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■Scenery of cell 細胞の風景 梅田マサノリ個展 (10月7日まで)

2008年10月06日 20時21分46秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(日本語は英文のあとにあります)

Umeda Masanori,a contemporary artist, is living in Obihiro City.
This solo exhibition's theme is cell,body,and nerve of human. He was operated for taking a tumor in hie pelvis,four years ago,
If I watch his objets,I imagine some parts in the bodies. They are weird,but mysterious.


 梅田さんは1958年生まれ。帯広で現代アートに取り組んでいる。
 夏に上川管内音威子府村でひらかれたアジアプリントアドベンチャーの席で初めてお会いし、精力的な方だなあという印象を抱いていたので、病気で手術を受けたというメールを読んだときはにわかにはしんじられない気持ちだった。
 とりあえず、ご本人の文章を引用させていただく。

2004年4月、札幌で20センチほどの神経鞘腫の全摘出手術をした。骨盤内にできた腫瘍だ。手術前まで、このわけの分からない病気と4年ほど付きあう事になり、毎日が激しい痛みとの連続だった。その数年の間に病院の入退院を繰り返し、その中で考えていたのは神経などなければいいのにという事だった。しかし平成18年に美術関係者で帯広圏現代アートパーティを創立し、最初の企画展として「人体と環境アート2006―医療とアートの出会い―」を開催。腫瘍の写真を大きく引き伸ばして万華鏡で見られるようにした作品などを発表した。その企画展がきっかけとなり、身体と美術、神経などの題材をアートとして表現することも進めている。今回の作品は、現代の臓器移植など生体が凌駕していく時代において、細胞というテーマから人体のパーツ化したようなイメージの作品を展示したいと思い、それはまるで細胞に視覚があり、周辺の風景を眺めることができる内容にできないかと思い始めた。(以下略)


 ここで、細胞にあたるのは、会場中央につり下げられた、大きくて透明な球体である。
 中央にライブカメラが取り付けられ、ウェブでも周囲が見えるシステムを作ったものの、機材の不調で稼働していない。

 このまるい風船は、梅田さんらが中心になって十勝各地でひらいている花と環境・アートシーン2008で、紫竹庭園会場に置かれていたものという。
 テンポラリースペースは入り口が大きなガラス戸になっていて、午後になると西日がさし込む。球体に外側の景色や車列などが反射するのがおもしろい。外界にさまざまな影響を受ける人間の身体の暗喩みたいでもある。

 周囲の壁には、黒い箱に入った小さな瓶詰めのオブジェが15個ほど並んでいる。
 おそらく、木の根や貝などが材料なのだろうが、臓器の標本にも見える。

 
      

 情報化社会の進展で、逆説的に「身体」「身体性」という問題は、ますます脚光を浴びてきているように思われる。
 同時に、医学の進歩が臓器移植を可能にしたり、薬物によるコントロールが進み、身体の拠って立つところが問われているのが現代ではないか(へたな文ですいません)。

 このほか、気圧計のような器械が会場の片隅に置かれていた。

 それにしても、筆者にとって梅田さんとは、何よりも「不在」という作品の作家であった。
 ところが、今回はまったく毛色が異なる作品だし、会場に置いてあった道立帯広美術館での個展の図録を見ると、大半がタブローである。
 じつは、引き出しが多い人なのではないか。
 十勝在住なので、札幌で作品を見る機会が少ないのは残念(やむをえないのだが)。とはいえ、これからも、続けて見ていきたい作家だと強く感じた。


2008年10月1日(水)-7日(火)11:00-19:00
TEMPORARY SPACE(北区北16西5 地図H)

・地下鉄南北線北18条駅から徒歩5分


道立帯広美術館の関聨ページ
花と環境・アートシーン2008

アジアプリントアドベンチャー in おといねっぷ
とかちの環境アート2002


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