散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

精神疾患を生きる~素敵な共同体

2023年06月16日 | 文化

昨日(15日)、久しぶりに映画を観た。「川崎市アートセンター」は川崎市の岩波ホール的な存在、『アダマン号に乗って』は「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるドキュメンタリーの巨匠ニコラ・フィリベール(仏)が見出だし、表現へと導いた、奇跡のような共同体が描かれた感動的な作品(2022年作)だ。

パリのセーヌ川右岸に係留されている船アダマン号は、精神疾患のある人々のためのデイケアセンターだ。ここでは仕事をする人も、お客さんも、みんながそれぞれの役割を果たしながら、ともにふれあい、喜びを分かち合う。23年ベルリン国際映画祭・金熊賞(最高賞)を受賞した。

因みに「adamant」とは、英語で「断固とした」「頑固な」という意味を持つ形容詞だ。

「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるフランスのドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベールが、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」にカメラを向けたドキュメンタリー、2時間の大作。

パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートしている、ユニークなデイケアセンターだ。

そこでは自主性が重んじられ、絵画や音楽、詩などを通じて自らを表現することで患者たちは癒しを見いだしていく。そして、そこで働く看護師や職員らは、患者たちに寄り添い続ける。誰にとっても生き生きと魅力的なアダマン号という場所と、そこにやってくる人々の姿をカメラワークで捉えている。

観客は30名程度であっただろうか、その一人として筆者は映画の中での会話、やりとり等を理解できなかった。会話が進んでいる感じがしなかったからだ。繰り返し、言い直し、聞き違い…何を話しているのか。2時間の大作、最初の30分から45分あたりまでは、同じことが続くのか…との思いだった。

しかし、その後、そんな遣り取りに意味がありそうだと気が付くようになった。各人が何かに関心を持ち、それに拘り、それを周りの人たちが理解すると、喜びの表情を表すこと等、理解しながら観るようになる。バライティに富んだ精神疾患の人たち、その人たちを理解しながらサポート活動をする人たち。その世界が描かれている。壮大な世界が!観ながらそう感じとれたのは90分を過ぎた頃か?とんでもなく見事な作品だと坐り直したはずだ。ところが、暫く熱中した頃には眠りに落ちたらしい…。気が付けば、ラストシーンで俳優名が…、慌てたわけではないが、席を立つ。

この記事を書いている今も…奇跡のような共同体の豊かさを始めて感じとれたと。


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