2007.6.28(金)曇り、雨
昨日の夕刊に石見銀山の世界遺産登録が決まったという記事が載っていた。延期が諮問されていただけに、まさに逆転さよならホームランというところか。私が旅してきた所は後から悲しい事件が起きていただけに(徳之島ヘリ墜落事故、長崎市長殺害事件など)喜ばしいことである。この日のために頑張ってこられた地元の方々、関係者の方々にお祝いを言いたい。さぞや町は盛り上がっているだろうと想像する。
逆転登録の影には「自然との共生」「環境」に絞って各国委員に働きかけてきたということが記載されている。石見銀山には無数の坑道がある。露天掘りではないので山を大きく崩すということはない。精錬のため使用する薪も計画的に植林、伐採されてきたとのことである。審議する委員にとっても自然や環境という問題を前面に出されると反対するわけに行かないだろう。作戦勝ちの感がする。
世界遺産登録となった石見銀山の街並み
私が訪れた施設には、鉱害も煙害も鉱毒事件なども示すものは無かった。鉱山で労働する労働者の処遇、環境についての資料もなかった。ただ、佐渡金山のように罪人を坑内に送ってはいないという資料があった。はたして当時の銀山が環境を配意した鉱山であったのか、労働環境は良質なものであったのか、私は信じない。世界遺産登録となった今、観光客を呼んでお金儲けをするだけでなく、これらの諸問題を解明し公表して欲しい。石銀集落や大久保間歩や釜屋間歩のあるシルバーバレイは誰もいなくて、気味悪い程のところであり、旅の情緒を感ずるところであったが、いつかはここにも人の行列が出来るのだろうか。
銀の精錬法灰吹法は朝鮮半島から伝わり、金銀の精錬に画期的な成果をもたらした。文献では石見銀山での使用が日本初となっているのだが、実はその900年も前に飛鳥池遺跡(明日香村)で使用されていたことがわかった。(読売新聞6.29)灰ではなく凝灰岩を利用している点が違うが原理は同一で、灰吹法が飛鳥時代に伝わったという説が濃厚となるようだ。
シルバーバレイ、本谷