池井戸潤「ルーズベルトゲーム」新潮社文庫 2014年刊
半沢直樹シリーズ、下町ロケットなどTVドラマで人気を博している作家の作品。畏友が秋口に入れ替えてくれた借本に今回は池井戸潤の作品が何冊か入っていた。
世間の定評というか、編集者の眼力というかは確かなものがある。乃南アサの作品の時も感じたのだが、確かにこの作品もグイグイと読ませるチカラがある。企業野球チームのことがテーマだが、もう一つは作者得意の企業ガバナンスが絡んでくる。
現実の時代背景同様、作品の中でも企業チームの置かれている立場、苦悩が際立つ。そこに本体の企業自身の苦悩が絡む。大企業の横暴さと競合企業同士のせめぎあい、が誇張なく描かれている。
まじめに努力する小企業が大企業、競合企業相手に技術を武器に生き延びるというストーリーは、「下町ロケット」と同じ構図だが、さもありなんという設定がにくい。この辺りが勧善懲悪、判官贔屓の日本人の間隔にフィットするのだろう。
表題は買って野球を愛したルーズベルト大統領が「一番面白いゲームスコアは8対7だ」と言った故事による。
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