らんかみち

童話から老話まで

エッセイストとしてのピアニスト 中村紘子

2006年10月21日 | クラシック音楽
ピアニストの中村紘子さんが堺市でリサイタルを開くという。プログラムを見る限りどうしても聴きたい曲目ではないけど、ぼくもあの人のファンなら一度は聴いてみたい。といっても、ぼくはあの人のレコードもCDも持っているわけではなく、エッセイスト中村紘子としてのファンなのだ。

 もっとも、エッセイストといっても本当に彼女が書いているのかどうか疑わしい、という人もいるだろう。それもそのはず、ご主人が芥川賞作家の庄司薫さんなのだから。しかし仮にそうであったとしても、さすがはチャイコフスキー・コンクールの審査員を務めるだけあって、内容がとてもおもしろい。それに文体に奇をてらったところがなく、言い回しも難解な語彙を使わずに読む人を惹きつけ、「エッセイとはこう書くのでございます」と、お手本を示されている気がする。

今、NHKの教育テレビのスパーピアノレッスンという番組で、ミシェル・ダルベルト先生なる御仁が講座を開いているが、驚いたことに、この一流の先生は、誰とは言わないまでも当代のピアニストをこき下ろしたりする。よほど自分に自信がある演奏家なのだろうが、正直いうとぼくはピアノの上手下手がバイオリンほどには良く分からない。それは自分の演奏技術が未熟だからというだけでなく、ピアノ曲をあんまり聴いていないからだろう。

 バイオリンの演奏はそうでもないが、ピアノの演奏は19世紀的な演奏がわりと好きだ。もったいつけた遅いテンポで弾くかと思えば大げさに強弱をつけて人を驚かせるのが楽しい。バイオリンでそれをやられると趣味が悪いと感じるが、どうしてだかピアノなら許せる。要は自分が好きならそれで良い。そんなことを考えつつ、こんど中村さんが演奏するバッハのパルティータ2番ってどんな曲だったかなと、楽譜を探そうとして気が付いた。もうピアノはもう売ってしまったのだった。ハァ~!


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