散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

緩衝政党としての公明党~小さな声を、聴く力

2021年10月03日 | 国内政治

緩衝政党とは筆者の造語だ。政党間における調整機能を有する政党を意味する。

例えば、政党が三つ以上集まる場合、真ん中の政党が仲介してまとめることが挙げられる。55年体制以前、社会主義政党は保守と共産党の間で「共産主義」及び「戦前軍国主義」を牽制する役割を果たしていた。それ故、社会党の成立が保守合同の自民党を導き、自共の激突を抑える位置となった。

一方、55年の共産党六全協で暴力革命を放棄したことで役割が半減するが、それでも自民党の改憲路線を抑える意味で、二大政党制ではなく、1・1/2政党制の1/2の部分を占め、極右・極左を抑える緩衝役を果たしていた。

その後、上記の体制は少しずつ解体していく。
資本主義対社会主義の対立のなかで、社会党を割り、民主社会党(60年~)ができる。一方、高度経済成長とそれに伴う民族大移動の合間を載って、戦後の新興宗教も都会を中心に成長、その中から創価学会を支持母体とした公明党(64年~)が勢力を伸ばす。
この両党が自社の間で一定の勢力を持つ。

高度経済成長後(佐藤政権後)、自民党の派閥争いが「三角大福中」で一巡する。次の竹下以降、平成年代(89年~)では統治能力が衰え、混乱の中の合従連衡の時代となり、公明党も一時、分党、解党、新党などの試行錯誤の後、再結成して公明党を名乗る(98年~)。そこから自自公連立、自公連立政権へ至る(03年~)。
その後、民主党政権(09年)は共に野党、再度復帰する(12年~)。

自公連立で緩衝政党の強みが発揮されるようになる。
一つには自民党の軍事増強派を抑える役目が挙げられる。

だが、それよりも「国民」と「政権の中核与党(自民党)」を繋げる新しい役目だ。

公明党のキャッチコピー、「小さな声を、聴く力」がそれを示している。

具体的な国民の困り事を政策として提起、政策決定の正式ルートへ載せることだ。与党の一角であればこそ、議員の口利きとは全く違う形になる。両党の政策関係会議で決定、官僚機構を動かし、素早くできることだ。自党の地方議員がいないエリアであっても、地方自治体議員、党員レベルで課題を探し出すことはいくらも出来る。それを中央の与党機関へ結びつけ、国政レベルの具体的政策とする。

その意味で国民と政権との間の「緩衝政党」の役割を果たしている。即ち、自民党が見落としがちな政策を提案、政権として政策の幅を広げる効果がある。

 一方、特に問題となるのは憲法改正の発議であろう。自民党提案との隙間を埋める提案をできるのか?その真骨頂が問われている。

 

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