遅いことは猫でもやる

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妖怪の世界

2016-09-26 05:34:55 | 


香月日輪「ねこまたのおばばと物の怪たち」角川文庫 2012年刊

畏友から拝借した本の中で、10冊以上あるがどうも馴染めないのがこの香月日輪の妖怪シリーズであった。とういうか、有りもしない妖怪の世界を借りてきて、この世のウサを晴らすと言うような設定がもう一つピンとこなかった。

ところがである。今回読んでみてちょっと違った。学校でいじめられっ子で、家庭でも父母から疎外されている小学生が、ふとしたことで妖怪の世界に入り込む。そこで出会った妖怪たちとの交流を通して、自信をつけ、明るく生きるようになる。学校でも家庭でも自立し、周りともうまくやっていけるようになってゆく。ざっとそんな筋の小品なのだが、読んでみておやっと思った。

現実の世界が歪んでいて、欲にまみれ、自己中心的で、ストレスも多い。それに比べ妖怪の世界は細かい点は別として、大筋通常の神経が通っている。妖怪の世界のほうがまともである(当たり前のこと、本来の人間らしく描かれている)。

この著者はこういうことを言いたかったのか、とやっと判ったような気がした。次からは本棚に除けておいた10冊位のシリーズを読んでみよう。

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