ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

ラストジャンダルム「帰ろう・・・」

2021年04月18日 18時56分51秒 | Weblog
「○○さ~ん!」と声を掛けられ振り向いた。
瞬時にポーズを撮り一枚撮ってもらった。
おそらくはこれがジャンでの最後の写真になるだろう・・・。


今にして思えば、最後になるだろうから何かもっとカッコイイポーズでもとれば良かったかかと思う(笑)。


N君も最後にもう一枚。

テン場へ戻るコースタイムを考えればもう下りなければならない。
後ろ髪を引かれる思いでジャンを去った。
「いつまでも感傷に浸っていることは危険だ。気持ちを切り換えなきゃ。」
そう思いジャンの側壁にへばりついた。


撮ってくれるのはありがたいが、「ここで撮るのも最後かな」という思いが出てしまう。
いかんいかん!
集中しなければならない。

ロバの耳の下りとなった。
この下りの区間が今回最も慎重に、そして緊張を強いられた区間だった。
下れそうなルートが二つあった。
どっちを選択すべきか・・・。
暫し考え選んだのは左側のルートだった。
本来のルートなのだろうが、右からも行けそうな気がしてならなかった。
「登ることはできても下りるのはまた別」という当たり前のことがプレッシャーとなり、どうしても決めきれない。
「先ず俺が行ってみる。もし無理そうだったら戻って別ルートだ。」
そう言って下り始めた。
見えているスタンスポイントに脚が届くだろうか・・・。
届いてくれれば何とかなる。
その繰り返しだった。
岩を掴むホールドポイントでも何度か迷った。
「ここを掴めても次がどうか・・・」
迷いは言葉には出さなかった。
出せばN君にも影響が出てしまうだろうと思ったからだ。
できるだけポジティブに考え、表情だでも「次があるさ!」みたいな感じで下った。

「おっしゃぁ~! クリア!」
本音を言えばホッとした。

今度はN君の番だ。
上からある程度のポイントは見えていたから参考にはなるだろう。
自分は下からアドバイスを送った。


慎重にゆっくりと、ここは一番ゆっくりと動くべきポイントだ。


よっしゃ! 
そこまで下りればもう大丈夫だろう。

なんとか最大の難所をクリアできたことでお互い顔がほころんだ。
この先にも「馬の背」が待ち構えてはいるが、復路は馬の背を登ることになる。
だが下りと比べればやや楽になる。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿