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■第9回示現会北海道作家展(10月7日まで)

2008年10月06日 22時03分22秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ベテラン草刈喜一郎さんの「それぞれのもの」がすばらしい。
 ギャラリーのショーウインドウに飾ってあって、ひときわ目を引く。
 古い木の長いすらしい台の上に、1斗缶と、宅配便の伝票がついたダンボール紙と、玉ネギ1個が載っている。背景は黒。ただ、それだけの情景を描いているのに、それぞれのモティーフの存在感がきわだっている。
 リアルな画風とひとくちにいっても、ただ「本物そっくり」という技術の高さ以外には何も感じさせない空疎な絵があるかと思えば、この草刈さんの作品のように、描かれている物の実在感が見る者にひしひしと迫ってくる絵がある。それは、なぜなのだろう?
 また、草刈さんは今回3点を出品しているが、この作品が圧倒的に良いように感じられる。それも、不思議のひとつである。

 そのほかには、多田美智子さんという方の「春の韻」が印象に残った。
 壁が一部剥がれ落ちているような一軒家。あたりは雪がまだ積もっているが、朱色のトタン屋根にはほとんど雪が残っていない。屋根の赤と、玄関先の郵便受けと雪かき用スコップの赤がうまく響きあっている。扉の横に立てかけてあるこのスコップで、玄関へと続く道の雪をかいたのだろうか。下地に緑や黄色などさまざまな色が用いられ、絵を単調ではないものにしている。
 石川孝司さん「冬の駅」は、釧網線の藻琴駅(網走市)がモティーフ。石川さんは古い商店や駅舎などをたんねんに描きつづけているベテランである。 

 示現会は日展系の団体公募展である。道内では毎年、道新ギャラリーで道内出品者の展覧会を開いている。
 
 出品作は次のとおり。
石川孝司 冬の駅(F80)
稲船正男 夕映えの斜里岳(F80)
岩佐邦夫 北の漁港(島牧灯台)P80
河越幸子 落日の海(F80) 流氷の海(F10) 静かな海(F6)
菊池孝子 休憩(F80)
草刈喜一郎 閉山冬迫る(F100) 仮面のある部屋に(F30) それぞれのもの(F20)
下田敏泰 待春の渓流(F100) アカデミア橋から(H20) ミラノの街角で(F8)
多田美智子 春の韻(F80)
中村昭夫 夕映えの浜辺(F80) 冬の八剣山(F6) 待春大雪湖(F6)
深田博司 人形(F6)
藤田敏次 冬涛(積丹)F80 冬の岬(F6) 秋日(F6) 
米沢栄吉 樹間の畔(F10) 雪の道庁(F15)

2008年10月2日(木)-7日(火)10:00-19:00(最終日-17:00)
道新ぎゃらりー(中央区北1西3 北海道新聞本社1階 道新プラザ 地図A

2006年


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (みちこ)
2010-11-12 18:11:09
ちょっとした出来心で自分の名前を検索してみたら、
こちらに私の作品に対しての感想があり、
とても嬉しくなりました。
こうして、見てくださる人がいるということを励みに、
これからも描き続けていきたいと思います。
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こんばんは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-11-12 23:35:58
みちこさん初めまして。
札幌にいたときは示現会はちょくちょく拝見していました。
米澤さんや草刈さんの絵が印象的でしたが、おふたりともお元気なのでしょうか。
みちこさんの作品も印象に残っています。
あまり団体公募展の枠にとらわれずご自分の好きな絵を描き続けてほしいと思います。

また、ブログに遊びにいらしてください。
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