自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

タンポポと昆虫(4)

2016-04-08 | タンポポ

4月に入って,タンポポの花が地面を覆うように咲いています。花と昆虫はお互いをパートナーとして巧みな関係を築いているので,花が多いというのは昆虫が多いことを示しています。それで,花の数だけ虫も目立ちます。

虫たちには,地上で咲くタンポポが黄色で装いながら集団でいると,まるでじゅうたんのように,絵の具でもザァーッと刷き広げたように見えるのでしょう。タンポポはその作戦で,自分の存在をアピールしているはず。地面近くにある花で,これだけ強烈な色はこの時期他にはありません。


そう思って見ていくと,タンポポの花のすぐ脇にあるオニタビラコの花にセスジハリバエが1匹とまっていました。オニタビラコは茎が1本だけすっくと立っていて,茎先に小さな花がほんの2,3輪付いているだけ。こんなに小さな花でも背の高さがアピールに成功しているのだあ,と思わず感心してしまいました。

ハリバエがどんな行動をするのか見ていると,今度はタンポポの花に移動。わたしはセスジハリバエとタンポポとの組み合わせを目撃したのは初めてです。キク科の花を頻繁に訪れる昆虫なのですが,そんなに見かけることもないので,わたしには珍しい組み合わせに見えたのです。それで,写真に収めました。

からだの棘状の剛毛はりっぱなもの。全身を覆っています。


口吻をぐーっと花の奥に差し入れると,からだが大きく傾きました。


あるときは,林立した蕊の隙間から口吻が観察できました。


1つの花で時間をかけて栄養を補給していました。もちろん,わたしには気づいていないからでしょう。わたしは花のすぐ傍の地面に指先を付け,コンデジをに保持しながら撮りました。至近距離からの撮影はときには困難が伴いますが,スリルがあります。

食餌を終えると,あっさり飛び去りました。たった一輪の花で貴重な画像を残すことができました。