一応肉親が勢揃い
祝いの膳
兄弟姉妹が半減し、次第に肉親が少なくなっているこの頃、珍しく嬉しい便りがあった。亡くなったすぐ下の妹の子供が結婚するとのことで、名古屋に婚約者ともども挨拶にきたいとのことである。姪は外科医をしているが、少々世間に疎いところがある。相手はどんな男かと、親代わりの心境で少し警戒気味であった。
その警戒心はお会いしてすぐ消えた。当人はメーカーの開発部門に勤めている男で、今どき珍しく世間ずれしていない、実直そうな人物だった。そうなるとそれはそれで、「こんなことで世間を渉っていけるのだろうか」と心配になる。勝手なものである。だが二人の人生だ。もちろん色々な山谷はあるのだろうが、越えていけないことはあるまい。現在松本に住んでいるという。それも気に入った。
招かれた祝いの席は、名古屋駅のホテル内にある日本料理の店だった。流石にそつなく、周到に祝いの席が用意されていた。床の間の掛け軸、料理の器、献立、盛り付けに至るまで、隅々まで行き届いたもので、若い二人を中心に話が弾み、時間の経つのを忘れた。
私も偉そうに、つい結婚の心得なんぞを口走ったが、聡明な二人の事ゆえ、取捨選択はしっかりしてくれるのだろう。最近は不祝儀の席が圧倒的に多いのだが、やはりこういう未来に繋がる明るい行事が楽しい。
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