散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

英国ショック、歴史的循環の始まり~E・トッド・歴史人口学

2016年07月05日 | 国際政治
政治学的視点から「政策の循環」が途絶えたと見るブレマーに対して、更に歴史的視点から大きな流れを読み取るドットへのインタビュー記事(日経7/3朝刊)。その発想はトインビーに似た循環的歴史観である。(「 」内は筆者のコメント)
 『英EU離脱、国民の支配層への拒絶~イアン・ブレマー160702』

質問 英国のEU離脱の意味は?
・歴史的な循環が始まる転換点
・前回の循環は1980年代、サッチャー、レーガンの新自由主義が出現した頃
・グローバル化により国家、社会の境界を超える夢が語られた
・米国ではトランプが保護主義を打出し、移民問題を普遍化、循環は終わった

「“夢”ではなく、天上の問題・グローバル化が地上に降りたのが混乱を導いた!」

質問 離脱の背景をどう分析するか
・離脱賛成が多数なのは、英国民主主義の力強さ、しかし、解釈は難しい
・1)権力をEUから取り戻す、2)移民問題の次元が変わった
・先進国主導の政策勧告、新自由主義は移民流入を増やし、自国を不安定化
・英国が移民を止め、管理するのは当然、地域の安全を守る権利は必要
・英国は格差が最も広がり、新自由主義が最も蔓延
・離脱に投票した社会階層は中間層の下位グループ、年齢層の高い人々
・しかし、英、仏でグローバル化の痛みを受けているのは若者

「新自由主義により不安定化した客体が民主主義の力強さを示す?議論が混乱!」

質問 英離脱後のEUはどうなるか
・EU崩壊のプロセスが始まった
・英国中心の緩やかな連合とドイツを頂点とする体系に分かれる
・問題は政治エリートが経済主義の影響で短期的に何かを決めること

質問 ドイツの危うさは何か
・リスクはドイツ人の精神的な不安定さ
・メルケル首相は合理的なバランスを重視する態度で経済政策を進める
・一方、難民問題でドイツは、大陸欧州の不安定の要因となる

質問 英国は今後、どうなるか。
・英国の影響が及ぶ米、加、豪は、人口では欧州よりも大きい
・英国がリーダーとして頭角を現す
・ロンドンは欧州の金融の首都であり、破壊的反応はお互いにとって脅威

質問 米国の状況をどうみるか
・米国の中間層に強い痛みを受けるが、米支配層が状況を把握できない
・本当の謎はなぜ支配層の目に現実が映らなくなったか
・エリートの孤立によるもの
・米国ではマイノリティの人口の増加で問題が複雑
・民主党にマイノリティの支持が集まり、白人は徐々に共和党に投票
・有権者がトランプ氏を選ぶのは合理的

「“支配層の目に現実が映らない”ことを本当の謎という指摘は鋭い」

質問 2017年仏大統領選、極右政党・国民戦線マリーヌ・ルペン氏は当選?
・次の選挙では難しい、仏中間層はグローバル化の影響を受けていない
・収入の水準は変わらず、富の分配は最も裕福な1%を除いてほぼ平等
・フランスで重要なのは教育の分野で国家を利用できること
・仏中間層は子どもをつくることによる経済的な不安を感じないこと

質問 ロシアや中国などが世界を不安定にするか?
・EUの断裂は西側世界の断裂、冷戦の本当の終わりだ
・世界を不安定にするのはドイツと中国
・西側世界の内部で対立が激しくなり、ロシアとの対立は二次的になる
・ロシアは権威主義的な民主国家、国土に対して十分な人口を持たない
・ロシアの最も重要な計画は生き残り、国土や天然資源を守ること
・中国は民主国家ではなく、安定でもない、しかし、攻撃的な姿勢
・世界の安定に寄与するのはロシア、米英、日本

「世界は米英の海洋国家、独仏の大陸欧州、中国の勢力争いとの見方は新鮮な見解だ。この中で、ロシアと日本が挟撃されるのか?
「議論が混乱する部分もあるが、歴史的視野を大胆に将来へ投射する思考は、新鮮な見解を生む源泉と思われる」


 
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