です。