
※追記。会期最終日まで無料になりました
9月7日、道立近代美術館の西側に設けられた停留所から、札幌芸術の森行きのシャトルバスに乗った。
札幌国際芸術祭の期間中、毎時0分に発車している。
これが、便利である上に、なかなか楽しい。
期間中にぜひ乗ることをおすすめしたい。
しかし、これだけ札幌のいいところを通過しながら、車内アナウンスなどが全くないのは惜しい。バスの車窓からでも、札幌の歴史についてさまざまなことが学べるというのに、もったいない話だ。
ちなみに、片道500円。
乗り場は、次の地図の場所にある。
車体は、北海道中央バスの一般の路線ばすと同じもののようである。
バスは、西18丁目通を南下し、ほどなく左折して、北大通を東へと向かう。
最初にとまる停留所は「資料館前」。
実際に停留所があるのは、市教育文化会館の正面だ。
資料館を右手に見て(コロガル公園、楽しそうだなあ)、間もなく視界に大通公園が入ってくる。
このグリーンベルトが札幌の真ん中を貫通していることは、市民の誇りである。
もともとは、開拓のはじまりの時期に、防火帯として造られた。
明治初期は、まだ市街地が大通公園の西の端まで達しておらず、いまの12丁目あたりは草地だったらしい。
(追記。正確には、9~10丁目には牧場があり、11丁目以西は練兵場だったという)
「市民の憩いの場」というキャッチフレーズに誤りはないが、どうも近年はイベント目的に使用されすぎているようなきらいもある。さっぽろ雪まつり、YOSAKOIソーランまつり、オータムフェスタ、花フェスタ…。
(批判めいたことを書いたけど、なんか、筆者の勤めている会社の主催事業が多いぞ。笑)
以下、写真はすべて車窓から撮ったものである。

比較的あたらしい大通公園の名所で、美術ファンには見逃せないのが、これ(左側の黒い塔)。
モエレ沼公園のプランをつくったことでも知られる世界的彫刻家、イサム・ノグチの「ブラック・スライド・マントラ」。
彫刻だが、すべり台を兼ねているので、子どもたちでいつもにぎわっている。
個人的には、イサム・ノグチの抽象彫刻にはいまひとつ共感できない作品も多いのだが、これは文句なしに傑作だと思う。
特筆すべきなのは、この作品が、大通西9丁目と8丁目の間を走る道路をつぶして設置されたことだ。
車の利便性よりも、芸術作品と、子どもたちの歓声を優先した札幌市の方針には、敬意を表したい。
バスは都心部へと向かう。
次の停留所は、大通西5丁目。
札幌国際芸術祭の会場でいえば、チ・カ・ホや500m美術館、道庁赤れんがに近い。
もちろん、都心部のデパートや地下街などへ行くにも便利であることはいうまでもない。
このあとは「札幌芸術の森入口」までノンストップである。

大通公園4丁目の噴水。
その向こう側の工事用フェンスに、松江泰治の写真が張ってあるのが見える。
バスは、大通公園の東端、テレビ塔の少し前で右折し、西2丁目通を南下する。
札幌の住所は、デカルト平面とおなじ原理で表記される。つまり、大通公園を基準に、北へ1条、2条…と大きな道路1本ごとに条の数を増やしていく。南も同様に1条、2条…となる。
その理屈で言うと、大通は「ゼロ条」となるが、さすがにそうは言わず、ゼロに相当するのは「大通」である。
ちなみに、東西については、テレビ塔のすぐわきを流れる創成川を基準とし、東西へ1丁目、2丁目…と増えていく。
この住居表示の利点は、たとえば「北5条西5丁目」などと聞いただけで、だいたいの場所へ行けること。地図がなくても、最悪、1ブロックの四辺(約400メートル)歩けば、目的地にたどり着くことができる。
逆に、欠点は、「だいたいこの地区のあたり」を指し示すのが難しいこと。
札幌に「すすきの」「桑園」「山鼻」といった、はっきりした定義・区画のない、通称地名があるのは、「だいたいこのあたり」を指すために編み出された札幌人の知恵なんだろう。
左の画像は、札幌一の老舗デパート「丸井今井」。
札幌国際芸術祭の大きな垂れ幕が飾られている。

丸井今井前の歩道を歩く、コスプレイヤーたち。

南1条通。
さっき述べた原理のとおり、大通公園の1本南側を走っている。
丸井今井の南1条館、三越札幌店、パルコ、大丸藤井、さいとうギャラリーなどのある札幌屈指の繁華街。
この日は歩行者天国になっていた。

狸小路。
南2条と南3条の中間にある。
アーケードがあるのは西1丁目から西7丁目まで。西8~10丁目もある。
札幌で最古の商店街といわれているが、近年は、地元民よりも海外からの観光客の姿が目立つ。
とりわけ、西3丁目や西4丁目はパチンコやゲームセンターが多く、往時の面影はない。

南4条通。
すすきのの北側を画する、片側4車線の広い道路である。
マチの中を歩いていて、この広い通りをわたると「ああ、すすきのに来たなあ」という実感がわく。
ちなみに、札幌でも一番と思われる、異常に広い道路幅が生まれたわけは、戦争末期に建物の疎開を行って強制的に取り壊しを行ったことの名残である。
ちなみに、この道路は国道36号でもあって、道内では最も交通量の多い地点でもある。
バスは左折して、この南4条通を東に向かう。

まもなく、創成川を渡る。
明治初期に掘られたこの人工の川が、札幌の東西の基点となっているのだ。
この個所は、南4条西1丁目と東1丁目の間だが、山川冬樹さんは、この創成川を大通まで遡上してきたのだった。
長くなってきたので、この項続く。
9月7日、道立近代美術館の西側に設けられた停留所から、札幌芸術の森行きのシャトルバスに乗った。
札幌国際芸術祭の期間中、毎時0分に発車している。
これが、便利である上に、なかなか楽しい。
期間中にぜひ乗ることをおすすめしたい。
しかし、これだけ札幌のいいところを通過しながら、車内アナウンスなどが全くないのは惜しい。バスの車窓からでも、札幌の歴史についてさまざまなことが学べるというのに、もったいない話だ。
ちなみに、片道500円。
乗り場は、次の地図の場所にある。
車体は、北海道中央バスの一般の路線ばすと同じもののようである。
バスは、西18丁目通を南下し、ほどなく左折して、北大通を東へと向かう。
最初にとまる停留所は「資料館前」。
実際に停留所があるのは、市教育文化会館の正面だ。
資料館を右手に見て(コロガル公園、楽しそうだなあ)、間もなく視界に大通公園が入ってくる。
このグリーンベルトが札幌の真ん中を貫通していることは、市民の誇りである。
もともとは、開拓のはじまりの時期に、防火帯として造られた。
明治初期は、まだ市街地が大通公園の西の端まで達しておらず、いまの12丁目あたりは草地だったらしい。
(追記。正確には、9~10丁目には牧場があり、11丁目以西は練兵場だったという)
「市民の憩いの場」というキャッチフレーズに誤りはないが、どうも近年はイベント目的に使用されすぎているようなきらいもある。さっぽろ雪まつり、YOSAKOIソーランまつり、オータムフェスタ、花フェスタ…。
(批判めいたことを書いたけど、なんか、筆者の勤めている会社の主催事業が多いぞ。笑)
以下、写真はすべて車窓から撮ったものである。

比較的あたらしい大通公園の名所で、美術ファンには見逃せないのが、これ(左側の黒い塔)。
モエレ沼公園のプランをつくったことでも知られる世界的彫刻家、イサム・ノグチの「ブラック・スライド・マントラ」。
彫刻だが、すべり台を兼ねているので、子どもたちでいつもにぎわっている。
個人的には、イサム・ノグチの抽象彫刻にはいまひとつ共感できない作品も多いのだが、これは文句なしに傑作だと思う。
特筆すべきなのは、この作品が、大通西9丁目と8丁目の間を走る道路をつぶして設置されたことだ。
車の利便性よりも、芸術作品と、子どもたちの歓声を優先した札幌市の方針には、敬意を表したい。
バスは都心部へと向かう。
次の停留所は、大通西5丁目。
札幌国際芸術祭の会場でいえば、チ・カ・ホや500m美術館、道庁赤れんがに近い。
もちろん、都心部のデパートや地下街などへ行くにも便利であることはいうまでもない。
このあとは「札幌芸術の森入口」までノンストップである。

大通公園4丁目の噴水。
その向こう側の工事用フェンスに、松江泰治の写真が張ってあるのが見える。

札幌の住所は、デカルト平面とおなじ原理で表記される。つまり、大通公園を基準に、北へ1条、2条…と大きな道路1本ごとに条の数を増やしていく。南も同様に1条、2条…となる。
その理屈で言うと、大通は「ゼロ条」となるが、さすがにそうは言わず、ゼロに相当するのは「大通」である。
ちなみに、東西については、テレビ塔のすぐわきを流れる創成川を基準とし、東西へ1丁目、2丁目…と増えていく。
この住居表示の利点は、たとえば「北5条西5丁目」などと聞いただけで、だいたいの場所へ行けること。地図がなくても、最悪、1ブロックの四辺(約400メートル)歩けば、目的地にたどり着くことができる。
逆に、欠点は、「だいたいこの地区のあたり」を指し示すのが難しいこと。
札幌に「すすきの」「桑園」「山鼻」といった、はっきりした定義・区画のない、通称地名があるのは、「だいたいこのあたり」を指すために編み出された札幌人の知恵なんだろう。
左の画像は、札幌一の老舗デパート「丸井今井」。
札幌国際芸術祭の大きな垂れ幕が飾られている。

丸井今井前の歩道を歩く、コスプレイヤーたち。

南1条通。
さっき述べた原理のとおり、大通公園の1本南側を走っている。
丸井今井の南1条館、三越札幌店、パルコ、大丸藤井、さいとうギャラリーなどのある札幌屈指の繁華街。
この日は歩行者天国になっていた。

狸小路。
南2条と南3条の中間にある。
アーケードがあるのは西1丁目から西7丁目まで。西8~10丁目もある。
札幌で最古の商店街といわれているが、近年は、地元民よりも海外からの観光客の姿が目立つ。
とりわけ、西3丁目や西4丁目はパチンコやゲームセンターが多く、往時の面影はない。

南4条通。
すすきのの北側を画する、片側4車線の広い道路である。
マチの中を歩いていて、この広い通りをわたると「ああ、すすきのに来たなあ」という実感がわく。
ちなみに、札幌でも一番と思われる、異常に広い道路幅が生まれたわけは、戦争末期に建物の疎開を行って強制的に取り壊しを行ったことの名残である。
ちなみに、この道路は国道36号でもあって、道内では最も交通量の多い地点でもある。
バスは左折して、この南4条通を東に向かう。

まもなく、創成川を渡る。
明治初期に掘られたこの人工の川が、札幌の東西の基点となっているのだ。
この個所は、南4条西1丁目と東1丁目の間だが、山川冬樹さんは、この創成川を大通まで遡上してきたのだった。
長くなってきたので、この項続く。