ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:ハンバーグ?

2017年09月28日 17時27分39秒 | Weblog
別山乗越から劔沢テント場までの下りはガスの中の下りとなった。
それでも右を向いても左を向いても夏山ならではの高山植物に覆われた斜面を見ることができた。
「ガスが切れれば、目の前にはドドーンと劔が構えているんだけどねぇ・・・。」
ここから見る劔岳の圧倒的存在感を感じて欲しかった。


この雪渓を下ればもうテント場に到着する。
スリップには十分注意して下ってはいるが、ザックが大きいだけにバランスの保持は通常ルート以上に難しい。

テント場に着き、先ずは設営場所の確保。
設営するのは事務所で手続きを済ませてからでも十分間に合う。
混雑はしていなかったとはいえ、とにかく場所の確保を最優先した。
このテント場、トイレが雪渓を横断した先にしかないのが難点であるが、ロケーションは最高に良い。
今回の山行は2泊で、初日がテント泊、二日目は劔沢小屋に泊まることになっている。
たった一泊なので、ロケーションを優先して場所を決めた。


管理事務所に隣接している劔沢警備派出所に掲示されていた案内図。
ホワイトボードに手書きで描かれている。
出発前に何度もルート状況は確認したが、やはり現地での生の情報が欲しかった。
隊員の方に聞いてみたが、自分なりにまとめれば、昨年よりは残雪は多いが、アイゼンやピッケルは不要。
その他いろいろと教えていただいたが、結論は「今の時期の例年通り」となった。
あとは明日の天候にどう左右されるかだ。


もう慣れた手つきで設営もスムーズ。


女性らしく、丁寧に設営しています。(拍手)

各自設営が終わり、夕食作りの時間まで休憩を取ることにした。
幸いに雨が降ることもなく、自分はテントの外で珈琲を飲みながらこれまでの山行記録をつけ、明日の予定の確認をした。
危険箇所の通過手順、セルフビレーやアンザイレンのギアは持ってはいくが、それは最終手段とすること。
時間配分については余裕を持って一定のペースを守る。
などなど、やはり人を連れての劔は慎重になってくる。

さて、日が落ちる前に食事を済ませるためそろそろ準備に取りかからねばならない。
今夜のメニューは「ピーマンの炒め物」そして「ハンバーグ」だ。
ハンバーグと言っても、コンビーフにハンバーグの素を混ぜ合わせて焼くだけの「なんちゃってハンバーグ」だ(笑)。
すべて頭の中で勝手にイメージしたレシピなので味の保証は無い!
無いが、それもまたテント泊ならではのお楽しみだろう。


コンビーフとハンバーグの素と水を混ぜるが、想像していた以上に柔らかすぎて不安になってきた。


実際に焼いてみたが、フライパンに肉がこびりついて上手くひっくり返らない。
それどころか形がどんどん変形していってしまい、ただのコンビーフ焼きになってしまった。


KMさんは野菜炒めの準備。
普段、調理をしている姿など見たことがないだけに、「おぉ~やっぱり女性だったんだ」と感心してしまった。(失礼!)


AM君が炒めている合間に、自分の焼き方があまりにも情け無かったこともあって、KMさんがすかさず焼きを手伝ってくれた。
いや、手伝うのではなく、チーフとなって取り組んでくれた。


KMさんが使用しているフライパンは。フッ素加工だったかテフロン加工だったか忘れたが、自分の物とは違い表面に焦げ付き防止の加工が施された物。
肉の形も崩れず、焦げ付かず、実に美味そうな感じ。
師匠! おみそれしました。 m(_ _)m
「KMさん、やっぱり女性だったんですね。」
「え~、なんですかそれ(笑)。」
ちなみに、下山後に自分も焦げ付き防止加工されたフライパンを購入した。
(次こそは!)

調理をしている時がこんなにも楽しいひとときは初めてのことかも知れない。
失敗をしても、会話をして笑って過ごせる調理だった。


明らかに二種類のハンバーグと言ってよいだろう。
て言うか、形を成してない(笑)。
自分の作ったものがどちらかであるかは言わずもがな!(情けなぁ・・・)


まぁ見た目はさておき、すべて終了。
味は心配なかったことがせめてもの幸いだった。

後片付けを終え、食後の一服と珈琲タイム。
時刻はもうすぐ19時になろうとしていた。


ほんの一瞬だったが、劔が見えた。
KMさんの「わぁ」と呟くような小さな声が聞こえた。
表情は分からなかったが、それが不安を意味しているのか感動を意味しているのか。
声だけでは判断できなかった。


日も落ちかけ、明日のことを語り合った。
いろいろなことを話し確認した。
「とにかくじっくりと焦らず登る」
「緊張の連続するポイントでは、可能な限り途中で一度気持ちをフラットにする」
「無事下山したらビールで乾杯する」
こんなことを話し合った。

明日は雨を覚悟しなければならない。
時間をかけてでもゆっくりと攻める。