小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

デコイ・人間の生きる叡智 (鳥族の悪魔?)をフックする

2014-12-13 22:52:00 | フックド・ラグ

 アメリカーナのフォークアートの中で最も高価で特に男性のコレクターの熱い視線を浴びているのはデコイです。

アメリカの原住民にとって鳥類は重要な食べ物であった時代、デコイは季節ごとに集まる鳥たちを呼び寄せるために
草で形つくり、実際に鳥の羽根を貼り付けた囮(おとり)です。

人間が近寄ってもよくわからないガマの穂のある草の上や池や草のある湖、池や川の
ほとりで簡単に捕まえられるように
 草でつくられたいろいろの鳥の原型がデコイ です。 
          
     

               
 実際に鳥の羽を張り付けたデコイはやがて木で中をくりぬき浮かぶいうに作られ、油絵具で加工されるようないなりました。
実用として使われたいたデコイの美しさに目覚めコレクターが現れだしたのは、1918年頃からで本も出版されました。
 現在は北米の重要なコレクタ-アイテムで1970年頃から重要な作者がわかるものは値が付き、有名な作者ものは
1980年のオークションでは10万ドル~15万ドルに跳ね上がり、
2007年には100万ドル以上、現在ではファインアートの
世界になりました。歴史、文化遺産としても重要なもので、コネチカットには2,000個以上の収集を持つデコイ美術館もあります。

          
     
                         フックド・ラグ制作 平野陽子 
      
100年以上も前に作られた木彫と油絵の彫刻。中が空洞になっている囮ですが、モダンで素敵な表現になりました。
      2014年10月22日~11月11日までミキモト ホールで展示されたラグです。牧歌的ですが鳥の眼が仲間を呼び寄せ
      
殺されるさ寂しさ、諸行無情を悟っているようで心を打つ秀逸な表現ですね。アメリカの歴史の1ページに教えられます。


      

                    
          

 

 

 


 


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2 コメント

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Unknown (YOKO)
2014-12-15 00:56:40
木製のデコイは、木の艶や光をウールでどのように表せるかなどの課題はありましたが、背景は空と畑で単純にまとめ、後は想像力に任せられる様な作品に仕上げたいと思い、何度も遠くから眺めながら進めていきました。

気に入らなければ簡単にやり直しがきくところがフックドラグの魅力ですが、完成した時の喜びと充実感は何にも変えがたいものです。

約2年前に初めてフックドラグというものを知り、小林恵先生のご指導と、クラスのお仲間から大いなる刺激を頂き「フックドラグって本当に楽しい!」を実感しています。

ミキモトホールでの晴れがましい作品展に出展させて頂き有難うございました。
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囮に引きつけられる。 (Bicky)
2014-12-24 09:55:28
もともと藁を編んだような素朴なデコイだったのでしょうか? 素朴さがいいですね。
囮のデコイに引きつられたコレクターがたくさんいるのでしょうね。
ラグのデコイの色使い、表情、水辺の草むら、ほんとに引きつけられます。
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