ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

長治郎谷右俣「下山、そしてまた今回も・・・」

2020年01月11日 22時01分46秒 | Weblog
令和2年(2020年)初のブログアップとなる。

劔岳で初めてお目にかかった「ミヤマオダギリソウ」「コマクサ」と別れ平蔵の頭を登り始めた。
登っている途中で3名のグループに追いついたのだが、この3名が実にマイペース。
マイペースと言ってしまえばまだ聞こえはいいのだが、「また今回もか・・・」とあきれかえる程危険極まりない実力不足の3名だった。
つまりはクサリ場において両手でクサリにつかまり全体重を乗せそのまま下りて行くという素人丸出し。
そう、毎回出会う「関わりたくない登山者」である。
「何故来るの?」「何故平気なの?」「何とかなると思っているの?」と感じる登山者で、見ていて冷や汗が出てくるし、もしこの人達に何かあったら自分たちが一定の措置(処置)を行い、電波が通じるところまで走り、或いは山小屋まで行き救助要請をしなければならない。
いくら山は自己責任とはいえ、決して見て見ぬふりだけはできない。

劔岳ではそんな登山者と必ず毎回出会ってきた。
ため息が出た。
そして毎回必ず思うことがある。
「山岳事故が減らないわけだ・・・」

3名が平蔵の頭のクサリ場を下り終えるまで「どうか落ちないでくれよ」と祈りながら頭のてっぺんで待つしかなかった。
かなりの時間がかかったが無事下り終え、やっと自分たちの順番となった。
そそくさと下りAM君と顔を見合わせた。
言葉にこそ出さなかったが「追い越して下山してしまおう」ということだ。

一気に距離を離し下山を再開。
「何でなんだろうねぇ。何で来るんだろう・・・」
「登りたい気持ちだけは分かるんですけどねぇ。でもねぇ・・・」
そんなことを言いながら前剱へと向かった。

ガスが出始め、周囲は真っ白。
振り返ってももう3人の姿は見えない。
「ちょっと一服だけしようか」といい、腰を下ろした。
その時だった。
「あっ! あぁ~~・・・」という声がガスの彼方から聞こえてきた。
二人ともさっきの3人組であることに違いないと感じた。
「まったく・・・」と思いながらも状況を確認するために早足で声のする方へと戻った。
幸いに途中で足を滑らせ尻餅をついただけだった。
「良かったです。気をつけて。」とだけ言い残しAM君が待つポイントまで帰った。
「大丈夫、転んだだけだった。さっさと行こう。」
これ以上関わりは持ちたくはない。

怒りにも近い感情が湧いてくる。
彼等が何とか無事下山できたとして、その後起こるいつもの勘違い。
「自分たちは剱にも登れたんだ。上級者の仲間入りだ。だから次はもっと上を目指そう。」
という大きな思い違い。
もうバカらしくなり考えることを止めた。
せっかくの自分たちの楽しみが半減するだけだ。

ガスが取れ始め剱沢一帯が見て取れた。

赤い線がルートで、下の赤い○が今夜の宿である「劔沢小屋」。
そして上の赤い○が剱沢テント場。

少々イライラ感は残ってはいたが、心和ませてくれる高山植物にも目が行くようになった。


「ハクサンフウロ」
「タカネツメクサ」に次ぐ好きな花だ。


「ミヤマダイモンジソウ」
高山植物には「ミヤマ○○」という名の花が多い。
覚えきれないなぁ(笑)

前剱を下り終え、更に下山速度を速めた。
とにかくさっきの3人組と距離を離したかったのだ。
劔岳の下山コースタイムは、剱沢までであれば一般的には休憩抜きで3時間30分が標準とされる。
今回は休憩を含めて2時間20分だったことから、実質2時間での下山となった。

テント場へ戻る前に、いつものように劔沢小屋のご主人「新平さん」に挨拶に向かった。
「テントを撤収したらすぐに来ます。」とだけ伝えた。

熱いシャワーを浴びて冷えたビールが飲みたい。