2011年5月号 ①のつづきです。
①は、『蒼き鋼のアルペジオ』の感想です。
以下、今月号のネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
表紙は『アリョーシャ!』(近藤るるる 先生)。
コミックス1巻が4月4日に発売ということですけど・・・どうしましょう。
今回は感想書きませんでしたけど、けっこう面白い作品なので(^^;
そして、今月号から『スプライトシュピーゲル』(原作:沖方丁 先生 漫画:中嶋ヤマト 先生)
が新連載スタートしています。 また、『セカイのミカタ』(鈴木小波 先生)が完結です。
●僕らはみんな河合荘 (宮原るり 先生)
「先っぽだけ」とか言う男は、信用してはいけません!
そんな教訓を感じさせる麻弓さん&彩花さんのやりとり。
もー舌入れる気満々とか、どんなエロ百合ワールドだよッ! ・・・いいぞ、もっとやれ!!(ォィ
まあそれはともかく、サークルの飲み会で色々あったらしく、荒れている彩花さんですが、
河合荘の秩序を乱す者に対しては、住子さん容赦ありません。
笑顔がステキで穏やかな御婦人なのに・・・コエーよぅ((((;=д=.)))) キュッ!
それにしてもシロくんは、オチ要員としての立場を確立していますね。
「縛られたい」て、関係ないじゃん!(;´Д`)
一瞬、文意が通じずに何事かと思っちゃったよ!
彼、おもろいわ~。
そして、いわゆる「男の恋愛は個別保存、女は上書き保存」の話はお見事でした。
麻弓さんや律さんに当てはめた、彩花さんの解説がいちいちごもっとも!
クズ男=ウィルスへのアンチウィルスソフトを作れない麻弓さんの「上書き」には、
宇佐くん同様に納得してしまう説得力がありましたね。
さらに律さんへの指摘も、なるほどと思えるもの。
この時、聞き耳を立てるような宇佐くんの表情をうつすコマはイイですね。
宇佐くんの律さんへの想い・興味を感じられる気がしました。
でも「童貞妄想」は大概にしとけよ、少年!
それにしたって、律さんは純すぎます!!
そんな所も嫌いじゃないけど、ちょっとだけ麻弓さんの言っていることに
共感してしまったのはナイショです・・・・・・汚れた大人になってしまったな、自分。
次号は、巻中カラーで登場とのこと。
今後の河合荘の面々、とくに宇佐&律がどーなるのか・・・とても楽しみです!
●並木橋通りアオバ自転車店 (宮尾岳 先生)
今回の本作品、なんと「震災」をテーマにしています。
先月11日、かの東日本大震災が起こったわけですが、本誌の発売が30日なわけで、
この間に描き上げ、かつ印刷スケジュールを組んだことになります。
(宮尾先生のtwitterより 津波に関してはこちら)
物語は、震災時の報画堂広告舎 から始まりますが、
ここでの社長の対応がすばやく見事!
「ぐずぐずしていると帰宅難民になるぞ」と述べ、社員全員の退社・帰宅を指示します。
自転車通勤組は、電車が止まったり渋滞あふれる状況でも帰宅できそうということで、
ミホさんもスイスイ~っと駆け抜けていたのですが・・・という展開。
今回のタイトルは「信じること」。
ミホさんも、彼女の“フィアンセ”長岡さんも、そしてアオバ自転車店の面々も、
この「信頼」を軸に物語をキレイに盛り上げてくれました。
アオバの自転車は良質ゆえに高額。
非常時に購入したいというお客様には不評なわけですが、
ここで店側がとった対策が、全面的にお客様を信頼するというカタチのものでした。
私などはこうした対策に「いやいやいや、お人好しも大概にしとかなきゃ食われるぜ!」と
あきれ半分になってしまう心狭き人間なのですが、
それでもこの行動には、心のどこかで感服してしまう自分もいたりするわけで・・・・・・
一応、店側のねらいもあるけれど、それだって上手くいくかどうかわからない。
でも、確実に応えてくれる人もいる。
ふだんはもちろん、非常時にあっても「信頼」が存在することの心強さは破格のもの。
だからこそ、「信頼」という土台がいつも以上に必要なのだと、
そんなことを感じさせてくれる、心洗われるようなエピソードでした。
ミホさんへの長岡さんの言葉、ラストでのアオバちゃんの言葉、
いやもー素晴らしかった!! 今後も楽しみな作品です!
●清々と (谷川史子 先生)
今回はバレンタイン話で、さやさんが本八幡先生に・・・
という話かと思いきや、千香子さんと、なんと許婚である雪紀くんのお話!
笑顔で“許婚”のことを語る千香子さん・・・・・・幸せって、こーゆーのを言うんだろうなあ。
茶道のお家元のお嬢さんである彼女は、まさに大和撫子といった趣の女性。
一方の“許婚”である雪紀くんは、和菓子屋の息子だけど、外見チャラ男!
でも2人は、子供の頃に「婚約」した仲で、とても仲良し。
千香子さんの方は「その未来を疑ったことはなかった」なんて言うくらい、
それはもう大切に想っているのが、よ~く伝わってくるくらいぞっこんなのですが・・・・・・
「ガキの頃、親同士が言ってただけ! んなの無効に決まってんだろー?」
当の雪紀くんは、友人にこ~んなことを言っちゃってるし。
しかも、それを千香子さんが聞いてしまったから、さあ大変!・・・という展開。
最近、疎遠になってきているように感じていたところに、この一撃。
ああ、もう! 雪紀なにやってんの!?
と、読者はやきもきすることになるわけです。
さやさん達の前で涙流すほど、ショックが大きかった千香子さん(;;)
「彼の気持ちがわからない」
恋愛の悩み、基本中の基本! だけど、永遠のテーマ!
そこで、友人みやびさんの一言は、「じゃあ、なおさら会いに行きましょうよ」
ヤバい、ステキすぎる!!
友人の涙に、こんな風に応えられるみやびさん、ステキー!
これに勇気づけられた千香子さん、さっそく行動に移すのですが・・・・・・
と二転三転な展開で楽しませてくれた今回のお話。
正直言いますと雪紀くんの気持ちも、私はなんとなく察することができます。
彼もまた悩んでいたのだと。
でも、そこを飛び越えて進展する2人の関係。
雪紀くんのとった行動と、それに対する千香子さんのご両親の答えには
大笑いさせていただきました!゜(*゜´∀`゜)゜ 気持ちよく笑えたな~。
何て清らかなんだ!
いいオチもついて、こんな多幸感に包まれて・・・そんな感じで、今後も楽しみです!
●ナポレオン-覇道進撃- (長谷川徹也 先生)
「ヴァンデの反乱はフランス史の暗黒点である」
まさに、歴史のタブーというやつですね・・・フランス革命期の大惨劇。
そして、この惨劇を終わらせたのが、ナポレオン・ボナパルト!
「私の武器は寛容だ 農民たちが求めているのは神だ」
ヴァンデ反乱軍の主導者たる王党派の面々に、こう言ってのけるナポレオン。
実際、王党派の要求を1つをのぞき、全面的に受け容れる姿勢を示しています。
この姿勢は、王党派にとっては不服なものですが、彼らが率いる農民に対しては
しごく有効という、まさに政治センスの光る駆け引きとなっています。
ナポレオンというと「軍事の天才」「戦争の申し子」といったイメージが先行しますが、
この第1執政時代の政治的業績は、結果としてみれば無視できないものが多々あります。
そうしたものが見事に描かれていますね。
ほかに、なんで王党派の中にフクロウ(?)のかぶりものしてる奴がいるの?
とかも気になりますけどね(ぇ
(答え:ふくろう党)
しかし、ここで語りたいのは、なぜナポレオンが「寛容」を武器とするのか?という点です。
「政府は王党派でも共和主義者でも有能な人材を欲している」「その気があれば来たまえ」
去りぎわに、王党派の面々へかけられたこの言葉からは、
ナポレオンが人材を求めていることがハッキリと示されています。
つまりナポレオンの「寛容」は、左右両派であろうとも、それ以外であろうとも、
とにかく優秀な人材を政府に加えるためのものであることが察せられ、
ここから、彼がいかにフランスを立て直そうとしているかの気概を感じとれるわけです。
この人材の中には、軍人としてはライバル的存在でもあるモローも含まれます。
ナポレオンとは仲が悪かったらしい人物ですが、
そんな人材であっても使いこなさねばならない。 それが「寛容」の宿命です。
政治的にいえば、ウマいことバランスを保たねばならないため、
細かな神経を使うことが多くなりそうですが、その結果、広範囲の人材を集めることができ、
かつ多様性をもたらし安定へつなげることができるという利点があります。
まあ、ナポレオンは戦線を思い通りに動かすため、
モロー以外の将軍を送り込むようですが・・・・・・
それにしても、ナポレオンの「寛容」は、“あの男”まで呼び戻しましたよ!
いやあ、笑った笑った! 相変わらず豪快ですね~、彼は。
ベルティエは哀れだったけど(^◇^;)
「争ってる場合じゃない!」と祖国フランスのために力となることを伝えていますが、
その心意気に「やはりあんた 男だな」と答えるナポレオンのセリフは、
前回ゴーダンに向けられた「お前は男だ」と同じものですね。
このことから、ナポレオンの求める人材は「男であること」。
これが重要な条件なのだとわかります。
国家の危機的状況に対するのは、能力はもちろん、それだけの気概をもつことを
求められているというわけです。
ますます面白さを増す「ナポレオン」。
どれだけの男たちが集い、フランスを盛りたててゆくのか、今後が楽しみです!