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2023年のベスト3 (追記あり)

2023年12月25日 09時52分28秒 | つれづれ日録
 昨年までは「ベスト5」でした。

 しかし、いま新聞各紙やウェブメディアの回顧ものを見ても、ほとんどが「ベスト3」「今年の3冊」を挙げる形式になっています。

 筆者はこれまで
「五つに絞るのだって大変なんだから、三つなんて無理だよ」
と思ってきました。
 しかし、今年は三つまでは直ちに脳裡に浮かび、残り二つに迷ったので、とりあえず今年は「ベスト3」にすることにします。

 かつて筆者は「「低調」「展望がもてない」とまとめてしまうことについて」というテキストを書いて、そのようにおおまかにくくってしまうことへの抵抗を示したことがあります。
 しかしいまさらなようでありますが、今年は、道立近代美術館は長期間にわたって休館し、新たに始まった芸術祭や新規開設のギャラリーなどはなく、特に記すべき事項に乏しい1年だったなという気がしています。つまり「低調」とまとめられる年があるのは、懸命に取り組んでいる人がいることそれ自体はそれとして、仕方ないのかなと思うのです。

 筆者のベスト3は以下の通りです。
 読者の皆さんの、コメント欄での参加を大歓迎いたします。

・鈴木涼子展(CAI03)=冒頭画像=
・モリケンイチ展(ギャラリー門馬)
・艾沢詳子展(札幌芸術の森美術館)

 順不同です。

 鈴木涼子展は、軍医だった祖父が異国で亡くなり、残された手帳を題材にした映像作品や、ウクライナの戦争のイメージを裸体に貼った写真などからなり、過去と現在とをつなくさまざまな問題提起をはらんだもので、逆に言えば、これが現代アートの世界標準というべき圧巻の内容でした。

 モリケンイチ展は、近代日本の歩みと正面から対峙した油彩の数々。外圧により開国し、無謀な対外侵略に突き進んだ末に、戦後は米国の圧倒的な影響下に虚構の繁栄へと進んできた歴史を笑い飛ばしていました。

 艾沢詳子展は、初期の版画から近作のインスタレーションまでを振り返る大規模な回顧展。ともすればないがしろさにされがちな一人一人の「生」に向き合い、歴史や社会にも目配りしてきた作者の精神のありかに心打たれました。


 次点は深堀隆介展(同)。

 ことし1年の振り返りは別項であらためて行います。


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2 コメント

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2023年のアート (SH)
2024-01-01 09:12:38
ヤナイさん、こんにちは。
今年もよろしくお願いいたします。

いろいろと私事のせいで展覧会巡りもはかどらず、私の感想も「低調」です。
一応、展覧会部門と作品部門で5つ選定してみました。

■展覧会部門
北海道立文学館「左川ちか 黒衣の明星」
高井鴻山記念館「鴻山の愛でた名品展」
SCARTS「100 DISCOVERIES あなたの知らない魅惑のトルコ」
岩見沢市絵画ホール 松島正幸記念館「尾形香三夫追悼展」
小樽市総合博物館「令和4年度アイヌ工芸品展 2022 小樽市制100周年記念事業「アトゥイ-海と奏でるアイヌ文化」」

■作品部門
山内壮夫「鶴の舞」
青木美歌「Gil-SA-3W」
上村塁「Horizon II」
山元春挙「瑞祥」
伊藤若冲「鶏百態図」

まずは体調を良くしたいのですが、年齢と共にさらに悪化していくのかもしれません。
SHさん、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2024-01-01 22:37:27
あけましておめでとうございます。
そして、毎年、ベスト5の選定をありがとうございます。
SH さんが参加してくださらなければ、このコーナーも本当につまらないものになるところでした。

尾形香三夫さんは確かに良かったです。
尾形さんの遺作展と苫小牧の縄文展を入れたら、自分のも「ベスト5」になりそうだなと感じました。

左川ちかは、これから行きます

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