ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

南八ヶ岳縦走 「昼食そして赤岳へ」

2022年12月24日 22時58分11秒 | Weblog
赤岳展望荘に着いたのは正午頃だった。
途中の休憩を多く取ったとは言え、ほぼ予定通りで無理のないコースタイムだ。
しかし、どうにも両足の土踏まず辺りに疼きを感じてならなかった。
靴ずれの一歩手前のような感覚であり、このまま縦走を続ければ悪化してしまうことは経験から言って必至であると感じていた。

展望荘の建物を風よけにして腰を下ろした。
先ずはお湯を沸かす準備に取りかかる。


題して「赤岳を前にいざラーメン!」

お湯が沸くまでの間、アルパインブーツとソックスを脱ぎ症状を確認した。
予測していた通り、両土踏まずはピンポイントで皮膚が赤くなっていた。
原因はソックスにあると判断し、皮膚にキネシオテープを三重に貼り付け、予備のソックスに履き替えた。
「これで大丈夫(のはずだ)。もう少しもってくれよ。」

数年前の冬期谷川岳登攀時においても、似たような事が起きた。
あの時の原因がソックスの「へたり」にあったことで、今回もおそらくは同じだろうと思ったのだ。
「まだ大丈夫だろう・・・」と思っても、現場はそう甘くはないということだ。
予備のソックスを入れておいて正解だった。
それにしてもほんの数分素足となっただけで指先の感覚が鈍くなってしまうほどの寒さには参った。
風を遮っているとは言え、体感的にはー20°くらいはあるだろう。
(帰宅したら新しいソックスを買わなければ・・・)

さてやっとのこと昼食にありつける。
この寒さであればメニューは「汁物」に限る。

大盛りカップ麺(醤油味)。
途中の行動食だけではきつかったなぁ(笑)。
風は強いが、好天の雪山山頂付近で食べるラーメンは日本一美味いと感じた。


N君は「リゾッタ」の味付きごはんとスープ。

食後に珈琲を飲んでいると、赤岳から下山してきた方達と出会った。
これから自分たちが進む下山ルートである「文三郎尾根」の状況について聞きてみると、状況はまずまずで積雪はかなりあるとのこと。
ただし西風が強いので、下山となれば体に対し真正面からの向かい風になるので注意してくださいとありがたいアドバイスを頂いた。
自分の予測していた通りの状況であり、ある意味ホッとした。

いざ、主峰「赤岳」へ向け出発!


ここから約一時間をかけ登攀する。
基本は尾根道だが、冬期においては雪とアイスバーンのルートとなっているため、臨機応変なルートファインディングが求められる。

今日最後の厳しい登攀ではあるが、エネルギーを充填したこともあり意欲的に登ることができている。
やはり「飯」は大切だ。(笑)

途中で縦走してきたルートを振り返る。
展望荘が下に見え、横岳と硫黄岳が遥か遠くに望めた。


南八ヶ岳をバックに一枚。
赤岳山頂までもう少しだ。


同じポイントで自分も一枚。

冬期におけるこの縦走ルートが何度目になるのか忘れてしまったが、今度は三十数年ぶりに夏か秋に訪れてみたい思いがした。

風は常に西(右側)から強く吹き付けており、時折体が左へと持って行かれそうにもなった。
アイゼンとピッケルで踏ん張りながらの登攀が続く。


N君が後方から撮ってくれた画像だが、よく見るとピッケルをステイクポジションで用いているのがわかる。
斜度がそれなりに厳しかったこともあり、それで正解だ(と思っている)。


遂に赤岳頂上山荘が視認できる標高まで登ってきた。
嬉しい瞬間でもあり、N君に「ほら、あそこ。もう少しだ!」
「おぉ~遂に来ましたね!」
小屋と山頂方面を示す指標もはっきりと目視できる。
意欲は増すが焦らず登り続けよう。


山頂小屋から見た頂上付近。
他の登山者の姿は見えなかったが、ここからの一歩一歩はN君に譲った。

13時34分、八ヶ岳主峰「赤岳」山頂。
標高2899m、快晴なれど風強し。


しばし360°の風景を眺め感動に浸った。
記念写真を撮り合い、一服した。

ここでも幾つもの思い出がある。
嘗て単独で挑んだ一月下旬の厳冬期。
天候は悪く、風雪とガスで見通しが利かなかった。
デジカメのバッテリー充電は100%でスタートしたはずだったが、せめて何枚か写真だけでもと思いたった5分程度外に出していただけでバッテリーの目盛りは赤になってしまっていた。
あまりの低温のために電圧が落ちてしまったのだ。


極度の疲労困憊でへばってしまった・・・のではなく、一服しながら下山ルートの再確認をしているところ。

テン場には遅くとも16時までに・・・。
できれば15時30分頃に戻れればというのが予定のコースタイムだ。
もうそろそろ出発しなければなるまい。




下山前に登頂のお礼と下山の安全を祈願した。

ここからの文三郎尾根は、最初の30分ほどは少し危険性が高く、慎重に下りなければ転落事故に繋がる区間だ。
そう、過去にやってしまったことがあるからだ。
あの時は雪面ではなく、カッキンカッキンのアイスバーンで覆われた下り斜面だった。
何度来てもそのことを思い出してしまう尾根だ。