自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キュウリの花と昆虫

2013-07-25 | 昆虫と花

親子体験農園では,野菜がよく育って,そこに昆虫たちがたくさん訪れています。もちろん,送粉・受粉に貢献する虫たちのことです。

栽培している野菜では,やはり黄色い花弁を付けるキュウリが目立つようです。チョウや大小のハチ類には,その色が目印なのです。

モンシロチョウは黄色が大好き。菜の花を思い浮かべれば納得できます。しかし,キュウリにはあまり歓迎されない昆虫ではないでしょうか。花の奥にまでからだを入れ,からだじゅうに花粉を付けるタイプではありません。ストローで蜜を易々と吸い上げるだけ。これでは,キュウリにははた迷惑でしょう。それで,「受粉に役立っているな」と第一印象だけで解釈するわけにはいきません。 

今度はハナバチが来ました。黄色の花に取り付いた黒っぽいからだは,遠くからも目立ちます。警戒心が強いハチなので,そっと近づくことが撮影のポイントです。一旦吸蜜し始めると,頭をすっぽり花の中に入れた状態になります。それで,こちらが気づかれる恐れがなくなります。

適当に蜜を吸い上げると,近くの花を順に回ります。そのときの羽音は辺りに響き渡ります。朝から,たいへん行動的だなあと感心してしまいます。 

撮影はできませんでしたが,もっと小さなハチも訪れました。 時間をかけて観察すれば,結構いろんな種類の昆虫と出合えるかもしれません。

親子で,こうした観察をする時間が持てればまた野菜栽培のおもしろさが増すでしょう。

 


オオフタオビドロバチの巣作り(1)

2013-07-24 | ハチ

窓外に日除け用のすだれを吊るしています。すだれはヨシを編んだものです。そこに,ドロバチが時折訪れます。たぶんオオフタオビドロバチだろうと思います。

穴の開いた筒に興味があるようで,巣か棲み処か,いずれかに使うのでしょう。餌を持って入る瞬間を目撃したことから考えると,どうやら巣作りのようです。 

穴から飛び出して,また戻って来て,再び飛び出して,という繰り返しでした。そうして,夕方になると,頭を入口に向けてじっとしていました。触覚もちゃんと折り畳んで。ひととき,ねぐらにでも使うつもりでしょう。 

ヨシの穴の直径は5mm。ちょうどの大きさがお気に入りなのでしょう。

 


ジャコウアゲハ観察記(その248)

2013-07-23 | ジャコウアゲハ

ジャコウアゲハが絹糸を出す器官と,出している様子をなんとかきちんととらえることができないか,今,そのことに関心を向けています。

糸を紡ぎ出す瞬間を見るのは度々でも,その光景を写し撮るのはなかなかたいへんなものです。とくにレンズの向き加減が問題だったり,前胸に付いた胸脚で糸を送るのでどうしても死角ができたりして,タイミングを逃してしまいがちです。

今回,素焼きの植木鉢側面で蛹化した個体で,その直前の作業をなんとか撮ることができました。使ったレンズはマクロ105mmとテレコンバーター(×2)の組み合わせです。

糸が白く光っています。尖った突起の先から出てくるのがわかります。それが胸脚2本の間を通って送り出されていきます。 

姿勢の関係で緩やかにカーブを描いていた糸が,ピンと張られています。からだの動きでこういう瞬間が反復されます。ピンと伸びるのは,ふつうからだを後ろに反らし気味になるときです。 

極細の糸が胸脚の間を通って伸びています。この糸が束ねられて太くなります。その一部がからだに見えます。これは帯糸です。 

カメラのレンズで見える極小世界の妙が伝わってきます。「ほほう!」の世界です。

 


ジャコウアゲハ観察記(その247) ~終齢幼虫から前蛹へ(後)~

2013-07-22 | ジャコウアゲハ

尾端を固定し終わった幼虫は,次は,いよいよ帯糸を準備します。

からだを左右に動かして,支持柱にしっかりくっ付けます。からだが落下しないように強度を保たなくてはなりません。極細の糸を束ねて,からだの重みに耐えるようにしなくてはなりません。慎重に作業を進めていきます。 

午後8時43分。出たばかりの糸が見えます。

午後8時58分。糸を引っ張りながら強度を確かめ,糸の束を太くしていきます。 

午後9時30分。作業を終えて,しばらく休んでいます。大作業を終えたのです。

 

午後11時15分。まだ休んでいます。 帯糸を見ると,緩やかにカーブを描いています。このあと,幼虫はからだを湾曲させ,支持柱から離れます。そのときに備えて“遊び部分”が計算に入れられているのです。

午前0時43分。帯糸がピーンと張られました。ゆりかごのかたちです。このまま丸一日が過ぎ,そうしていよいよ蛹へと大変化を遂げるのです。 

 

カメラの位置を変えて写しました。胸脚も腹脚ももう役目を終えたことがわかります。じつに静かな,荘厳なほどの雰囲気です。このとき体内では,蛹化に向けた変化が着々と進んでいるのです。 

 

  


ジャコウアゲハ観察記(その246) ~終齢幼虫から前蛹へ(前)~

2013-07-21 | ジャコウアゲハ

この記事は『ジャコウアゲハ観察記(その245)』で取り上げた個体のその後の変化についてです。

その後,個体は竹の支柱を何度か登ったり降りたり。さらに隣りの竹に移動して同じ動作を繰り返しました。おしまいは,さらに隣りに立てた枯れ木に移って静止。どうやら前蛹の場所を見つけたようです。夕刻のことでした。

頭を下向きにして,尾端を固定する糸を出し始めました(午後7時57分撮影)。やはりここを蛹化場所と決めたのです。

一度絹糸を出し始めると,この作業に集中しています(午後8時6分撮影)。出されたばかりの糸が,ごく細く写っています。 

 作業はまだ続きます(午後8時18分撮影)。

午後8時25分。からだを反転させ,頭を上側に向けかけました。これまでの作業を終えるという判断はどこでなされるのか,ふしぎな光景です。 

上にすこしばかり移動しました(午後8時30分撮影)。 尾端が,糸の辺りに来るように調整しているのです。

尾脚をうまく使って,糸を集める作業に入りました。これで大丈夫と思ったようで,尾端をくっ付けました(午後8時41分撮影)。そうして,尾端が外れないか,念入りに確かめました。力を入れて尾端を離そうとしたり,強く押し付けるしぐさをしたり,実に入念なのです。餅をつくときの,杵の動きに似ています。

こうして,全体の作業の半分を終えました。あとは,帯糸をつくってからだを固定する作業を残しています。

                                                                      (つづく)  

 


ネジバナと昆虫(続)

2013-07-20 | 昆虫と花

ネジバナは花が咲き終わったばかり。この実を一つ切り開いて,中を観察しました。

それにしても,種子の赤ちゃんの数には驚き入りました。数に限りがあるのはわかっていても,これはまさに“無数”です。一粒の大きさは,熟したら長さが0.3mm,太さは0.06mm程度らしいので,まるで微粒子です。一つの実に,これだけの種子をつくらなければならない理由は,もちろんあるでしょう。

それを思うと,ネジバナはふしぎな生活をしているのかもしれません。場所によっては,ネジバナの群落ができています。見応えのあるその風景は,これらの種子から出来上がったものなのです。  

 


ウマノスズクサの花(さらに)

2013-07-20 | 花と実

ウマノスズクサの子房の中をまだ写していなかったものですから,なんとか撮っておこうと思いました。それで,カッターナイフを使って子房を縦方向に切りました。ところが,とても細いものですから,失敗。別の花でも同じことを繰り返しましたが,スパッとはうまくいきませんでした。

そして,三度目。今度はナイフの刃を新しいものに替えたお蔭かなんとかうまくいきました。切った部分を除いた瞬間,驚きました。中に,小さなハエが一匹入っていたのです。ハエはしばらくいて,その後慌てて飛び去りました。

子房の中には行儀よく胚珠が並んでいるのがわかります。ラッパ状になった筒には毛が密生しています。毛の向きが内側に倒れています。外からやって来る虫が,この案内によってうまく導き入れられるわけです。 

撮影していると,間もなく一匹のアリがやって来ました。そうして,中に入って甘みの成分を舐め始めました。しばらくすると,また一匹,また一匹と増えました。おしまいに五匹にまでなりました。それらが甘みに関心を示し,夢中で舐めていました。 

子房を見ようとしたわけですから,今度はさらに倍率を上げて撮りました。みごとなまでの,胚珠の並び方です。いったい何個あるのでしょう。一列で20個以上あります。ということは,全体で数百個になるのかもしれません。

どの子房でもよいので,一つなんとか実にまで育ってほしいのですが……。 

 


ウマノスズクサの花(またまたまた)

2013-07-19 | 花と実

壷になった萼の中を撮影するために,断面を切り開いたままにしておいた花にアリが一匹。今度は,中に入ってなにやら一所懸命にしている様子。じっと見ていると,舐めているような感じです。たぶん,甘みの成分でもあって,それを餌にしているのでしょう。

ついでながら,開口部から侵入することがあるのでしょうか。ふと,そんなことを思いました。 

№1の子房が黄色味を帯びてきています。さて,これが膨らんでいくのでしょうか。受粉しているなら,当然そうなるはずですが。 

 

 


ツマグロヒョウモンの成長(5)

2013-07-19 | ツマグロヒョウモン

朝,植木鉢に植えているパンジーに幼虫が二つぶら下がっていました。支持台になった茎に,尾端をくっ付けて頭を真下にぶらっと下げた状態です。「これなら,今日中に蛹になるな」と予感。

昼間,片方が蛹化しました。「これならまちがいなく,今日中だ」と確信。

夕方のこと。鉢を家の中に持って入り,動きをルーペで確認しました。すると,アゲハで見てきた周期性の収縮・弛緩の運動がかすかに見えました。「かなり近づいてきたな」と思い,目が離せなくなりました。それで,三脚にカメラを固定して撮影態勢を整えました。

やがて筋肉の運動が盛んになり始めました。「そろそろ,蛹化開始だな」と予感。からだがく垂れ下がっています。

午後5時36分。頭部の背が真っ二つに割れ,皮の奥から蛹が覗きました。

5時37分。皮がどんどん尾端に向かって押し上げられていきます。突起が白く,黄色く輝いています。

5時39分。蛹のからだ半分が現れました。

5時40分。皮が上まで押し上げられました。そうして,間もなく落下していきました。

この後もしばらく,蛹はピクンピクンとからだを動かしていましたが,やがて動きが収まりました。こうして新しいいのちが誕生したのです。

明るいうちにこうした変化を観察できるのは,誠にありがたいものです。

 

 


ネジバナと昆虫

2013-07-19 | 昆虫と花

ネジバナは可憐な花を,一筋に並べて咲くユニークな花です。毎年,花を開くのをたのしみにしてます。これまでも,地下茎や,訪花昆虫について取り上げてきました。

このネジバナが,勤務施設の芝生の間に生えて,花を付けています。草を刈る際にネジバナの群生箇所だけ残しているので,この時期になると花を愛でることができます。

群生しているということは,種子が落ちて増えてきたということです。しかし,種のことはある程度気にしていますが,結実の実態についてはまったく把握していません。関心がそこまで向いていなかったのです。

昨年の今頃,肉眼で確認したのですが,「これぞ,種子!」というものを見出すには至りませんでした。なのに,集合花が毎年付き,群生するとは妙な話です。実際は,昆虫がやって来て受粉・送粉が行われているとみるのが順当でしょう。ほんとうは,ネジバナの群落で時間をかけて観察すれば,答えは簡単に出るでしょう。しかし,それに費やす時間と最適な群落が身近なところにないので,今以上の取組はできていません。

マアできるといえば,ネジバナを見かけたところで,そこに虫がとまっていないかと気にかけるぐらいです。

さて,先の庭の手入れをしているとき,虫が花にとまっているのを目撃しました。小さなハチでした。急いでカメラを準備。そうして撮りました。ハチは,狭い範囲を飛び回って蜜を吸っていました。ここでは,昨年チョウ(ツマグロヒョウモン,ベニシジミ)とハエの吸蜜行動を目撃したことがあります。

しかし,人にも目立たない花は昆虫にも目立たないようで,庭に咲くこの花を頻繁に訪れる昆虫はいません。

結果言えるのは,ふつう見かけるネジバナを訪れる昆虫は多くない,多くはないが,いるにはいるという事実です。ということは,虫媒花である以上種子が確実にできているということでもあります。これから,種子にこだわって調べてみようと思います。