法隆寺金堂、薬師寺西塔などの復興を果たし、
最後の宮大工といわれた、西岡常一氏という人がいる。
ご存知の方も多いと思うが、
晩年は文化功労者、文化財保存技術者としてみとめられた。
彼と、その唯一の内弟子小川三夫氏、聞き書きの名手塩野米松の
3氏が書いた「木のいのち、木のこころ」という本を、社員のF君から贈られた。
「良い本だから読んでください」
西岡さんの事は以前に、台湾にまで建築用の木を探しに行って、
南面に生えている木は建物の南に、北面の木は北側に使うなど、
こだわっている人だとは聞いていたが、
改めてこの本を読んでみて、すごい教育論(技術者養成論)だと思った。
技術者はもとより、およそビジネスマンといわれる人から、
子育て、親業にいたるまで、今大事な事を語っている。
基本を大事にする事、自分で工夫する事、理屈でなく身体で覚える事、
「教える」のでなく「育てる」ことが、徒弟制度の基本である。
自立性を第一とし、師匠を見習い、創意工夫を加え、
一人ひとりの特性を生かす。
けっして理論的には難しい事ではないが、
なかなか実践が出来ないことを繰り返し強調される。
日本のものつくりの真髄がここにあると思った。
F君良い本をありがとう。
皆さんもお読み下さることをお薦めします。
(新潮文庫 857円+税)
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