通でがんす

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森 やすじとオーレおじさん

2022年05月18日 | 日記

(『世界の童話22 アンデルセンの絵話』小学館 1969年)

先日、実家の整理をしている女房が、
子どものころ読んでいたという
絵本を持って帰ってきた。
活字中毒のわしとしては、
たとえ子ども向けの絵本であっても
目を通さないと気が済まない。

読み進んでいくと、
「オーレおじさん」という話のさし絵で、
どこかで見たような
やわらかで丸っこい絵柄を見つけた。
文末に「絵・森 やすじ」とあったので、
「おぉ、このさし絵は
森さんが書かれとってんかぁ」
と、もう一度読み直した。



今日は、
森 やすじさんとオーレおじさん
についての話でがんす。




(大塚康生『作画汗まみれ 改訂最新版』文春ジブリ文庫 2013年 29ページ)

森 やすじ(森 康二。1925年1月28日-
1992年9月4日)さんは、
アニメーターで絵本作家。
「日本のアニメーションの父」と呼ばれた
政岡憲三(まさおか けんぞう)さんに
師事してアニメーションを学ぶ。
1956年、東映動画
(現・東映アニメーション)が
発足した当初から参加。
東映動画初の長編漫画映画
(当時は、「アニメーション」でなく
「漫画」と呼ばれていた)
『白蛇伝』(はくじゃでん。1958年)では
大工原 章(だいくはら あきら)さん
とともに原画を担当。
『わんぱく王子の大蛇退治
(おろちたいじ)』(1963年)で、
日本で初めての作画監督を務める。


↓映画『白蛇伝』については、こちら↓

「1958年10月22日 『白蛇伝 (劇場版)』 予告篇」YouTube


↓映画『わんぱく王子の大蛇退治』については、こちら↓

「1963年3月24日 『わんぱく王子の大蛇退治 (劇場版)』 予告篇」YouTube


森さんは東映動画時代、
大塚康生(おおつか やすお)さん、
奥山玲子(おくやま れいこ)さん、
小田部 羊一(こたべ よういち)さん、
高畑 勲(たかはた いさお)さん、
月岡貞夫(つきおか さだお)さん、
中村和子(なかむら かずこ)さん、
宮崎 駿(みやざき はやお)さんなど
多くの人材を育てたことでも知られる。



ところで、
森 やすじさんがさし絵を描かれた
『オーレおじさん』とは、
どんな話なんじゃろ?
実はわしゃ、今回本を読むまで
この話を全然知らんかったんじゃが…。

オーレおじさんは、
オーレ・ルゲイエという名前の
夢の妖精(眠りの妖精)。
ルゲイエには「目を閉ざす者」
という意味がある。

オーレおじさんは、
ミルクの入ったビンと
美しいカサを手に持ち、
シルクで虹色に輝く服を着て、
足音を立てないように
くつ下をはいている。
オーレおじさんから
ミルクをかけられた子どもたちは、
急に眠くなって夢の中へ。
オーレおじさんがカサをさしかけると、
子どもたちは楽しい夢を見ることが
できるという。

原作のオーレおじさんは、
ヤルマールという小さな男の子のところへ
月曜から日曜までの1週間、
毎晩あらわれるという話になっている。

この本では、


植木鉢の花が大きくなって、
いちごジャムのにおいがする
花を咲かせる話(月曜日)、


はつかねずみの結婚式に
出席する話(木曜日)、


夜空の星をみがく話(土曜日)、


額縁の絵の中に入って、
お姫様からキャンデーを
もらう話(火曜日)、


そして、おばあさんと再開する話
が書かれている。


↓オーレおじさんについては、こちら↓

「眠りの精」青空文庫



以下、余談。

森さんが作り出した
キャラクターの中で有名なのが、
東映アニメーションの
シンボルマークである
猫のペロ。
これは『長靴をはいた猫』(1969年)
の主人公なんじゃの。
そして、
『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968年)
の少女ヒルダ。


↓ペロについては、こちら↓

「ペロについて」東映アニメーション株式会社


↓『長靴をはいた猫』については、こちら↓

「東映動画「長靴をはいた猫」予告編 - 猫とたわむれる森康二」YouTube


↓ヒルダについては、こちら↓

「【太陽の王子】ヒルダの唄(1-C&1)【ホルスの大冒険】」YouTube



以下、さらに余談。


森さんは、テレビアニメ
『アルプスの少女ハイジ』(1974年)の
パイロットフィルムを手がけている。
(現存するなら、是非見てみたい!)
『ハイジ』といえば、
森さんの後輩にあたる
高畑さんが演出を務め、
キャラクターデザインを小田部さんが、
画面構成を宮崎さんが手がけた
あの作品のことじゃ。

パイロット版とテレビ版で
違っているもののひとつに、
ハイジの髪型がある。
パイロット版では
おさげの三つ編みなんじゃが、
テレビ版では
例のショートカットになっとるんじゃの。

なんでじゃろ?

アルムおんじに預けられたとき、
ハイジはわずか5歳じゃった。
5歳の女の子が、自分の髪を
三つ編みにすることができるか?
できない。
あのアルムおんじが、ハイジの髪を
三つ編みにすることができるか?
できない。
…というわけで、
テレビ版のようなショートカット
になったという話じゃ。

(これは、エールエールA館で
「ハイジ展」があったとき、
ズイヨー(瑞鷹)の高橋茂人さんの
コメントとして書かれていた
…と記憶する)


↓アニメ『アルプスの少女ハイジ』については、こちら↓

アルプスの少女ハイジ公式ホームページ



【参考文献】

小田部 羊一、藤田健次『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』講談社 2019年




今日は、
森 やすじさんとオーレおじさん
について話をさせてもろうたでがんす。

ほいじゃあ、またの。

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