散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

岸田氏の突破力と説得力~自民党総裁選

2021年10月01日 | 国内政治

安倍長期政権のしっぽにぶら下がった形の菅政権のためか、前回の総裁選の内容は全く記憶にない。岸田、石破の立候補についても。今回は四人が立候補、それも混戦模様となり、久し振りの本格的総裁選であった。本格的とは、実質的に内閣総理大臣を選ぶことに他ならないからだ。それでも制度としては単なる一つの「党」だ。

丁度このとき、ドイツのメルケル首相が引退、総選挙が注目されていた。おそらく、ドイツ国民も投票しつつ、結果を注視していたはずだ。それは「党」を選ぶ選挙(連立を含む)であった。翻って日本では、自民党員だけで決める首相選挙の様相を示した。ここに大きな違いがある。

 しかし、マスメディアは党首選挙ではなく、首相選挙として報道する。これに立候補者も巻き込まれる。テレビ放映での呼びかけも、「国民の皆様!」であって、「党員、党友の方へ」ではなかった。
国民も戸惑ったに違いない。当初、菅総裁が無投票で選ばれると多くの方は思ったであろう。ところが菅首相の思惑を外れて、コロナ第五波は急激に発達する。政権は硬直したように見え、世論調査の支持率は大幅に落ちる。しかし、菅は総裁継続を意思表示する。

一方、自民の若手が「首相がこのままでは選挙が戦えない」と騒ぎ出す。これに対して二階幹事長は記者の質問を介して「失礼だろう」「自分がどうするかだ!」と強く反論する。筆者はこの話を聴き、「流石だ!混沌とした政治状況を生き抜いて今の位置を築いた方の言葉だ」と感じる。

一方、選挙公示後、岸田氏は対抗馬として立候補を最初に意思表示する。なかで、党内の閉塞感を打破する方法として党内の役職を「任期一年・継続三年」に定めると述べる。これは二階幹事長の長期留年をターゲットにしたと巷に解説が流れる。その後の経緯は良く知られている…菅の引退、岸田総裁の誕生だ。

今回の結果は岸田氏が決断即行動した結果だ。菅は混乱し、一気に政治活動が縛られ、政治過程は一気に状況化(予測せざる混沌状態)、退任へと追い詰められる。これがすべてだった。皮肉にも、コロナ禍の状況は回復基調となるのだが。

岸田の決断が結果として菅の退任を導く。その後の三名の立候補者は岸田によって新たに作られた「状況」にタダ乗りしたに過ぎない。河野、野田は管体制の中で立候補は慎み、残るは石破が立候補するのか、そんな「状況」だったからだ。

岸田の「突破力」は本物であった。また、その後の活動も地味ながら「説得力」があった。一方、河野は旗印にした「突破力」が本物ではなかった。立候補後の言動も顰蹙を買うことがあり、「取消―陳謝」にも追い込まれた。正直な感想は、人物的な限界を見る思いであった。

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