晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

大唐内のこと(5) 10/25

2010-10-26 | 歴史・民俗

2010.10.25(月)雨

 大唐内(おがらち)とは不思議な地名である。隣の谷は小唐内(こがらち)、もう一本奥が市茅野(いちかや)である。上林には市志(いちし)、市ノ瀬(いちのせ)など”いち”の付く地名がある。一般に言う市の立つような場所でもない、何の意味があるのだろう。興味は沸くが今は置いておこう、大唐内が先である。大唐内の地名考は実は上林研究の最終項だと思っている。古代の上林を探るに当たって、大唐内周辺は最も重要な地域だという勘がするのだ。
 最終項になるべき大唐内の地名考を早い段階で書いていくのは、研究の過程によって変化する様を見て欲しいからだ。丁度念道の地名考をしたときと同じように、調べるに従って色々と見方が変わってくる。そして結論は出ないのだ。地名というのはそういうものではなかろうか。
  大唐内に対する地名考証は原案なるもの、仮説なるものをいくつか考えているがあまりに根拠が薄弱であり、フィールドワークも行えていないので、大唐内のこと(3)(2010.9.23)で紹介した状況証拠なるものの説明をしていきたい。

たまたま最近猪鼻峠のことを書く機会があったので、関連する状況証拠(3)逆谷、佐分利村から書いていこう。
 逆谷(さかさたに、さかさまたに)あるいは逆川というのが、金属採鉱の地によく見られるというのは、多くの本で見知ったことである。最も直近に読んだ本では「日本山岳伝承の謎」谷有二著で、各地の逆川と金属採鉱の地を紹介している。もちろん逆川があるから必ず鉱山があるとは限らないし、なぜ鉱山の近くに逆川があるかということの確たる証拠もないわけである。
 山形県の吉野川、別名逆川は雨読(2010.9.15)で紹介しているところだが端的な例で、大鉱山地帯である。この川は米沢盆地では珍しく南流しているからそう呼ばれるという説もあるようだが、地形図をよく見ると支流の多くが本流とは逆方向から合流している。谷氏は、「鉱物資源は、生成要素の異なる岩質の接触帯に多く求められるところから、そんな場所に急角度な沢が迷走することもありうる」とも書いておられる。これは断層のことを意味しているのだろうか、中央構造線が鉱物の宝庫であることは周知のことである。また、川の流れが急角度で変わっている場合もあり、これも沈降隆起などの地形変化や地層を形成する岩石の変化が考えられる。Img_1230
 
この先に逆谷がある。


 真っ逆さまという表現があるように、極端な急流を逆谷と呼ぶ場合もあるのではなかろうか。この場合は必ずしも、鉱物資源とは関係は無い。
 また逆川のある鉱山で従事していた者が他の鉱山におもむき、近隣の谷を逆川と呼ぶケースもなきにしもあらずである。その場合は逆川の意味を探ってもわからないこととなる。
 実は逆川、逆谷のことはこれまであまり気にしていなかった。ただ単にそういうことがあるのかと頭の隅に残っていただけである。それだけに大唐内のすぐ近く、若丹の国境を越えたところに、逆谷があることを知ったのは大きな驚きだった。つづく
                  (大唐内のこと(4)は2010.9.26)

今日のじょん:かみさんが帰ってきてから、ちょっと甘えん坊になったみたい。それは微妙に感覚的なもので言葉には表しにくいのだが、、、。Img_1521


おとーと二人の時も結構のんびりしておりやしたが、、、。




         

コメント
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