GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

秋桜

2012年11月06日 | 遠野の馬
今年も、我が家のベランダでツマグロヒョウモンたちが数十匹も育った。
けれど羽化に失敗する蝶もいれば、無事に羽化してもきちんと飛べない蝶もいる。

先日、羽化したのに飛んでいかない雌蝶がいた。
よくみると羽の状態が少し変である。
2日ほどベランダで過ごしているうちに片方の羽がとれてしまった。
必死で飛ぼうと地面でバタバタしている。動きを止めれば、とたんに蟻がよってくる。
見るにみかねて、飼育箱に入れた。

飛べないが、手を差し出すとよじのぼってくる。
指先にハチミツをたらすと、触角で美味しそうにつついている。
天気がよいときは、飼育箱から出してベランダのスミレの鉢植えにとまらせる。
すると、必死に卵を産み付ける。
無精卵だと思うが子孫を残すという本能には脱帽する。
日がかたむいてくると、再び飼育箱に戻す。
不在にする時は、飼育箱の中にハチミツと水を入れておいた。

そんなことを続けて3週間。
成虫した蝶の寿命は2週間だというが、彼女は命をつないでいた。
もう羽はボロボロで、やっと生きているという感じだった。

そんなとき、東京乗馬倶楽部で開催されたホースショーで、お土産にコスモスの鉢植えをもらった。
ベランダにおいていたら、シジミチョウやらハチが花にしきりにとまる。
彼らにとって、コスモスは心地よい植物なのかもしれない。
陽射しが暖かな日だったので、いつものように飼育箱から出して彼女をコスモスの花の上にとまらせた。
最初は花びらの上でしきりに羽を動かしていたが、やがて静かになり、そのまま命を終えた。

飼育箱の中で生かしていることに少し罪を感じていた日々。
コスモスの花びらが終の棲家になってくれたことに、安堵の気持ち。

写真は、セリの折りに撮影した「遠野馬の里」のコスモス。
向こうに見えるのは、松崎町駒木にある駒形神社。
以前は「脛折蒼前」とよばれ、脛を折って死亡した乗用愛馬を埋葬した場所だったという。
コメント (2)
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