朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

直木賞、芥川賞

2009-02-26 | もろもろの事
先ごろ発表されたこの二つの文芸賞に関してです。
 まず、直木賞の山本兼一さんは、京都出身で同志社大学卒業。現在、京都市北区に在住とのこと。
 そこで、地元書店では写真のような横断幕を掲げて、山本さんの著書を山積みにし販売しています。

 文藝春秋3月号(2月10日発売)には、芥川賞津村さんの作品が全文掲載されています。


 
 直木賞受賞作「利休にたずねよ」は大変面白かった。

 これは、文藝春秋誌には掲載されていないので単行本で買わねばなりません。
[訂正:「オール読物」誌3月号に掲載されており単行本よりは安く講読できるとのことです。gorillaさん情報ありがとうございます]

 京都の地名が沢山でてきます。

 京都市北区紫野、大徳寺山門におかれた利休像を出発点として、エピソードが過去に遡るという構成です。
 刑事コロンボ風に結末を先に提示してその理由を次々に推察させる「時代小説」です。当時、太閤秀吉が権力を強めていく状況、商業都市、海外貿易にて繁栄している港町「堺」。その町の大商人たちと、茶の湯の流行。信長と秀吉、多くの戦国武将たち。
 NHKの日曜夜の歴史ドラマよりも面白い。

 津村記久子さんの「ポトスライムの舟」も読みました。
 工場で派遣工員として働いてる30歳代の独身女性ナガセは、実家の古家に母と二人で暮らしている。そこに大学時代の女友達が子連れで流れ込んでくる。友人たちとの葛藤、職場の女性上司、そんな身の回りにおこる出来事を淡々と綴る。

 まあ、どうということの無い、へーそんな人たちもいるのだろうなとの読後感想です。

 ストーリが痛快、変態なわけでもなく、極端に現代的な精神構造の持ち主を主人公にしたわけでもない。以前の受賞作にそんなのもあったような記憶が、もうあまり思い出せませんが。
 おばさんたちの世間話の詳細版、あるいは井戸端会議(もうこんな言葉も死語でしょうね。ボクが中学生の時は長屋に住んでいて、裏に共同の井戸があった。水道も来ていたけれど)のストリーを多少整理して提示した程度でしょうか。

 主人公の住む実家が奈良です。といって奈良の風景人情が文学的に描写されることもでもない。工場派遣労働だと手取り年収が163万円程度が相場か、それでも実家にいて節約生活で過ごせば、余暇時間の喫茶店アルバイト収入だけでも生きていけるのだ。この辺のことは、世間常識として、多少興味ありました。(少しネタバレになるけれど、工場給料を丸ごと貯金することを「目標」として生きてみる)

 津村さんの出身大学は、やはり京都市北区にあります。

 石原慎太郎が選評に書いているが、他に候補がいないという自民党総裁選みたいな理由で当選したようです。むしろ、
「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」水村美苗 (著) の話題が、気になる今日この頃です。

 *上記月刊誌に同級生交歓なる長寿グラビア記事があります。今回その一つに友人が掲載されていて驚きました。
コメント (3)
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