正式名称は
生誕100年/追悼 彫刻家・佐藤忠良展-“人間”を探究しつづけた表現者の歩み
さて、このテキストは本来、昨年8月、札幌から北見へドライブする途中に旭川に立ち寄った際の見聞をつづった一連のエントリのひとつにおさまるべきものである。
しかし、いいわけがましくなるが、美術館で買ったはずの図録を見ながら文章を書こうとしたら、図録が見当たらない。
そうこうしているうちに、書く時期を逸 . . . 本文を読む
案内はがき(フライヤー)には次のテキストが印刷されている。
改行は原文通り。ルビはこちらでふった。
すべての物事には、様々なかたちで相反する現象や感情が含まれていると考えます。
人によってその感じ方は、両端にある対極であったり、紙でいう表裏であったりするのだと言えますが、
相反する現象や感情のどちらかが実像、虚像ということではなく、どちらもそのものであり、
「世界のすべては緊張感に満ちて脆もろ . . . 本文を読む
評判を呼んで、かなりの入場者数を記録しているもようの、この展覧会。
市民の所蔵品を「かき集めた」というよりは「よりすぐって」展示したもの。さすがに、個人コレクションだからいずれも小品ではあるが、作家は有名どころぞろいで、見ごたえがある。
そして、なによりも、購入したきっかけなどをコレクターが記した文章が添えられているのがおもしろい。
twitterでもつぶやいたけど、どんなコレクションにも . . . 本文を読む
「立体力」の告知のエントリを書いたときには、フライヤーのイメージからして、もう少しとっちらかった、にぎやかな展覧会場を勝手に予想していた。
しかし、実際に会場に足を運んでみての印象は「意外とまっとうな彫刻展だ」というものである。
「まっとうな彫刻ってなによ」
と理詰めで問い返されると怖いのだが、ただ、現代美術の世界では、立体造形とかインスタレーションとかいう概念が幅を利かせていて、いわゆる古 . . . 本文を読む
Sachiko Ito Sculpture Exhibition
Plaster & Bronze
2012 July 11 (Wed) - July 29(Sun) from noon to 7pm(to 5pm only July 29)
closed on Monday
Gallery Miyashita(S5W20,Chuo-ku,Sapporo-shi-city,JAPAN)
札幌 . . . 本文を読む
ほんとうに長かったことしの冬も終わりに近づき、道路の脇や、軒下などには、雪の山が残っています。
それらの雪山は薄汚く見え、それ以前に、あらためてしげしげと見る人も少ないのですが、わたしたちに春の喜びを伝えてくれるものとして、見直してあげてもいいのではないかと思います。
富原加奈子さんの個展に
「冬のカケラ -雪路の匂い-」
と題した作品が2点(正確には「冬のカケラ -雪路の匂い-」と「冬のカ . . . 本文を読む
(承前)
Ken'ichi Asai “IN THE DREAM”
浅井憲一さんは1952年生まれ、札幌在住。
鉄の彫刻、立体を制作し続けている。団体公募展には所属せず、個展が活動の中心である。
今回の作品は、2004年夏と11月の個展でお目見えした、檻型のシリーズ。
卵型の檻の中には、卵のような形が配されている。
大きな錠前がひときわ目を引く。
人や、人の夢を閉じ込 . . . 本文を読む
(承前)
Kensho Saito “Ryu no sora”that means the sky of the dragon
齋藤健昭さんは1945年生まれ、旭川市在住。
図録の略歴を見ても、道展の会員であることと、北海道立体表現展に2度出品していることのほかは、日展とか現代日本具象彫刻展に出品していることなどが記されている。つまり、個展や、小規模なグループ展をしたことのない方な . . . 本文を読む
(承前)
Takahiro Ito “―MIU―”
伊藤隆弘さんは1961年生まれ、空知管内長沼町在住。
ハルカヤマ藝術要塞のシリーズでは、はじめのほうで、常設展示の「雲の指標 2010」が登場しているので、伊藤さんは2本目の登場となる。
水谷のぼるさんのエントリで、作品を紹介しているブログが多いということを書いたが、この伊藤さんの「―未生―」も、多くのブログに写真が掲載されている。
. . . 本文を読む
(承前)
Akira Sendai “land Mark N43°8'.E141°8'”
千代明さんは1957年生まれ、日高管内日高町在住。
道展では絵画部の会員ですが、グループ「プラスワン」の一員としての活躍が近年は印象的で、いわゆる絵画からはどんどん離れたところで活動を続けているという印象がある。
今回は、ピンポン玉のような白い玉を中心に配した、球体状の作品。
鉄が、ウレタ . . . 本文を読む
(承前)
Tsubasa Ban “breathe”
伴翼さんは1978年生まれ、札幌在住の彫刻家。
(男性です)
下にこれまで北海道美術ネット別館に登場した際のエントリへのリンクをはってあるが、実はそれ以外にも、「New Point」や北海道立体表現展など、けっこういろいろな展覧会に出している。
ただ、これは筆者の印象かもしれないが、作風はめまぐるしく変わっており、「伴さんといえば . . . 本文を読む
(承前)
Noboru Mizutani "LARVA of WAR"
先に書いたとおり、ハルカヤマ藝術要塞の写真をアップしたブログはかなりあるが、そこに掲載されている写真は全体のごく一部である。
多くの人がとりあげている作品もあれば、どのブログにも出ていない作品もある。
水谷のぼるさんの「戦争の蛹さなぎ」は、前者であった。
たくさんの人に強い印象を与えた作品だったであろうことが推 . . . 本文を読む
(承前)
Misa Yamamoto “Re:Start”
山本美沙さんは1983年生まれ、札幌在住。
(12月27日追記。出品者では最年少)
非常に意外ですが、このブログには初登場となります。
筆者はこれまで作品を何度か見た記憶がありますが、多くは全道展の会場のようです。
2005年に協会賞を受賞。20代の若さで会友となり、ことしは会友賞を受賞しました。
また、北海道立 . . . 本文を読む
北海道と東北の若手作家を紹介する「N.P.Blood」シリーズ。
5年目の今年は、札幌の画家會田千夏さんと、十勝管内中札内村の彫刻家藤原千也かず や さんの2人の個展。
藤原さんは昨年まで北見在住だった。
札幌の茶廊法邑ほうむらで個展を開いたこともあるらしいが、なぜか筆者は見ていない。
個展はほかに、2010年に帯広のFLOWMOTIONで「ひらかれている」、ことし、十勝管内豊頃町「と . . . 本文を読む
福岡在住でありながら、律儀に毎年札幌で個展をひらいている阿部さん。
昨年の量塊感と重量感たっぷりの作品とはうってかわって、ことしは、垂直性が際立っています。
ギャラリーの中森さんによると
「黒くすることで、線を出したかった-と言ってましたね」
とのことです。
筆者は、ブランクーシの無限柱を想起しました。
ただ、近づいてみると、細長いなりに、しっかりした存在感があります。
幾何学 . . . 本文を読む