散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

ムチャクチャな表現、地方創生~地方は消滅なのか?

2014年10月29日 | 国内政治
創生と言う言葉を聞いて、確か創生日本とかいう政治団体があったな、と思い浮かんだ。これはボーンアゲインということか?あるいは維新であるのか?ともかく、直近の世界を否定した革命的変革を起こすということだろう。

しかし、イデオロギーであるならともかく、現実に多くの人たちにとっての「生活の場」を新たに生まれるかのように創るという表現は信じ難い表現だ。メチャクチャな日本語の使い方だ。それなら、大地震と津波によって破壊された地域を創生出来るのか?3年が経過しても、復興は遅々として進んでいない。

その中で、増田レポートが地方消滅を警告し、その反動を利用して「地方創生」を提言して金を引っ張り出そうとしている。これに対してまちづくりを長年、手がけている木下斉氏が増田レポートのスタンスを鋭く批判している。

木下氏の議論を以下にまとめて見よう。
「大筋「地方が消滅する可能性がある」という話は間違っていない。しかし、一連の「地方消滅」の議論では、「地方そのものの衰退問題」、「地方自治体の経営破綻の問題」、「国単位での少子化問題」、この3つが全て混在する。しかも、東京から地方への人口移動を中心に据えれば、地方も活性化、地方自治体も存続、さらに少子化まで解消する、としている」。そんなうまい話は無いのだ。

結局、木下氏は増田レポートのイデオロギー性を指摘しているのだ。イデオロギー性とは問題の誇大化と単純化である。ここでの誇大化は地方人口の減少=地方消滅であり、単純化とは人口問題に還元していることだ。

以下、次の順に話を進める。
1.消えるのは、「地方そのもの」ではない
2.自治体は直近の財政破綻を危惧すべき
3.国民を移動させる前に、自治体経営の見直しを
4.大都市部の少子化問題と向き合うべき
5.ギャンブルのような一発逆転ではなく、潰れない地方政策を
6.繰り返される地方政策の間違いと向きあおう

「増田レポートは「今の単位の地方自治体…今のまま経営…潰れる」と云っている。人口減少が続き半減…その自治体は立ち行かない…消滅。自治体はその地域における行政のサービス単位…その単位は常に組替を含めて環境に対応して再編…人々の生活を支えていくのが基本。」

「人々は、自治体が人々の生活を支えるという「機能」のために納税…自治体のために地方に住んでいるわけでも、自治体を支えるために納税しているわけでもない」。

論考の中での「1-4」は特に真新しい問題では無く、過去から連綿として指摘され続けている。何故、そうなるのか?欧州先進諸国がEUを運営しながら、少しずつ難問に取組む中で、日本が取り残されている感があるのは何故か?それが「5-6」に展開される。

先ず、繰り返される地方政策の間違いと向きあおうことだ。場当たり的で、言葉だけで口当たりの良いことを云い、結局、ハコモノ行政で土建業者を中心に金と施設をばらまいていることになる。
論考の中で紹介されているのは、「岩手県紫波町「オガールプロジェクト」 補助金に頼らない新しい公民連携の未来予想図」だ。

「国に頼らず、地方自治体の経営を見直し…地域自体に新たな経済を生み出す知恵が生まれ…必要なのは手助けではなく、現実と向き合い、未来に対して行動する地域の人たちの決意と知恵…現場での取組…可能性を強く感じる」。

「この10年…地域再生法、都市再生法、中心市街地活性化法…今回の地方創生で語られて施策と予算…山ほど供給。」「国のモデル事業に取り組んで幸せになった地域はどれだけあるか?」

「「地方消滅」と煽り…国が積極的に関与…自治体に計画…予算をつける…従来型の政策…繰り返す…地方の消滅を早めてしまいかねない。」「「地方消滅」の中身…分類して精査…過去の施策の過ちと正面から向き合うことが必要」。

従って、「地方創生」というメチャクチャな日本語に象徴される「人口が爆発的に増加する時代に対応した自治体経営や各種社会制度」「非効率な「量」を追う施策」「ギャンブルのような一発逆転」ではなく、「潰れない地方自治体の構築を可能にする、生産性の高い地方のあり方を検討すること」だ。

      


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