散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

黒人射殺と白人警官不起訴~状況の一断面

2014年12月06日 | 現代社会
表題に関連して45年前における白人警察官の心理状況を一昨日の記事で紹介した。「警察官は被害者」との見方は当時から存在していたのだ。しかし、最近になって連続的に報道される事件は、実際に何が起きていたのか?必ずしも良く判らない。そこで米国からの報道を引用してみよう。
 『黒人暴動・白人警官・ポピュリズム141204』

ロイター・オピニオン編集主幹・アリソン・シルバーが作家・ジェラニ・コブ氏の「ザ・ニューヨーカー」への寄稿を抜粋し、「ロイター」の記事にしている。
米ミズーリ州ファーガソンで8月に白人警察官が丸腰の黒人青年を射殺した事件で、大陪審は警察官の不起訴を決めた。事件を管轄するセントルイス郡検察のボブ・マクロク検事は不起訴を発表した24日、発砲した警察官の証言について踏み込んで説明するなどの対応を取った。

異例といえる検事の対応の背景には、白人警官による黒人少年射殺を受けて高まった地域社会の緊張を鎮める狙いがあったが、その思惑は外れた。ファーガソンでは抗議活動が燃え上がった。怒りの輪はニューヨークからカリフォルニアにまで広がり、オバマ大統領は緊急会見を開いて国民に冷静な対応を呼びかけた。一方、それを伝えるニュース番組の画面の半分は暴動の様子を映し出した。

以下は「ザ・ニューヨーカー」からの引用。
「事件当時発生から、当局が悪意によって動かされているのか、それとも無能なのかを判別するのは非常に難しかった。ファーガソン警察は(射殺された)ブラウンさんの遺体を路上に4時間半も放置したが、それは彼が人間であることを冷酷に無視した行動であるか、ただ状況に対処できない無能ぶりを示しているかのどちらかだ。」

警察官ダレン・ウィルソン氏の名前は、ブラウンさんがコンビニからたばこの箱を盗む場面とされる防犯カメラ映像と同時に公表されたが、ファーガソン警察は後に、ウィルソン氏はそのことを事件当時は知っていなかったと認めた。

「(抗議活動で)警察は大規模に配備されたが、ブラウンさんが射殺された現場の通りには警官の姿はなかった。その結果、警察署周辺への打撃は散発的で短いものだったが、ブラウンさんの自宅周辺は燃えた。これはひどい戦略であるか、ファーガソン当局の目には地域社会が取るに足らないと映っている証拠だ」。

マクロク検事の行動はこのパターンにまさに当てはまる。まず、大陪審が不起訴を決めたのは正午近くだったが、検事は午後8時までそれを発表しなかった。正確には、この重要な会見にマクロク検事は遅れたので午後8時15分だ。いずれにせよ、CNNは午後7時45分には、大陪審が起訴には証拠不十分という結論を下したとツイートしていた。

検事の20分に及ぶ説明で、最初はソーシャルメディアが果たす扇動的な役割に対する批判だった。しかし、検事の会見は、この事件には裁判が必要だということを多くの批評家に印象付けた。多くの米国民が不起訴決定を意外だと受け止めているが、むしろ起訴の方が予期せぬ結末だっただろう。

「政治サイト「ファイブ・サーティ・エイト」は統計を載せる。
大陪審が不起訴を決定するのはめったにないと指摘。2010年は連邦裁判所管轄事件16万件で、大陪審が不起訴にしたのは11件だけである。ただ大きな例外があり、それは警察官が関与している場合だという」。

「政治サイト「トーキング・ポインツ・メモ」も統計を載せる。
「ユタ州では過去数年、射殺事件の多くは麻薬密売人やドメスティックバイオレンスではなく、警察によるもの。ユタ州とミズーリ州は同じではないが」。

「ワシントン・ポスト紙のブログ「ウォンクブログ」の記事。
警察はマイノリティーに対する犯罪より白人に対する犯罪の方を重視していると思うか」という問いに対し、同意するとの回答は黒人では70%に上ったが、白人では17%にとどまったという」。

「ロサンゼルス・タイムズ紙によると、司法省はまだ独自の調査を続けており、公民権団体はウィルソン氏とファーガソン警察を相手に民事訴訟を起こす可能性がある。今回の事件は、これで終わりとはならなそうだ」。

これは一端に過ぎないし、今回の事件は極端な事象である。それに対して、サイトと新聞の記事をミックスしながら、事件の様相とそれを取り巻く環境、反応を知らせる様に配置している。構成としても優れた記事に違いない。

      



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