ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その83
海外滞在が長く、外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。 とにかく私もビックリ。
私も見習いたいと思っております。
読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので ぜひコメント欄にお願いします。
◇この間、初めて「つくばエクスプレス」に乗りました。茨城県のある町に
所用があり、秋葉原から快速に乗ると、30数分で着いてしまい、時間的
には「渋谷-浅草」(東京メトロ)や「三鷹-東京」(中央線)の移動と同じ
で「近い!」と思ったものの、片道料金は「800円」とちょっと割高でしたね。
JRに比べてつくばエクスプレスは、近距離は高くて遠距離はそうでもなく、
首都圏の私鉄では「東急」がダントツで安く、「北総鉄道」がぶっちぎりで
高いみたいです。 幸い今まで乗ったことがなく今後も多分乗りませんが。
http://fuuka.org/20090907_tx_fare.html
◇岩波書店が新入社員の定期採用の応募資格で、「著者や社員の紹介
があること」を条件にした“コネ入社?”がニュースで話題になりましたが、
その目的は、「数名枠採用に1000名を超える応募者の絞込みのため」で、
はからずも岩波の“採用能力のキャパ”が露呈してしまったわけです(笑)
昔からメディアや広告代理店の業界では、代議士や文化人・俳優の子弟
が縁故採用で入るケースが公然と噂され「それはズルイ、平等じゃない」
と言っても、結局、採用する企業側の“人材”に対する考え方次第ですね。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34510
◇食後のフルーツには、柑橘類が一番サッパリしていて好きなんですが、
年末年始は和歌山や三ヶ日産の小さめのミカン、1月末から宇和島産の
伊予柑(いよかん)を食べて、そろそろなくなりそうなタイミングで、ある方
から瀬戸田産のネーブルが1箱届き、これが食べ終わるころには甘夏が
出始める時期なんですね(笑) ま、グレープフルーツの輸入モノみたいに
年がら年中スーパーで購入できる果物もありますが、やはり“旬のもの”
となると柑橘類ではありませんがイチゴもこれからがシーズン到来です。
http://www.kudamononavi.com/calendar.htm
【演劇】
■MONO 「少しはみ出て殴られた」(吉祥寺シアター、12/02/18 ★★★)
京都を拠点とする劇団で作・演出:土田英生。 収容所内で服役する6名
の犯罪者と2名の刑務官の話。 ある日、独立運動により国が2つに分裂
したことが発端となり、犯罪者と刑務官の間も、出身地によりグループが
2つに分裂。国境線が収容所内を通っているらしいことが分かり、一方が
境界線を設置したことで、両者の間で喧嘩が起きます。 閉ざされた場所
でも些細な利害関係にこだわり、既得権を主張するひとの滑稽さを表現。
http://www.c-mono.com/stage.html
■Nylon100℃ 「持ち主、登場」(CBGKシブゲキ、12/02/18 ★★★☆)
ナイロン100℃の大倉孝二が、とことんふざけたナンセンス芝居を企画し、
コント、ダンス、バンド演奏を好き勝手にやってみたという楽しいステージ。
峯村リエと村岡希美が共演。つぶれそうなレストランの女主人(峯村)に、
再建資金を稼ぐためヘアヌード写真集を出すよう提案する料理人(大倉)
の話から、最後は突然「大化の改新」になる強引で支離滅裂な展開です。
コントにダンスと歌と演奏を加えることでメリハリのある舞台になりました。
http://cubeinc.co.jp/stage/info/nylon-side2012.html
■ペンギンプルペイルパイルズ 「ベルが鳴る前に」(本多劇場、12/02/19
★★★★) 倉持裕の作・演出で奥菜恵が客演。 舞台の中央に置かれた
巨大な謎の機械の前で、婚約者(小林高鹿)が運転するトラックの帰りを
待つ女性(奥菜)。 大きな機械が障害物となり、故人の葬儀をあげること
ができない村人たち。緊急な召集があり、地下でさまざまな検査を受ける
人たち。 “オムニバス”(omnibus)形式で話が進み、謎の機械がラストは
「ノアの箱舟」のような、乗り合いバス(omnibus)に変化するオチが面白く、
この物語の主役は特定の登場人物ではなく、“omnibus”だったんですね。
http://penguinppp.com/next/16/
【映画】
■おとなのけんか <原題 CARNAGE>(★★★★)
昨年1月、日本でも上演(邦題:大人は、かく戦えり)され、ブロードウェイで
大ヒットした舞台の映画化。 子ども同士の喧嘩で、ケガを負わせた加害者
と被害者の2組の夫婦が集まり、友好的な話し合いの場が徐々に互いの
エゴのぶつかり合いとなり、険悪なムードに変わっていくブラック・コメディ。
ジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレットが演じる2人の母親がすさまじく、
エキセントリックな修羅場と化します。 最後エンドロールで映るハムスター
のキョトンとした顔と、公園で遊ぶ子どもたちの平和な姿に思わずニッコリ。
公式HP ⇒ http://otonanokenka.jp/
■メランコリア <原題 Melancholia> (★★★)
ここまで救いようのない終末観たっぷりの映画も久しぶり。 ワーグナーの
「トリスタンとイゾルデ」と冒頭スローモーションを駆使した幻想的な場面が
印象的。 ゴルフ場のクラブハウスで行われる結婚披露宴に2時間遅れで
到着した新郎新婦。 出席者から祝福されるパーティーが進行するうちに、
精神的に不安定さを増した花嫁が突飛な行動ですべてをぶち壊す第1部。
惑星メランコリアが地球に接近するまでを描く第2部で重くのしかかるのは
“ブルー(憂鬱)”の色調で、映像は素晴らしいけど、絶望と悲劇的な結末。
公式HP ⇒ http://www.melancholia.jp/
【Book】
■舟越桂 「個人はみな絶滅危惧種という存在」(集英社、11/09/10 ★★★★☆)
岩手県盛岡市出身の彫刻家の創作メモとデッサンと作品をカラー写真で
紹介。「アトリエは迷いの場であり、迷うから道を探す」 「作ることは、見る
こと。混沌を鮮明に(新作の意味)」 「思考が具象」などさまざまな断片と、
30年以上書き続けられた短文を読みながら、楠材を使った特異な彫刻を
眺める至福のとき。金沢21世紀美術館で、初めて彼の個展を見たときの
なんともいえない感動の瞬間がよみがえってきます。もちろん写真よりも
実物を見たほうが何百倍も素敵ですが、ぜひ大型書店で眺めてください。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-780604-5&mode=1
彫刻家・舟越桂の創作メモ 個人はみな絶滅危惧種という存在 | |
舟越 桂 | |
集英社 |
■井上雄彦 meets ガウディ 「pepita」(日経BP社、11/12/12 ★★★★)
『スラムダンク』『バガボンド』などで有名な漫画家が、ガウディの出身地
レウスから、モンセラート(のこぎり山)やバルセロナを訪れ、彼が設計し
建設に携わった施設や公園を見て回った旅行記。表題は果物の“種”の
意味であり、同時にガウディが愛してフラレタ女性の愛称です。130年前
着工したサグラダ・ファミリアでは、現在作業を行っている職人さんたちと
会話して、プレートに書く日本語文章まで頼まれてしまう偶然の出来事も。
漫画家らしいデッサンと現地写真を豊富に掲載し、DVD映像の特典付き。
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/195820.html
pepita(ペピータ) (井上雄彦 meets ガウディ) | |
井上雄彦 | |
日経BP社 |
【オマケ、今週の気になった言葉】
■いつか届いてほしいと願いながら手紙を書いたその気持ちは、純度の
高いダイヤモンドのように硬く透き通っている。
(by 石川直樹 『世界を見に行く。』のあとがき「届かなかった手紙」より)
「届くかもしれないし届かないかもしれない。 すくい取ってくれるかもしれ
ないし、こぼれ落ちるかもしれない。そのような偶然を孕んだコミュニケー
ションの手段が手紙だとしたら、それは旅も同様だろう・・・」 と続きます。
携帯・電子メールの普及により、誰もが気軽に遠方にいる友人や知人と
連絡が迅速に取れるようになった反面、手間と時間がかかり割高になる
手紙やハガキによる通信手段はほとんど使われなくなりました。年賀状
の習慣がかろうじて残っていますが、これも時間の問題かもしれません。
ツイッターで不特定多数につぶやいたり、フェイスブックに登録して仲間
を募ったり、携帯メールでやり取りすることが、今ではフツーの通信手段
となり、逆に万年筆やボールペンで手紙を書くことは、ひどく時代遅れの
行為です。「絵葉書や便箋に文字を書き、切手を貼って投函すること」を
久しくやっておらず、今度手紙を書こう!と改めて思い起こさせるひと言。
では。