ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:眠い・・・

2017年09月26日 00時17分19秒 | Weblog
雷鳥平へと下って行く途中で高山植物に目がとまった。
今回の劔岳:立山縦走においては、ただ山に登るだけでなく「夏の高山植物を愛でよう」という目標も設定した。
名前は分からなくてもいい。
せっかくの夏山だ、登るだけではもったいない。


これはみんなが知っている「イワカガミ(コイワカガミかも)」。
三日間を通していたるところで群生を見ることができた。
疲れている時にこそ、ふと目をとめるだけで不思議と癒される。

雷鳥平のテント場で休憩を取った。
これから今日の行程の中で最もきつい雷鳥坂を登攀する前に水分とエネルギーの補給をしなければならない。(もちろん一服もね♪)
「雷鳥坂ってかなりきついんですか?」
KMさんが不安そうに聞いてきた。
「テントを背負っている分だけきついけど、今日はテント場までだし、時間をかけてゆっくり登るから大丈夫だよ。AM君もいるしね(笑)。」


さぁ、ハーネスを締め直して出発だ!

と言ったものの、肝心の自分が今ひとつだった。
体調が悪いのではなく、ただ眠いだけなのだが・・・。
あくびが頻繁に出ていることが少し気になった。
この先は残雪の踏み抜きやガレ場でのスリップ、浮き石にも注意が必要であり、それなりに集中しなければならない区間となる。
顔面を雪に押しつけてでも眠気を飛ばした方がいいかも知れないと感じていた。


橋を渡る。
木材を数本くくりつけただけの簡易な橋だけに、歩く度に弾む様な感じで体が浮く。


「キャー! ダメですー! 私こうゆうのダメなんです!」
「まーた。なぁに乙女チックなこと言ってるの(笑)。」
「そんなぁ~。一応か弱い乙女ですよ。」
と言いながらも、揺れと弾みを楽しんでいるようだった。(と思う)


登り始めてすぐ残雪ルートとなった。
日差しが暑い分、僅かな風でも雪の上を吹く風は心地よかった。
しかしまだあくびが出る。


真夏に雪道を登ることなどそう滅多にあるわけではない。
北アルプスとはいえ、どこにでも残雪がある訳ではないだけに、彼女にとってはここを登るだけでも良い思い出になってくれると思っている。


はい「チングルマ」の登場です♪
「この程度の群生はまだ小さい方だから。乗越から下る途中あたりになるともっとすごいはずだよ。チングルマ、ミヤマダイコンソウ、イワカガミ、タテヤマリンドウ、ハクサンイチゲなんかがうじゃうじゃだから。」

なぁんて知ったかぶりをしながら登り続けてはいたが、やはりまだ眠い。


するとAM君から「これは何て言うんですか?」
「え~っとね、え~っとね・・・ミヤマキンバイだったかミヤマキンポウゲだったか・・・シナノキンバイだったか・・・たぶんそのどれかだと思う。(笑)」

しばらくして

「これ、何ですか?」
「おっ、これは分かる。アオノツガザクラだ。」
やっと自信を持って答えられる花に会えた。

高山植物をそこここで愛でながら登り続けたことで、疲労感はそれほどでもなかった。
しかし、まだ眠い。


休憩を取るためザックを下ろした。
残念ながら雷鳥平方面はガスっており、薬師岳も見ることはできなかった。
「私すぐお腹が空くんですよ。何か食べた方がいいですか?」
「一に水分、二に塩分、三に糖分、四にカロリー。でもって五にニコチンかな(笑)。
まぁそれは冗談として、何か口にした方がこれからの為にもいいよ。 それにしてもKMさんて、そんなか細い体ですぐに腹が減るの? あまり食べないイメージがあったけどね。(笑)」
「私けっこう食べるんですよ(笑)。 でもか細いって、○○さんだって人のこと言えないじゃないですか(笑)。」
確かに彼女の言う通りだと思った。


この写真はKMさんがいつの間にか撮ってくれたもの。
あまりの気持ちよさと眠さで、行動食も摂らずウトウトとしてしまっていたらしい。
この時の気持ちよさは今でもよく覚えている。
「あぁ~このまま数時間眠れたら幸せなんだけどなぁ・・・」
そう思っていた。
残念ながら10分ほどの休憩で出発とした。
単独だったら、おそらくは1時間ほど眠ってしまっていただろう。

登りはまだまだ続く。
だが、ほんの少し目を閉じていただけでスッキリした気分となってくれた。
「よっしゃ! やっと登攀モードになった。行くぞー!」
KMさんが少々お疲れモードになってしまったタイミングで自分の体が目覚めたようだ。
AM君は問題ないだろう。
若さとは実に羨ましいかぎりだ。


さぁ、この辺りまで登ればあと30分くらいで乗越だ。
ハートマークを作ってガンバガンバ!!


男同士の無骨なハートマーク。
またこれも楽しからずや(笑)。


もうすぐ石段の登りルートとなる(はずだ)。
そうなれば乗越までそう遠くはない(はずだ)。
やや記憶違いという不安はあったが、ほどなくして石段の登りルートとなった。
「この石段になったらもうすぐのはずだから頑張ろう!」
ふと上を見上げれば、劔御前小舎とトイレの建物が見えた。

「ほら!」
と言って、上を指をさすと「やったぁー! でもあそこまでが遠いんですよねぇ。」
「あと5分だよ。」
その言葉にKMさんニッコリだ。

予定より30分ほど遅れてはいたが、気にすることはなかった。
乗越で休憩し、ザックをデポして劔御前まで行く。
後はテント場まで下ればそれで今日の行程は終わる。
15時を過ぎても問題はないし、それにこの天候であれば今日は雨が降ることはないだろう。
あと5分だけ頑張ろう!

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