GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

騎手の手

2008年10月26日 | 競馬場
先日の富士Sの撮影に、シグマのF8/400mmレンズ(マニュアル)を使用してみた。ちょっと変ったタイプのレンズで、今は製品リストにもない。ボディはデジタルカメラ。さてこの組み合わせ、どうなることか。

「しぶいレンズを使ってますね」とベテランの競馬カメラマンの方が声をかけてきた。フィルムカメラに装着すると、背景が水玉模様のようになるため、昔はよく使われていたという。「シンザンの写真も、多分そのタイプのレンズで撮っているんだと思いますよ」と話してくれた。

レンズが軽すぎて、ものすごく手ブレするため一脚を使った。普段オートフォーカスしか使わない人間が、いきなりマニュアルでレースを撮るなんて無謀。当然ボケボケである。
でも、クリアすぎる競馬写真が主流の中で、くすんだような、ピンボケ画像が新鮮に思え、久々にウキウキしながら撮影をした。

いつもと違うファインダーから一番印象に残った光景は、ウィナーズサークルで優勝したサイレントプライドの首に添えられた騎手の手だった。もやった画像の中で、そこだけがクリアに見えた。
騎手が馬の首に手をあてるのは、「よくやった」という意味を込めた表彰式のお決まりのポーズ。いつも見ている光景なのに、レンズが変ると見えるものが違ってくる。
クリアなデジタル画像だけが写真じゃない。そんなふうに思った。

コメント
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