伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」創元推理文庫 2006年刊
もう何冊も伊坂作品を読んでいる。この間も「ビブリヤ古書店シリーズ」やその他の文庫も読んでいるのだが、この本を取り上げたのだのは、今までの小坂作品とちょっとだけ違っているからである。
大学生活を始めたばかりの靴屋の息子が、同じアパートの住人に「一緒に本屋を襲撃しないか」と誘われる。ここから物語が始まる。ここからの構成がちょっと変わっていて、2年前の近所のペット店に勤務する女性の動静と交互描写が進む。
学生のキャンパス生活の描写とペット店勤務の女性の恋愛破綻後の動向が伝えられる。これらを結ぶブータン人と、ハンサムな男性、無機質な美人女性などがいろいろ絡んでくるのだが詳細は語れないが、こう言う構成がなかなかよく出来ている。今までの小坂作品には見られなかったことである。
加えて、二人の若い主人公がいかにも今時の若者らしい考え方をする様をよくあらわしている。考えの純粋さや、浅さをよく描いている。帯に本屋大賞受賞とか吉川英治文学新人賞受賞作とあるが、むべなるかなである。
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