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黒川晃彦「サキソフォン吹きと猫」 旭川の野外彫刻(16)

2021年01月14日 08時56分25秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 いけない、いけない。「若い女」の文章も、つい長くなってしまいました。

 この後は、サクサクといきます。


 旭川駅からまっすぐに延びるメインストリートの「平和通買物公園」は1972年に、日本初の常設歩行者天国としてオープンしましたが、2002年にリニューアルし、それを機に多くの野外彫刻が場所替えをしています。

 この「サキソフォン吹きと猫」はリニューアル時に唯一、新たに購入され買物公園に設置された彫刻です。

 前項の「若い女」はマルカツデパート前でしたが、同作品から140メートルほど北へ離れた、オクノデパート前にあります。

 「旭川野外彫刻たんさくマップ」によると、2001年作のブロンズ製。
 103×210×150センチ。

 2003年5月2日の北海道新聞夕刊旭川版「あさひかわ彫刻散歩 春の輝き」によると、「演奏の音色が聞こえてきそうなため、設置場所は当初、旭川市神楽の大雪クリスタルホールが候補に上がっていた」とのこと。
 

 さすが人気作家の黒川晃彦さん、親しまれる作品のツボを踏まえています。
 まず台座がないこと。仰ぎ見る偉そうな彫刻ではなく、道行く人よりもちょっと低い位置にあります。
 そして、黒川作品の特徴で、ベンチと一体化していること。当然、となりにすわりたくなりますよね。
 SNSの時代です。一緒に並んで記念撮影して、投稿する人も多いのではないでしょうか。

 さらにおもしろいのは、手前の猫です。
 猫を置いただけで、この猫が
「このオッサン、なんで上半身裸なの?」
と思っているのか、あるいは
「いい音色だなあ」
とうっとりしているのか、それとも
「ひっどい演奏」
と逃げ出す直前なのか…。作品の世界に、俄然ひろがりが出てくるんですよね。

 冬になると、おじさんにも猫にもマフラーが巻かれることが多いそうですが、市民からことさら人気があるのもうなずける作品なのです。


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黒川晃彦「花の調べ」 苫小牧の野外彫刻(12)




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