五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ ヤングキングアワーズ 感想

2012年05月04日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

2012年6月号

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 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら

 

 表紙は、コミックス5巻発売中の『蒼き鋼のアルペジオ』

 天羽さんとキリノさんが、がっちり腕組み。 制服姿ってゆーのがね、いいよね(ぇ

 

 

 『ワールドエンブリオ』は、天音姉に“取引”をもちかけるリク。 絶望的状況に光がさす・・・?

 そして、世界をかけた勝負を申し込むが・・・ という展開で、ますます盛り上がってきたー!

 賭けの対象になった世界の人々が大ブーイングしているのは笑ったけど、さて、どうなる?

 

 『それでも町は廻っている』は、都市伝説とミステリの見事な融合。 話作りの妙が光ります。

 市民センターでのかくれんぼで、歩鳥が見た“幽霊”の正体やいかに? 密室トリックか?

 はたまた錯覚か?と思わせといての真相に苦笑い。 でも、怪談の発生こそがミステリー。

 

 『裸者と裸者』は、連隊から旅団へと拡大した常陸軍。 それに伴い、昇進をとげる者多数。

 孤児中隊も大隊となり、カイトは作戦将校に・・・ そうした上昇感に胸躍らされる心地です。

 おばちゃんとの出会いはどん底での出会い。 そこから這い上がって来た姿は、感慨深げ。

 

 『天にひびき』は、ついにひびきによる指揮が披露されることに! さて、その反響は・・・?

 指揮者が若くともオケがしっかりしているから、と言う人がいれば、指揮者の力を知る者も。

 画面は静寂。 しかし奏でられる音は、しっかりと目の前に迫ってくるような感覚で、極上。

 

 『カラメルキッチュ遊撃隊』は、生徒失踪事件に迫るカラン達・・・ というか、カランも被害?

 様子がおかしい彼女を追うイラ&メルが、イホージンから皆を救えるのか? という展開で、

 かなり面白かったですね! 「母親」に囚われる心と解放される心は、繊細で、たくましい。

 

 『スプライトシュピーゲル』は、6月8日に2巻発売決定とのこと。 そんな今回、鳳が暴走?

 仲間すら容赦せずに攻撃してしまう彼女の表情が、真面目にコワい(((( ;゜д゜))))アワワワワ

 でも、3人の友情が上回る展開は嫌いじゃない。 そして、謎の人物現るで盛り上がります!

 

 『ヘン集女王』は、CHILL先生に迫る危機と、萬村さんの失踪とで、いろいろ大変なことに!

 イラストで有名になったmyo*先生の、漫画として必要とされていない悩みは、興味深い。

 それに対するゴッチーの答えもね。 でも、こんなカオスに盛り上がるのに、次回、最終回!?

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

【新連載!】

●AGEHA (六道神士 先生)

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 認識があいまいなセカイで、少年は恋人AGEHAの夢を見る・・・?

 いきなりベッドシーンから始まるとか、買う雑誌を間違えたか!? と焦った冒頭。

 初体験を迎えるのは、朱波(アゲハ)さんと楯葉心記(たてはもとき)くん。

 

 しかし、心記くんには、朱波さんとの出逢いの記憶があいまいで、

 幼なじみだったのか、昨年に一目ぼれしたのかもわからない。

 そして、そのままいざ本番! という時に、世界は一転。

 場所は変わり、謎の女性が現れて、わけがわからない展開に!?

 

 そんな始まり方をした物語ですが、これはかなり面白そうですね~。

 作者先生的に、カオスになってゆくだろうことは明白ですが、まあすでに混沌としてますし。

 心記くんの存在がまずナゾで、次いで朱波さんの存在も意味不明。

 それどころか、世界そのものさえも嘘で塗り固められているような、そんな雰囲気。

 

 認識が生存のカギ?

 だとしたら、この物語は心の物語として紡がれるのか?

 なんだか、いろいろ面白そうなので、今後に期待であります!

 

 

 

【コミックス1巻、発売中!】

●リュウマのガゴウ (宮下裕樹 先生)

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 コミックス1巻が発売したばかりで、ホットな作品。

 生態系が崩れ、人類が天敵「白皮」におびえて生きねばならくなった世界。

 災厄の源「ジン」から人々を救ったとされる、伝説の英雄リュウマ。

 “彼ら”による“意志”をつなぐ戦いを描いた物語です。

 

 今回は、最近やたらとクローズアップされる、ボスの戦い。

 ついに「リュウマ」となったボスとその一味は、急拡大して一大軍団となったようで。

 旧リュウマも、いまだ健在・・・ なのですが、何やら様子がおかしい?

 そんな展開に不安がよぎります。

 

 しかし、あのボスが立派になったもんですね~。

 強いだけでなく、しっかりした考え方もできるようになっている。

 「ここいらで・・・落ち着こう」と言っているのも、臆病風ではなく、

 自分についてくる者たちを案じてのことでしょうからね・・・ 人の上に立つ器ですよ。

 さらに旧リュウマの本音混じりな“暴言”すらも、しっかりと受け止めている。

 この2人を見ていると、まるで親子ですよ。 父を越えた子の姿を見ているかのよう。

 なかなか感慨深かったです。

 

 糸使いのじいさんも参加しているようだし、ついにジンとの決戦へ赴くのか?

 しかし、まだまだ他のリュウマや、リュウマの嫁になると豪語していた女性もいないし・・・

 はてさて? いずれにせよ、ここからが本番っぽいし、今後が楽しみです!

 

 

 

【コミックス1巻、5月17日発売!】

●かみわたし 神様の箸渡し (有馬啓太郎 先生)

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 神社に封じられた女神と、彼女に出逢った少年の物語。

 神社と道を分ける川に「箸」をかけることで、神の世界へ迷い込んだ少年タケル。

 そこでウサギ耳の少女・テルヒメと出逢い、2人で楽しいひと時をすごしますが・・・

 というお話。

 

 今回は、祭りのつづき。

 柱を曳き入れる人々と、“勝負下着”をはいて出迎えるテルヒメ。

 これはつまり、男女の性的な意味合いを象徴しているってことですよね。

 そして、テルヒメは人間の目には映らない存在ですが、

 テルヒメの方は、人の存在を感じられる方法があるようで、

 そのことにより自分が、氏子たちに必要とされていると実感し、

 感激している様子が微笑ましく、そしてまた寂しい。

 

 タケルの存在に一段と喜ぶテルヒメの姿が、それに拍車をかけますね・・・

 ボーイミーツガール。 しかし、分かれた2人は再び出会うことができず。

 そんな物語の哀しみを感じつつも、これがどのように展開してゆくのか興味津々。

 ゆえに今後も、楽しみです!

 

 

 

【コミックス3巻、5月30日発売!

●アリョーシャ! (近藤るるる 先生)

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 元・殺し屋の少女が受けた最後の任務は、女子高生になること・・・!?

 3巻が待ち遠しいわけですが、今回は、未留さんの危機を救うべく急ぐアリョーシャたち。

 未留さんに仕掛けられた爆弾を処理しなくてはならないものの、

 途中、警察につかまってしまい、あれこれややこしいことに・・・

 

 次々に警察官に見つかるアヤシイものがヤバすぎだったり(とくに遺体)、

 龍之介くんの兄が、あまりに弟LOVEすぎて大笑いだったりと、

 危機感が高まる割には楽しさあふれていたお話でした。 清水巡査部長、面白すぎ!

 いや、真面目に未留さん大ピンチだったわけですが(^◇^;)

 家庭教師の岡田茂さんがスゴかったな~。

 

 などなど、1件落着ではあったものの、まだ火種は消えたわけではなさそう。

 次に迫るのはさらなる強敵っぽいですが、ここはいったん日常に戻ってほしい所ですね。

 そんな感じで、今後も楽しみです!

 

 

 

【コミックス5巻、5月30日発売!】

●球場ラヴァーズ (石田敦子 先生)

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 カープファンの女性たちによる、かしましき野球観戦道・・・!?

 いや、移籍作品なもので、実はよく知らないんですけども。

 今回のお話は、実央さんのオープン戦観戦や、基町さんと部長さんの「争い」、

 みなみさんは風邪でお休みといった内容。

 

 新しいシーズン、新しい生活へ向けての実央さんのはしゃぎっぷりと決意が気持ちよく、

 基町さんと部長のやりとりには大笑いして、爽快な気分に。

 野球ファンってだけで、ひいきのチームは違っても、けっこう親近感わくものでしょうかね。

 このあたりのやりとりの楽しさはもちろん、実央さんの逡巡や、

 そこから活発に動き出す様子などが、見ていて非常に心躍らされるんですよね。

 

 楽しそうに野球観戦するよな~・・・ なんだかこっちまで野球観に行きたくなるよな!

 といった風に、ぐいぐいっと彼女のペースや心情に引き込まれてしまう。

 そうした感覚が、みごとな作品。 新たなシーズン開始ということで、今後も楽しみです!

 

 

 

【毎月ピックアップ!】

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

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 戦争の終結をむかえ、次にナポレオンが取り組むのは国づくり!

 内政に力を入れる宣言してますが、これがなんとも力強く、

 希望がわき上がるような感覚で迫ってくる冒頭です。

 

 亡命貴族の呼び戻し(人材の確保)、教育の充実、

 そして、レジオン・ドヌール勲章の創設。

 第1話ではすでに出てきていましたが、これはそれ以前の時間軸のお話ということでしょう。

 勲章の必要性を説くナポレオンの演説が、説得力にあふれていてすごかった!

 さらに法典づくりでは、寝る間も惜しんで取り組む辣腕ぶりを発揮。

 

 とにかくすべて、ナポレオンの思うがままに進行してゆく様子が、

 彼の絶頂期を象徴しているかのようでした。

 ナポレオンというと軍人としての側面が強調されがちですが、

 政治方面での活躍も、忘れてはいけない要素ですよね。 功罪あるのでしょうが・・・

 

 

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 しかし、そんなナポレオンにも思うようにならないことはありまして・・・

 それは子供。

 あのタレイランさえも年貢の納め時だし、

 フーシェからは親心について諭されるし(ここのシーンは感慨深かった)で、

 子供について考えるナポレオンでしたが、そこで思いついたのは養子を引き取ること・・・

 

 その親には、弟・ルイと、妻の連れ子・オルタンスをと決めますが、

 これには未来のナポレオン3世陛下を思わずにはいられませんでしたね。

 また、デュロックさんも登場したのですが、私、この方については詳しく存じませんで、

 なんでもナポレオンにとって最も信頼できる部下であり友人であったのだとか・・・

 だとすると、今後も活躍するのかな? イイ人そうだし、期待の人物です。

 

 

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 そして、今回の白眉だったのが、このシーン!

 記者を集め、子供たちの前で教育について語るナポレオン。

 さりげなく、言論封殺をしていることを描いているのが、ブラックな笑いを誘いますが、

 ここで教育により保証される輝ける未来を謳いながら、はさまれるのが「10年後」の光景。

 1802年の10年後・・・ そう、ナポレオン運命の年ですね。

 

 この栄光の時からの落差があまりに激しすぎて、もう悲しいというかやるせないというか・・・

 とにかくここの描写は素晴らしかった!

 ここで、こう描きますか長谷川先生~・・・ と感服。

 

 輝ける未来を信じるナポレオンと、その未来図の結末を知る読者との温度差が、

 絶妙な読後感を残す見事なシメでありました。

 そんな余韻にひたりつつ、今後も楽しみです!