桜・さくら・サクラ
桜は日本人の血だ。春を待ち、桜前線のニュースに耳を傾けその土地をおもい、桜の咲く日を待ちわびる。
”桜の咲くころあいましょう” とデートの約束をした友人たち。
待ちに待った桜なのにアットいう間に雨に濡れ風に吹かれて散っていまう。
来年こそは必ず会いたいと心に誓う。
束の間の美しさを愛でるのも日本的なのかもしれない。そして歩いて、立ち止まってみるのが一番ふさわしい。
豪華に咲き、車で ” うわーッ ! なんて素敵!” と車でアメリカの豪華版ドライブも悪くないけれど、ゆっくり歩きながらちらちら揺れる枝や
緩やかに落ちる花びらの下で桜を見上げる時も、なんと幸福な瞬間であることか。
朝早く谷中のお寺と桜を見に行く。お墓と桜はとても相性がよい。グレイのお墓もこの日を待ちわびているのだろう。
お墓が華やぐ日だ。人生を全うした人たちをめでるにふさわしい華やいだ桜墓地。鳥の声さえもはずんでいる。
毒婦と呼ばれて斬首された笠森おせんのお墓にも、桜が揺れる。好きなことをして消えていったおせんを許しているようだ。
人生を思い人生をめでるにふさわしい桜。今咲き誇っている。
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