散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

「事件」の囚人を克服する道~STAP細胞に係わる理研改革委報告書

2014年06月12日 | 現代社会
“運命”という言葉を科学の説明に使っているのに奇異を感じながらも、画期的成果と驚き、少しでも理解しようと試みた事案だったが…事件へと進んで、思わぬ方向へと、考察が進んでしまった。
 『運命を変えられたSTAP細胞たち140204』

その間、ネットのおける様々な現象・事案・事件・意見を聴いて、特に医学、薬学関係に関する多くの不正が指摘されていること、更に研究者と同じ専門的レベルで議論を行う所謂ブロガーの存在、に驚きもした。

しかし、それも漸く終幕が近づいたようだ。
理研が設置した外部の専門家からなる「組織研究不正再発防止のための改革委員会」(委員長 岸輝雄・東大名誉教授)のよる「提言書」が2014/6/12に野依理事長へ提出された。以下、概要をまとめ、コメントをつける(『』内)。

(1)提言にあたっての基本的な考え方
1研究不正行為にとどまらず、疑義や不適切行為を含めた全体像を捉える
2従来の取り組みを根本から見直し、実効性のある対策を実施する
3小保方氏のみならず関係者の役割・責任、組織運営のあり方も検証する

『今回の事案は研究不正という以上に、小保方氏の研究そのものの稚拙さ、知識の大幅な欠如、コペピに顕れた幼稚さなどの問題が各方面から指摘されている。従って、その程度の、研究者とは言えない人物が理研の研究リーダーに登用され、研究不正を行った経緯と背景が重要であることを指摘している。外部の専門家組織が設置されざるを得なかった理由も、巡ってここにある』

2)STAP問題はなぜ起きたか-STAP問題発生の原因分析
1CDBは小保方氏採用に際し、客観的資料を精査しなかった
 (iPS細胞研究を凌駕する成果を得るという強い動機があった)
2STAP論文は生データ、研究成果の検討を省略して拙速に作成
3小保方氏の研究データの記録・管理はきわめてずさん
4研究不正行為を誘発し、抑止できない、組織的な欠陥があった
5CDBはデータ管理を実行する具体的なシステムの構築・普及がなかった

『問題は、小保方氏個人の資質(2,3)と理研の研究管理体制ガバナンス(4,5)に別れる。少なくとも研究者の資質としては、小保方氏だけの問題で有り、(1)の採用を正規にすれば、入所できず、問題は起きなかったとも言える。』

『iPS細胞に対抗する動機があって不思議ではない。しかし、それをテーマとし取り上げ、人員を配置し、実験を導くフォローをする方法がまるで確立されていなかったのだ。これは筆者の推察であるが、理研側でのアイデアではなく、対抗心を燃やした笹井氏が、STAP細胞減現象に幻惑させられたという他はない』

(3)再発防止のための改革の提言―研究不正の再発防止策として
1STAP問題に係る個人・組織の責任を明確にし、相応の厳しい処分を実施
2早急にCDBを解体、新センターはトップ層を交代し、すべて再構築
3STAP現象の再現実験を行うこと
4第2論文も速やかに調査を行い、研究不正行為の有無を明らかにする
5理事長直轄の研究公正推進本部を新設する
6研究不正を防止する「具体的な仕組み」を構築する
7理研のガバナンス体制を変更すること
8外部有識者で構成される「監視委員会」を設置する

『上記の改革は必要だが、これをすべて実施しても、理研から優れた成果が出てくるわけでもない。事件の囚人から解放されるのは、若手研究者を育成する環境が必要なのだ。任期付きで研究者を雇ってプレスを掛ければ、成果がでてくるものではない。これまでの理研の成果を、今回のSTAP細胞のように誇大宣伝するのではなく、冷静に評価し、研究者が次のステップのアイデアを提案する環境を作る必要がある』

『それは博士論文を担当教官が指導もせず、当然、実験も指導せず、成行きに任せで、トコロテンのように押し出すだけではダメなのだ。大学院における育成方法から考え直さないと、日本での研究開発が空洞化してくる可能性がある。いや、すでに空洞化は恐ろしいばかりに進行しているのではないか。
対応策が急がれる。』

      

      

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