自分の悲しみをラグに閉じ込めているリンダのトラウマ
Linda Friedman Schmidt
リンダ フリードマン シュミットはニューヨークでであったラグ友です。戦争が終わり収容所が解放されたとき
彼女の父親は17歳,アメリカの援助で渡米、ニューヨークに来ました。リンダが収容所を出た人の中で最初に生まれた
子供です。それだけでトラウマが十分に理解できると思います。
左から私の横がリンダ フリードマン シュミッツ NYフォークアート美術館でスピーチをした時の撮影
1930年ころからファッションのリーダー店であったニューヨークのヘンリ ベンデルのバイヤーをしたり,マンハッタンの56丁目
にユニークでファッショナブルなお店を持っていたこともありました。
リンダはいつもファッショナブルです。優秀なマネージャーで現在は世界中に自分のアートワーク作品のプロモーションをしています。
水着から靴下まで捨てられたテキスタイルを使用してフックド・ラグでアートワークを作りコンテンポラリーアーチストとして活躍しています。
テキスタイルのポートレートアーチストとしてまた、癒しのアートとして心の中に隠された苦悩や感情を洗い流し、社会に問いかけています。
2009年企画した日米展でミキモトでラグを展示した時彼女の作品も展示しました。
写真左下の乳母車に座っている父親、「子供時代の囚人」という作品です。この作品は朝日新聞にも掲載されましたがリンダの人生経験
を如実に物語るものです。「涙」と題する最近の作品も彼女の内面を表現しています。
狼におびえる母と娘、勿論狼は父親です。泣き叫ぶ娘。苦悩に慟哭する父親など「アートとは日常の暮らしのゴミや苦悩を吐き出すため
にある」といったピカソの言葉に共鳴したといいます。
材料はすべてリンダの作品に感動した父親が拾い集めたものです。
1964年4月、初めて日本のツーリズムが解放されて渡米した私はニューヨークでティファニーの裏にあった帽子ブティック店のデザイナー
としてもぐりで働いた時のことです。オーナーはユダヤ人、他3人もヨーロッパで腕を磨いた帽子作りの名人たち。アウシュウイッツが解放され
たとき同じ船でNYに来た仲間で、皆腕に刺青の番号がありました。トップの腕利きのデザイナーのレーナはドイツで有名な帽子店の娘で
家族は収容所で皆殺されたという。レーナは収容所で電気拷問を受け家の電機は24時間つけっぱなし、アトリエでもアイロンにさわれませんでした。
私を含めて6人いたアトリエで毎日彼女たちの経験談を帽子を作りながら聞くのはショックで凄い経験でありました。
一人いたドイツ人はいつも無言。黒人のアシスタントはいつも歌を歌って知らん顔。表の店から戻ってきたマダムは「ケイ!また聞いているのねッ!
やめなさーい!」と怒鳴りながら店に戻っいく毎日でした。世の中のことをあまり知らない30歳。ニューヨ―クの日々はリンダの作品を見るたびに
鮮明に思い出し, いろいろの人間と暮らしの観察の眼を開眼し、多様性を考えて世界を見る動機となりました。
リンダの表現は素晴らしい。学ぶことも多い。自分で評価する値段も25万ドルと高価。しかし私たちはピカソにはなれないのでラグ作りは美しくて、
楽しくてほっこりし、誰かをハッピーにできれば充分ではないだろうか。
安くても売れなくてもお金に換算できない価値を作り、作者たちが作り上げた自信を宝にできることはこの上なく光栄で嬉しいことなのです。
身の周り数メートルぐらいの自分が楽しむ手芸感覚しか思い浮かびませんでした。
リンダさんの素晴らしいアートとしてのラグは生い立ちと共に感激でした。
拷問された体験は一生引きずらなければいけないようで想像を絶する恐怖です。
アイスルのテロに日本人も巻き込まれ、ここぞとばかりに憲法改正にむきそうで不気味さを感じます。
「夜と霧」 ヴィクトール E フランクルさんの本を読みました。
精神医学を学び第二次世界大戦中ナチスに強制収容所におくられた体験の話です。
どのような困窮、死、病気、強制収容所の下にあっても人生に「イエス」ということが出来ると書かれていました。
初めてのコメント投書ですが後押しされ思い切って書きました
ラグを続行しないの?との問いにイエスと言わないで去った恵美子さん。意見がない人はいないはずです。自分の膝上しか見ないので私は手芸というカテゴリーを決めつけるのが嫌いです。ちゃんとした意見があるのに考えているはずなのに言わない。どうせ私なんかという。これって才能の浪費どころか「夜と霧」の著者にも申し訳ないとおもいませんか?お城めぐりも素敵ですけれど、自分を発見し追及して掘り出していくのも意味ある生き方とおもいませんか?城めぐりが終わりましたら生徒皆集めますからね。イエスイエス!素晴らしい経験を楽しみにしています。
ラグにどんな気持ちで向かっていかなくてはいけないのか?先生の楽しいレッスンの合間に時々考えます。
今は先生のいろいろなお話を仲間と共に
余すことなく聞き取り
記録していかなくちゃ!という気持ちもしています。
「私たちはピカソにはなれないのでラグ作りは美しくて、
楽しくてほっこりし、誰かをハッピーにできれば充分ではないだろうか。
安くても売れなくてもお金に換算できない価値を作り、作者たちが作り上げた自信を宝にできることはこの上なく光栄で嬉しいことなのです。」
という言葉にちょっとホッとしています。
生活の記録をラグに。
私は今3メートルもの雪に埋もれて生活しています(笑)
東京から1時間半にそんな世界が広がっているんですよ!そんな暮らしを見つめて何かラグできることを見つけてみたくなりました。
私は今学校で染織を学んでいるのですが、アメリカンフックドラグの魅力に惹かれ、この春からラグの制作に取り組もうと思っています。
小林さんの本を読んでhomespunさんで材料を購入しようと思ったのですが、homespunさんの他にもラグの材料を取り扱っているおすすめのお店があればぜひ教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。
ネットでラグ材料店をひいてみたらいかがでしょうか。
まだ日本ではビジネス化していません。アメリカの開拓時代同様の感がありますが、産業がない時代に社会現象をおこした位たくさん作られたのですから、その時代に学ぶことも多いのです。それは工夫からの出発です。
ラグを知らない人が多いのですがキルトを紹介して10年ぐらいはみなキルトってなんですかと質問されていましたから時間がかかるのでしょう。
フックドラグの素朴な美しさに出会って、これからもっとラグの魅力が日本に広まっていくといいな、と思いました。
国内だけではなく、海外のサイトも探してみようと思います。
ありがとうございました!