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■ウイマム芸術文化プロジェクト「歩いて巡る屋外写真展」(胆振管内白老町社台) 2022年10月10日は7カ所 その1

2022年10月16日 16時07分59秒 | 展覧会の紹介-写真
 先週末のことを今ごろ書いているわけですが…。

 連休の2日目。
 胆振管内白老町で展開されている二つのプロジェクトが最終日を迎えるため、自家用車で出かけることにしました。

 ただしこの日は低気圧の接近で荒れ模様になるという天気予報が出ていたため、ほんとのことをいえば、前日の10月9日に出かけて10日に札幌市内をまわりたかったのですが、いくつかの展示が9日限りだったので、この日程にしたのです。

 往路は、高速料金の節約のため、国道453号を経由するルートを走りました。
 カーナビゲーションの指示をことごとく裏切って進むのはおもしろかったですが、雨脚と風がどんどん強まるなか、ステアリングを握っていると
「ああ、ひどいなあ。もうUターンして帰ろうかなあ」
という気分になってくるのです。
 しかも、カーナビが示す「道道141号樽前錦岡線」は、倒木だか落石だかの恐れで通行止めになっており、国道276号を通るはめになってしまいました。

 遠回りになりましたが、おかげで苫小牧市街地のコンビニエンスストアに立ち寄り、コーヒーを飲んでひと息つきました。
 
 
 予定から大幅に遅れて、ウイマム芸術文化プロジェクト「歩いて巡る屋外写真展」の社台会場にたどり着きました。
 国道36号沿いに看板が出ていたので、駐車場の場所はすぐにわかりました。
 嵐のなかで写真展鑑賞をする人はさすがにいないようで、旧社台小学校の校地を利用した駐車場には人影も車もなく、地面は水浸しです。
 ここから徒歩で4分ほどの海岸を目指します。

 太平洋は波が高く、灰色で、まるで真冬の日本海のようでした。
 
 
 海岸沿いの屋外写真展って、どんな展示なんだろう?
 コンクリート堤防に写真をプリントしているのかな?

…などと思っていたら、堤防や擁壁ではなく、海辺に置かれたコンテナや空き家の壁にプリントされているのでした。

 サイトやフライヤーによれば、1970年ごろに王子製紙苫小牧工場に勤務していた中出満さんが、父親が漁師だったこともあり、浜に通って人々をスナップしていたのだそうです。

社台に暮らす当時18歳だった中出氏が撮影した写真の多くは、 やはり家族や隣近所の人々の漁の様子、前浜で働く生活者だった。スケソウタラのすき身干しに精を出す姿、おにぎりを片手に一服休憩する男たち、子どもを背負い行商へ向 かう女性たち、大漁の水揚げに沸く浜、馬と一緒になり船を引きあげる風景、浜や川で遊ぶ子どもたち・・・。奇跡の1枚ではなく、日常生活のごくありふれた一場面。



 
 雨具を着て傘も差していたのですが、強風でしょっちゅう傘は裏返り、靴はずぶぬれです。

 もっと天気の良いときに見たかったですが、前向きに解釈すれば、忘れられない鑑賞体験にはなったと思います。

 
 写真そのものは、近年再評価が相次いでいる、昭和期にそれぞれの地域の日常生活を撮った写真群のひとつに位置づけてよいのではないでしょうか。
 長万部写真道場や、上川管内東川町の飛弾野数右衛門、後志管内共和町小沢の前川茂利などの系譜です。

 ただ、ちょっと疑問に感じたのは、支持体(といっていいのか)の空き家やコンテナにあわせるかたちで写真をトリミングするのって、どうなんでしょう。
 プリントの大きさを追求したくなる気持ちも分かるのですが、たとえばこれ、無名の写真家でなくて大家の絵画だったらどうでしょうか。
 
 

 なお、同プロジェクトは虎杖浜こじょうはま地区と社台地区の屋内・屋外それぞれで展開しましたが、筆者はあまりの悪天候に負けて、社台地区の屋外にしか行っていません。

 ついでにいえば、白老町は太平洋に沿って集落が長く続くまちで、登別側から

竹浦―虎杖浜―白老町中心部―萩野―社台

と続いています。


2022年8月27日(土)~10月10 日(月)屋外は日没まで、屋内は午前10時~午後4時
屋外展示 : 白老町 虎杖浜・アヨロ地区 海岸通り /社台地区 海岸
室内展示: ミナパチセ(胆振管内白老町社台)、青峯山観音寺(同町虎杖浜)


□ウイマム芸術文化プロジェクト公式サイト https://uymam.localinfo.jp/

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