遅いことは猫でもやる

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名作 ごんぎつね

2013-04-03 12:31:14 | 



新美南吉作 黒井健絵

高校の国語教師をしていた義兄が孫の一人に選んでくれた絵本である。
この兄は真面目な人であると同時に、学問的な造詣も深く、文化センターなどで源氏物語の講義をすると、普通講座が進んでゆくに連れ生徒数が減少してゆくものだが、彼の講座については、しりあがりに受講者数が増えてゆくという、珍しい傾向がある。それだけ内容に深いものがあり、知的好奇心を誘う姿勢があるのだろう。今だに学校から依頼をされ、70歳を越した今も週に何コマか講座を受け持っている。

この本を受け取った孫は大喜びで、早速読み始めた。数十分でたちまち読んでしまった。そこで私も孫の横で読んでみた。新美南吉は半田市出身の童話作家で、教師でもあった。この代表作は名前は知っていたが、読んだのは初めてである。
童話というより短編小説である。星新一や芥川龍之介の小説にひけをとらない、示唆や暗示に富む物語となっている。

狐の出来心のいたずら、その深刻な影響、謝罪の受け取られ方、親孝行、誤解、などが抒情豊かに語られている。終わり方も突然と言って良い程で、それがかえって余韻をもたせる。
そして絵がまたいい。ほんわかしたタッチで、いい雰囲気を出している。さすがに義兄の目は確かだ。

こんなに良い物語が郷土出身の作家によって書かれていたことを知らなかったのは、何故か悔しい。まだ知らない方には是非一読をお薦めする。心が豊かになる短編である。


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