ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

長治郎谷右俣「美味いビールは充実感から」

2020年01月14日 21時07分49秒 | Weblog
テント場へと戻りすぐに撤収を開始した。
約11時間の縦走だったが、去年のような熱中症気味にならなかったこともあり体調はまずまず。
もちろん疲労感はあったが、右俣を登り切ったという充実感が勝っていた。

いつものように受付を済ませ熱いシャワーを浴びた。
さっぱり感の後の冷えたビールがこの上なく美味い!
外に出て劔岳を見上げながら長かった一日を振り返った。
体力の衰えを感じながらもまだ何とか若者について行くことが出来たことは嬉しいが、技術や知識、経験はまだ譲れない。
特にルートファインディングにおいては今まで培ってきたものが生かされる。

さて、待ちに待った夕食となった。
が、この時もあまり関わりたくない人と偶然同じテーブルとなってしまった。
やたらと愚痴や文句ばかりが多く、周囲の宿泊者も嫌な思いをさせられていた。
「ったく、なんだよこのおかずは。」
「飯が美味くないんだよなぁ・・・」
とにかくすぐに不満を口に出す。
やや酔ってはいるようだが、それを抜きにしても不快感を与えまくっている輩だった。
そして劔岳を登ったことを盛んに自慢している。
もちろん初登頂の自慢だが・・・

その時だった。
同席していた老夫婦の方が自分に聞いてきた。
「今日登られたんですか?」
「はいそうです。」
「タテバイのコースですか?」
「いえ、北方稜線を縦走してきたのでバリエーションルートでした。」
「あまり詳しくないのですが、やっぱり厳しいんでしょうねぇ・・・」
「そうですねぇ、自分でルートを探さなければならないので結構危険ですね。」
「もう何度も登っているんですか?」
「剱は今日で17回目になりました。」
当然その迷惑な輩もこの会話は聞こえており、それ以降大人しくなったようだ(笑)。

翌朝小屋を出発する前に、快晴の空と剱をバックに写真を撮ることにした。
庭に出るとご主人の新平さんがおり、何年かぶりで一緒に撮ることができた。


新平さんと一緒に!

「また来年お世話になります。ありがとうございました。」
一抹の淋しさはいつものこと。
いつものことではあっても、劔岳においては殊更に淋しい。


別山乗越に向かって登攀開始。


テント場を過ぎ、振り返れば劔岳。
そして北方稜線の一部も垣間見ることができた。


別山乗越が見えてきた。
テントを背負っているとはいえ足取りは軽い。
これも充実感や達成感、そして天候のなせる業だろうか。


別山乗越で「剱御前(2792m)」へちょっと寄り道。


雷鳥坂を下る。
これから剱や立山を目指すであろう多くの登山者とすれ違う。
「あとどれくらいで乗越に着きますか?」
「そうですねぇ、頑張れば30~40分ってところだと思います。」
「え~っ! まだそんなに・・・」
毎回そんな会話が飛び交うのがこのエリアだ。


二日前にもここで登山靴を脱ぎ休憩した。
丸三日間の疲労が抜けて行くような気持ちの良い冷たさだった。

AM君と昼食をどこで食べようかと決めかねていたのだが、彼がまだ中には入ったことがないということで「ミクリガ温泉」へと寄り、そこで昼食を食べることにした。
「ここでは外でソフトクリームしか食べたことがないですから楽しみです。」

ランチメニューとなっており、自分は「富山ブラック」というご当地ラーメンを注文した。
AM君は先ずは生ビール。
彼の飲む姿を見て辛抱しきれず自分も生ビールを追加注文した。


たまらない美味さだ!

実を言えば、初秋となる9月にも劔岳に登る予定になっている。
同じ職場にまだ剱に登ったことのない若者がおり「是非連れて行って欲しい」と言われている。
体力、技術、知識は問題ない。

秋にも美味いビールが飲めることを願っている。