五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2014年07月03日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2014年8月号より

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 Young_king_ours_2014_08_p457

 アウエルシュタットの戦い!

 前回、イエナの戦いにて勝利を収めたナポレオン。

 その一方で、ダヴー率いる別働軍が、敵主力とアウエルシュタットにて衝突。

 倍以上の敵を相手に、これを撃破したとの報告を受けていますが、

 自分の方が敵主力と戦闘したと思い込んでいたナポレオンは、

 にわかに信じることができない様子で・・・?

 

 

 Young_king_ours_2014_08_p461

 アウエルシュタットの戦いに臨むダヴー。

 敵軍を、倍以上の数がいる主力であると認識しつつも、

 いつも通りの姿勢で挑もうとするあたり、豪胆さと同時に、狂気をも感じさせますね。

 

 軍事の常識でいえば、相手よりも「数」で勝っていることが重要なのであり、

 この「数」を軍事的能力だけでくつがえすなど、そうそうできるものでないことは明白。

 圧倒的にプロシア軍有利であるにも関わらず、ダヴーはそんなこと気にもしていないように

 ふるまっているのだから、相当なものですよ。

 

 

 Young_king_ours_2014_08_p463_2

 開かれる戦端!

 プロシア軍の騎兵が突撃してくると、フランス軍は方陣を組んで迎撃。

 あっという間に方陣を組むフランス軍の練度の高さに、プロシア側が驚いています。

 

 ここでビクトルが、「こっちゃハゲに死ぬほど、しごかれてんだよ―――」

 なんて言っているのが面白いと同時に、ダヴーによる訓練の苛烈さと、

 ゆえに強い軍隊ができあがっていることを理解させてくれますね。

 なおかつ、ダヴー自身の指揮能力の高さも加わって、

 それが、かつてのイタリア遠征における、ナポレオンの指揮と重なっていたのは印象的。

 

 それだけの活躍を、ダヴーは成し遂げたということ。

 ギュダン・フリアン・モランという「不滅の3人」と呼ばれた部下も奮戦し、

 倍以上の敵を相手に引けをとらないどころか、むしろ自軍を優勢へ傾かせるとは、

 フランス軍を支えた兵士たちの士気・実力の高さもあるのでしょうが、

 ダヴーは、もはや名将と呼んでも差し支えないほどの人物だと、言えるかもしれません。

 

 

 Young_king_ours_2014_08_p473

 一方、プロシア軍の司令官ブラウンシュヴァイク公。

 彼もまた、ダヴーの軍を主力だと勘違いしているのが可笑しかったりしますけど、

 そこへ、一撃を加える男が1人・・・ ビクトルさん!?

 

 恒例のビクトル撃ちが、ここでも炸裂!

 またも大物を食ってしまうビクトル撃ち、すごすぎでしょー!!

 ただ、この描写、もちろん「史実」ではないのでしょうけども、

 それでも歴史を描くうえでは、とても意味深いものだと感じています。

 

 と言うのも歴史は、その時代ごとの権力者が中心になって動かしてはいるのですが、

 それでも、歴史に名前の残らない多くの人々が参加し、時代時代を作り上げていて、

 そうした“名もなき一兵卒”の行動が、事態を大きく変えてしまったりもするわけですよね。

 この“歴史に名前の残らない人間”の姿を体現し、象徴しているのが、

 本作におけるビクトルというキャラクターなのだと、よくわかる場面でしたよ!

 

 だからこそ、彼の活躍にたぎるものを感じずにはいられない!

 この行動の結果、プロシア軍は指揮系統が乱れ、後任となるべき人物が不在だったため、

 フランス軍有利な状況へと流れてゆくのだから、もう痛快でしたよ。

 “名もなき一兵卒”の弾丸が、勝利への道を切り開いたわけですからね・・・

 

 

 Young_king_ours_2014_08_p478_2

 勝てる戦いではなかったはず・・・

 それでも勝利を得たダヴーのすごさは、一言では言い表せないほど。

 

 ではありますが、ここでダヴーの髪の毛が抜けているのは、

 それだけ彼にかかったプレッシャーが大きかったことの表れ。

 「まるで機械」なんて言われるダヴーも、やはり人間なのだと思えますね。

 と同時に、その重圧を表に出さなかった彼が、いかに偉大であるかも感じさせてくれます。

 

 倍以上の敵に勝利したアウエルシュタットの戦いは、

 ナポレオンが関わった戦争の中でも、かなり特異なもの。

 ナポレオン自身が、「俺ですらできたかどうか」と考えてしまうくらいで、

 だからこそ、“不敗のダヴー”という呼び名も、違和感なく受け入れられるというものです。

 いや、とにかく素晴らしかった! ダヴーすごい!

 

 

 Young_king_ours_2014_08_p486

 ベルナドットへの処分。

 アウエルシュタットの戦いは、ダヴーとその軍団の活躍により勝利となったものの、

 その際、援軍に向かうべきベルナドットの軍が、駆け付けなかったことが問題視されます。

 

 ベルティエさんの嫉妬もからんで、面白いことになりそうだったベルナドットへの処分。

 しかし、1度は軍法会議にかけようとまで考えたナポレオンも、

 自分のミスを言い訳に、その処分を見送っていたのが、意外というか何と言うか・・・

 まあ、「自分のミス」は口実で、実はベルナドットの妻・デジレへ配慮しているのですが(^^;

 

 ナポレオンのデジレに対する後ろめたさが、ハッキリ示されていたため、

 この件に関する納得感はありましたけど、「こんなちっちぇーこと気にする」ナポレオンは、

 ちょっと珍しい感じでしたね~。 ま、そんな所も「男」って感じではありますが。

 

 などなど、アウエルシュタットの戦いにおける、ダヴーの活躍が描かれた今回。

 フリードリッヒ大王の墓所を訪れるナポレオンと、アレクサンドル1世との対比や、

 プロシア軍変革への序幕、それに伴う兵士たちの“お礼参り”など、

 他にも書きたいこと色々でしたけど、駄文猛省すぎなので、このあたりで・・・

 次号は巻頭カラーとのことですが、表紙が『清々と』となると、恒例の表紙サギが?

 そんなことも気にしつつ、今後も楽しみです!

 

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。