安全保障関連法案のどこが憲法に触れるのか?憲法審査会で3名の憲法学者が「違憲」と表明したのも関わらず、内容自身について、必ずしも理解が深まる方向へ向かっていない。探してみると、元外交官で、退官後も安全保障問題を研究する美根慶樹氏が「the Page」において詳しく解説している。
先の記事で述べた様に「閣議決定」の文章は極めて分かり難く、国民に理解され難い様に書いているとしか思えない。元外交官の方が冷静に判り易く書くことは国民と政府との間に立つことになり、騒ぎばかりが目立つ中で、貴重な存在だ。
法案の具体的な内容は、「自衛の範囲・程度」に関わることと、「国際貢献」に関することに大別でき、形式的には2本だけだ。その中の「平和安全法制整備法案」は既存の法律10本を改正するもの、また、「国際平和支援法案」は新規の法律だが、実質的にはかつて存在し現在は終了している法律、「テロ特措法(2001年)」「イラク特措法(2003年)」を改正するもの。
「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/a8/0d3fc7783e3b2b88be781a9c3d45d5b6.jpg)
[図表]衆議院で審議されている安全保障関連法案の内容
従って、国会で審議されている11本の法律案は、すべてこれまでの法律を改正するものとみなせる。
「周辺事態」を「重要影響事態」に衣替え
改正法案(重要影響事態法)は、条文から「我が国周辺の地域における」を削除、地理的限定を撤廃した。世界中のどこでも日本に対する脅威があり得るとの認識だ。場所を問わないので「重要影響事態」と呼ぶ。
現在、自衛隊が行動できるのは「武力攻撃を受けた場合など」だが、改正案(武力攻撃事態法)は更に以下の「1」を「存立危機事態」として追加した。今回の法整備で『集団的自衛権の行使』を認めた結果であり、焦点の一つだ。
[図表]集団的自衛権を発動できる条件である「存立危機事態」など新3要件
国際貢献は湾岸戦争以来の新しい事項だ。
先ず、国連の平和維持活動であり、冷戦後に急増、日本も1992年に初参加した。自衛隊の海外活動になるが、「国際平和支援法案」の場合は、日本の防衛ではなく、平和と安定のため各国が協力することが主眼だ。
「PKO」への参加、「多国籍軍」への後方支援も認めている。発生する事象そのものに内在する政治的理由から一方(親米国側)の当事者への荷担が問題だ。筆者は、国際貢献によって「日米安保の借りを返す」という現政府の発想をみる。今後は、この姿勢が対米従属の象徴になり、トラブルと共に、国際的批判を受けることを懸念する。
先の記事で述べた様に「閣議決定」の文章は極めて分かり難く、国民に理解され難い様に書いているとしか思えない。元外交官の方が冷静に判り易く書くことは国民と政府との間に立つことになり、騒ぎばかりが目立つ中で、貴重な存在だ。
法案の具体的な内容は、「自衛の範囲・程度」に関わることと、「国際貢献」に関することに大別でき、形式的には2本だけだ。その中の「平和安全法制整備法案」は既存の法律10本を改正するもの、また、「国際平和支援法案」は新規の法律だが、実質的にはかつて存在し現在は終了している法律、「テロ特措法(2001年)」「イラク特措法(2003年)」を改正するもの。
「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」
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[図表]衆議院で審議されている安全保障関連法案の内容
従って、国会で審議されている11本の法律案は、すべてこれまでの法律を改正するものとみなせる。
「周辺事態」を「重要影響事態」に衣替え
改正法案(重要影響事態法)は、条文から「我が国周辺の地域における」を削除、地理的限定を撤廃した。世界中のどこでも日本に対する脅威があり得るとの認識だ。場所を問わないので「重要影響事態」と呼ぶ。
現在、自衛隊が行動できるのは「武力攻撃を受けた場合など」だが、改正案(武力攻撃事態法)は更に以下の「1」を「存立危機事態」として追加した。今回の法整備で『集団的自衛権の行使』を認めた結果であり、焦点の一つだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/0f/2e38fd84938f8220d2fcb5ffbf08dacd.jpg)
[図表]集団的自衛権を発動できる条件である「存立危機事態」など新3要件
国際貢献は湾岸戦争以来の新しい事項だ。
先ず、国連の平和維持活動であり、冷戦後に急増、日本も1992年に初参加した。自衛隊の海外活動になるが、「国際平和支援法案」の場合は、日本の防衛ではなく、平和と安定のため各国が協力することが主眼だ。
「PKO」への参加、「多国籍軍」への後方支援も認めている。発生する事象そのものに内在する政治的理由から一方(親米国側)の当事者への荷担が問題だ。筆者は、国際貢献によって「日米安保の借りを返す」という現政府の発想をみる。今後は、この姿勢が対米従属の象徴になり、トラブルと共に、国際的批判を受けることを懸念する。