ヤングキングアワーズ 2018年2月号より
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●僕らはみんな河合荘 (宮原るり 先生)
最終回!!!
シロさんと麻弓さんのゴタゴタ(?)も解決したようで、
宇佐くんと律さんが2人を見守る中、始まった今回・・・
トビラ絵が、様々な人たちと撮った写真の数々で、これまでを振り返るように
1つ1つの絵に込められた「思い出」が、鮮やかに映し出されるようですね。
最終回ということで、これで終わってしまうのだな~という寂しさがありつつも、
こうして写真に収められた「記憶」として残ってゆくのだなという安心感もあって、
微笑ましく思えたりもしました。
宇佐&律の物語として・・・
シロさんと麻弓さんを見て、何かを感じた宇佐くんが、
「大事なお話があります!」と気合を入れて律さんに言葉をかけますが、
その勢いに押され、身構えて目をつぶってしまう律さんが可愛らしい。
なんて思っていたら、麻弓さんが現れて、いつもの調子でひがみ攻撃。
もう完全に、元の麻弓さんに戻った感じで愉快でしたね。
けれど、そこから面倒くさいことになりそうだったため、
宇佐くんが律さんの手を取って、逃げ出すシーンが面白かった!
まる映画のように美しくドラマチックな雰囲気にもかかわらず、
そこへ麻弓さんの表情とモノローグが加わることで、完全にコメディに(^^;
爽やかと下品のコラボが可笑し過ぎでした!
2人の逃避行。
手をつないで逃げる宇佐くんと律さん。
途中、千夏ちゃんに出会って「仲良しだね(はぁと)」とか言われていて笑!
思わず手を離してしまう宇佐くんでしたけど、付き合っているのだから
離す必要はないわけで、このあたり、まだまだだな~・・・と考えていたら、
今度はしっかりと律さんの手を握っていたのが、頼もしかったですね~。
まあ、そこに千夏ちゃんのかけた言葉は、完全に冷やかしでしたけど(^^;
でもその後、宇佐くんが律さんに、カッコ悪いなりにしっかりと自分の考えを告げて
踏み込んで行ったのは、冷やかしにも負けない彼の本気を感じられて良かった。
「ずっと変わらない2人になりたい・・・」
全ては変わってゆく。
それはどうしよいもない自然の摂理・・・
そんなことを、嫌というほど感じていた最近の展開でしたが、
ここで宇佐くんが「変わらない」ことに言及していたのは、意味深いですね。
時間の流れと共に色んな変化が訪れるだろうけれど、それでも
「ずっと変わらない2人になりたいって思うんだ」と言い切る宇佐くん。
それは、ほとんどプロポーズのようなもので、重く響きましたよ。
変わるもの、変わらないもの。
たとえ何が変わっても、この関係だけは変わらないようにしたいという想い。
絶対に変わらないのではなく、変わらない2人に「なりたい」という決意が尊い。
だからこそ、「なりましょうっ!!」なんて決意表明になってしまって、
コミカルだったのは愉快でしたけど(´▽`;)
ただ、その決意は宇佐くんだけでなく律さんも同様で、彼に抱き着きながら
「なりましょうっ」と顔を赤くしながら叫んでいたのが印象的でした。
宇佐くんに頼りっきりになってしまうのではなく、自立できるよう、
同時に彼を支えることもできる自分になれるように、河合荘を出てゆくと決めた
というのは、立派だし健気だしで、律さんの魅力を増しますね。
何だかんだで両想い。
これからの2人のことについて、想いが一致した宇佐くんと律さん。
いまいちカッコつかなかった律さんに、「俺と一緒だ」なんて言って、
嬉しそうに抱き着いちゃう宇佐くんが可愛い。
それと前回、律さんが「自分から言いたくない」と述べていた理由も、
宇佐くんに話すと彼の方が自分に合わせてしまうから、というのは
大いに納得でありました・・・ そーゆーとこありますよね、宇佐くん。
そして、ぎゅ~っと抱き合う2人が良い雰囲気すぎて、たまりませんね。
そこから口づけへ・・・
と思いきや、ここで茶々が入ってしまうのが河合荘クオリティ!
それでこそといった空気感は、むしろ安心感です。
その後、河合荘に林さんや佐久間くん・椎名さんもやって来て、
にぎやかになっていますが、その騒々しさを「変わらないね、河合荘は」と評した
椎名さんの言葉が、これからの河合荘にも重なる気がして、良い感じでありました。
河合荘という「仮宿」にて・・・
シロさんと律さんの決断を、河合荘は「仮宿」だからと受け容れている住子さん。
河合荘を「ゆるーく日常を過ごすだけの場所」と言ってますけど、
その日常に欠かせない存在ですよね。
だからこそ、「たくさんの人生の欠片にちょっとだけ登場する」という、
ある意味、おいしい立場にいることができる。
多くの人たちの世話をしながら、彼らが「仮宿」から巣立ってゆくのを見守る。
その「仮宿」=河合荘を形作っているのは、住子さんその人なのかもしれません・・・
なんてことを感じてしまう会話に、しみじみしてしまいましたよ。
僕らはみんな河合荘。
ラストは、いつも通りの河合荘の喧騒が、心地よく響いてのシメ。
新しい住人もやって来る? なんて感じさせるセリフもあって、
河合荘の日々は続いてゆくのだな~と、感慨深いものがあります。
いや、もうね、大好きな作品でしたから、終わってしまうのが本当に名残惜しい。
宇佐くんと律さんの関係に焦点が当たるようになって、ラブコメ調が強くなりましたが、
当初は変人コメディ色が濃いお話でしたよね。
なので、笑いがまず中心にあって、シリアス展開になっても笑いへつながる安心感。
そんな所に魅力のあった作品だと感じます。
シロさんも、麻弓さんも、彩花さんも、住子さんも、それぞれ個性的で面白く、
河合荘の外の人たちもみんな楽しくて、彼らが創り出す世界の輪郭に、
大いに惹かれ続けた約7年半でありました。
今月号の巻末には、宮原るり先生のインタビューもありますので、ファン必携。
それによりますと、今後「番外編」が掲載予定とのことで、そちらも楽しみです。
スタートはしばし先のようですが・・・
言葉を尽くせないほど、思いはあふれんばかりですけども、これにて本編は完結。
長い間、本当に、存分に、楽しませていただきましたー!!!