小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

1568年の腹の虫、戦国時代の医学書「針聞書」(はりききがき)

2013-01-12 22:02:12 | ものつくり

愉快で可愛いい妖怪のような病原菌


 




 

これらの愉快でかわいい妖怪のような虫たちは戦国時代の医学書、「針聞書」に書かれた67種類に及ぶ人間に宿る病原菌の一部です。
今から450年もの昔、織田信長が活躍していたころの病気の治療、針を打つ場所,お灸を打つ場所、臓器や体内図を描いた最初の医学書
の中の虫の正体です。

当時はおなかが痛いときは腹の虫が騒いでいると思いました。「虫の知らせ」「虫が好かない」「虫の居場所が悪い」「むかむかと腹の虫が
収まらない」という表現があるように、夜泣きする子供はかんの虫が騒ぐと言ったのも顕微鏡もレントゲンもなかった時の想像した虫たちです。

上段左:人体の各所に住む病原体。上段中:肝癪=この虫に取りつかれた人は怒りで顔が青ざめ、人を怒ることを好むようになる。
上段右:肺虫=肺に住み人間が食べた米を食べる虫。伝染するので要注意虫。
下段左:蟯虫=この虫に取りつかれた人は必ず死ぬ。枕の下の熱まで閻魔対応に告げるので必ず地獄に落ちる。
下段左中:悪虫=脾臓に住みつき食べた人の栄養物を横取りする。取りつかれると痩せの大食いになる。
下段右中:肺癪=白い虫でこの虫が現れると色白になり胸を患う。下段右:亀癪=栄養を摘み取り薬の効かない虫。

そのほか男女が和合すると出てきてむらむらするという蔭虫、心臓の虫、腰の虫など想像上の虫たちの治療法が書いてあります。

この医学書は九州国立博物館の所蔵で私は2006年フレーベル館出版、アーサー ビナードが書いた子供用絵本、「はらのなかのはらっぱ」 針聞書(はりききがき)をみて
飛び上がって喜び、大いに楽しみました。

その時ニューヨークのアメリカンフォークアート美術館でのラグデイに展示のためにこの虫たちを登場させてフックドラグを作りました。
体の中の原っぱを泳ぎ回る虫たちのフックド・ラグ。玄関マットまたはドア前の敷物。
          
右)脾臓の虫=肝臓に爪を立ててしがみつくとき、熱中症をお越し体がひでる。筋肉にしがみつかれると頭を打ったようなめまいがする。

アメリカ人にこのラグのデザインを説明すると 「?」 「450年前の医学書の中の病原菌です」 「?」 話を本気にした人は勿論いませんでした。

 現在は当美術館で縫いぐるみなどが作られマスコットになっているらしいです。私がうれしいと思うのは試験管に入れられた虫たちです。
サイトで九州国立博物館、針聞書を参考にご覧ください。この上なく楽しいです。最近出版されている復刻版は高価ですが、子供の本に
したことが素晴らしい。

日本人でさえ知らないことをアメリカ人のアーサー ビナードさんが面白い!と早速絵本にして出版してくれたのはうれしいことでした。

ビナードさんの日本文化を観る眼はすこぶる愉快で世界観に満ち,その着眼点は日本人を開眼させてくれます。
日本人の及ばないユニークな日本文化の分析と独特の知恵の分かち合いは腹ごなしどころでなく新鮮ですね。

 ビナードさんのサイトです。
http://www.web-nihongo.com/wn/haragonashi/12.html/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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